消費税の申告において、e-Taxの操作よりも前に必ず整理しておかなければならないことがあります。
それが、「自分は課税事業者なのか、免税事業者なのか」「原則課税なのか、簡易課税なのか」という立場の判断です。
この判断は、e-Taxの入力途中で考えればよいものではありません。
むしろ、入力画面に進む前に結論が決まっていなければ、申告作業そのものが成立しません。
第2回では、課税・免税・簡易課税の判断について、実務の流れに沿って整理します。
課税事業者か免税事業者かの判断
消費税申告の出発点は、「消費税の申告義務があるかどうか」です。
これは、売上の規模や一定の選択によって決まります。
原則として、基準期間の課税売上高が一定額以下であれば、免税事業者となります。
一方、基準期間の売上が一定額を超えている場合や、特定の届出を行っている場合は、課税事業者になります。
ここで重要なのは、今年の売上ではなく、過去の売上が基準になるという点です。
この仕組みを理解していないと、「今年は売上が少ないから消費税は関係ない」と誤解してしまうことがあります。
インボイス制度と課税事業者の関係
インボイス制度の開始以降、免税事業者であっても課税事業者を選択するケースが増えています。
取引先との関係から、適格請求書発行事業者として登録し、課税事業者になる選択をした場合です。
この場合、本来であれば免税事業者となる売上規模であっても、消費税申告が必要になります。
e-Taxは、この選択の背景を判断してくれるわけではありません。
「自分はインボイス登録をしているかどうか」
この一点は、消費税申告の入口として必ず確認しておく必要があります。
原則課税と簡易課税の違い
課税事業者であることが分かったら、次に確認すべきなのが、原則課税か簡易課税かという点です。
原則課税は、売上にかかる消費税から、仕入や経費に含まれる消費税を差し引いて計算します。
一方、簡易課税は、実際の仕入税額を計算せず、業種ごとの一定割合を用いて税額を計算します。
この選択によって、e-Taxで入力する内容は大きく変わります。
どちらが有利かという問題以前に、「どちらを使う立場なのか」が確定していなければ、入力画面に進めません。
簡易課税は自動で選べるものではない
簡易課税は、要件を満たせば誰でも使える仕組みではありません。
事前に届出を行っていることが前提となります。
e-Taxでは、簡易課税の適用を自動で判断することはありません。
入力画面で簡易課税を選択できるかどうかは、すでに届出をしているかどうかで決まっています。
「簡単そうだから簡易課税を選ぶ」という考え方は、e-Tax実務では通用しません。
制度上の立場を誤ると、申告全体が成り立たなくなります。
判断を誤ると起こる実務上の問題
課税・免税や原則課税・簡易課税の判断を誤ると、次のような問題が起こります。
・申告書は作成できたが、内容が制度と合っていない
・納税額が過大または過少になる
・後から修正申告や更正の請求が必要になる
特に消費税は、金額が大きくなりやすく、修正の影響も大きくなります。
入力が終わってから違和感に気づくのではなく、入力前に判断を固めることが重要です。
e-Tax入力前に整理しておくべき事項
消費税申告をe-Taxで行う前に、次の点を整理しておく必要があります。
・自分は課税事業者か免税事業者か
・インボイス登録の有無
・原則課税か簡易課税か
・適用期間がいつからいつまでか
これらは、e-Taxの操作とは別次元の「制度判断」です。
実務としては、ここまで整理できて初めて、作成コーナーに進む準備が整ったといえます。
結論
消費税申告 × e-Tax 実務では、入力作業よりも前に決まっていることが数多くあります。
課税・免税・簡易課税の判断は、その最たるものです。
第2回では、e-Tax入力前に必ず整理しておくべき制度判断を整理しました。
次回は、売上税額・仕入税額の考え方と、インボイス制度後の実務整理を解説します。
参考
・国税庁「消費税の申告と納付」
・国税庁「消費税の課税事業者・免税事業者の判定」
・国税庁「簡易課税制度の概要」
・国税庁「インボイス制度の概要」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
