消費税申告において、最も実務的で、かつ誤解が生じやすいのが「売上税額」と「仕入税額」の考え方です。
e-Taxを使えば計算自体は自動化されますが、どの金額を入力し、何を控除できるのかは、申告者自身が判断しなければなりません。
特にインボイス制度の開始以降、仕入税額控除の前提条件が明確化され、
「これまで通りの感覚」で入力すると違和感が生じる場面が増えています。
第3回では、消費税申告の中心となる売上税額・仕入税額について、
インボイス制度後の実務を前提に整理します。
売上税額は「受け取った消費税」
消費税申告では、まず売上にかかる消費税、いわゆる売上税額を把握します。
これは、事業者が取引先から預かった消費税に相当します。
ここで重要なのは、
「売上税額=売上高×税率」
という単純な式だけで考えないことです。
取引内容によって、課税売上・非課税売上・不課税取引が混在する場合があります。
すべての売上が消費税の対象になるわけではありません。
e-Taxでは、売上を区分して入力する画面が用意されていますが、
区分の判断そのものは申告者が行う必要があります。
課税売上割合を意識する場面
売上がすべて課税売上であれば、実務は比較的シンプルです。
しかし、非課税売上が含まれる場合、課税売上割合という考え方が関係してきます。
この割合は、仕入税額控除の計算に影響します。
e-Taxは計算結果を自動で反映しますが、
そもそも売上区分を誤っていれば、結果も正しくなりません。
売上税額の入力は、「数字を入れる作業」ではなく、
「取引内容を整理する作業」であることを意識する必要があります。
仕入税額控除の基本的な考え方
仕入税額控除とは、仕入や経費の支払いに含まれる消費税を差し引く仕組みです。
この控除があることで、消費税は事業者の負担ではなく、最終消費者の負担になります。
ただし、仕入税額控除は無条件で認められるものではありません。
インボイス制度後は、一定の要件を満たす必要があります。
e-Taxは、控除の可否を自動で判断してくれるわけではありません。
「控除できる前提の取引かどうか」を整理したうえで入力することが前提となります。
インボイス制度後の実務上の注意点
インボイス制度の開始により、仕入税額控除の実務は大きく変わりました。
適格請求書がある取引かどうかが、控除の前提条件となります。
この点を意識せずに、
「消費税が含まれているから控除できる」
と考えてしまうと、申告内容と制度が一致しなくなります。
e-Taxの入力画面では、インボイスの有無を直接入力する場面は多くありません。
だからこそ、入力前に整理しておくことが重要になります。
経費=仕入税額控除ではない
消費税申告でよくある誤解が、
「所得税で経費になるものは、すべて仕入税額控除できる」という考え方です。
所得税と消費税では、考え方が異なります。
所得税は費用性、消費税は取引性に着目します。
そのため、所得税では経費として認められても、
消費税では控除の対象にならない取引も存在します。
e-Taxは、こうした違いを説明してくれる仕組みではありません。
入力前に、所得税と消費税を切り分けて考える必要があります。
e-Tax入力時に意識したい整理の順番
売上税額・仕入税額をe-Taxに入力する際は、
次の順番で整理すると、実務が安定します。
・売上を課税・非課税に区分する
・売上税額を確定させる
・仕入・経費のうち、仕入税額控除の対象を整理する
・制度上の制限を確認する
この整理ができていれば、e-Taxの入力作業自体は複雑ではありません。
結論
消費税申告 × e-Tax 実務では、売上税額・仕入税額の考え方が申告全体の土台になります。
特にインボイス制度後は、「何となく控除する」という実務は通用しません。
第3回では、売上税額・仕入税額の実務整理を行いました。
次回は、e-Taxで消費税申告書を実際に作成する流れを、確定申告書等作成コーナーの視点から解説します。
参考
・国税庁「消費税の申告と納付」
・国税庁「仕入税額控除の要件」
・国税庁「インボイス制度に関するQ&A」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
