最終回・第9回 事業承継で揉めないための準備 最後に確認すべきチェックリスト

税理士
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事業承継は、税金や制度の問題以上に、
人と感情が絡むテーマです。

どれだけ綿密な計画を立て、
税負担を抑える対策を講じたとしても、
関係者の理解や合意がなければ、承継はうまく進みません。

実務の現場で起きるトラブルの多くは、
「準備不足」や「話し合いの欠如」によるものです。

本稿では、シリーズの締めくくりとして、
事業承継で揉めないために、
最後に必ず確認しておくべき準備事項を整理します。

1.家族会議を避けてはいけない

事業承継において、
最も重要でありながら、
最も避けられがちなのが家族会議です。

  • 後継者は誰なのか
  • なぜその人なのか
  • 他の家族はどう関わるのか

これらを曖昧にしたまま進めると、
相続発生時や承継後に不満が噴き出します。

事業承継は、
経営者個人の問題ではなく、
家族全体の問題でもあります。

時間をかけてでも、
話し合いの場を設けることが不可欠です。


2.株主名簿は会社の履歴書である

中小企業では、
株主名簿が整備されていないケースが少なくありません。

  • 名義株と実質株主の不一致
  • 過去の株式移動の不明確さ
  • 相続による分散

これらは、事業承継の場面で大きな障害になります。

株主名簿は、
会社の歴史と権利関係を示す重要な書類です。

承継を考える段階で、
必ず整備しておく必要があります。


3.定款と議事録は「後から効く」

定款や議事録は、
普段の経営では意識されにくい書類です。

しかし、事業承継や相続の場面では、
これらが大きな意味を持ちます。

  • 株式譲渡制限の有無
  • 相続人への売渡請求条項
  • 株券不発行の定め

これらが整備されているかどうかで、
承継の難易度は大きく変わります。

また、過去の役員変更や株式移動に関する議事録が整っていないと、
後から説明がつかなくなることもあります。


4.合意事項は必ず文書化する

事業承継では、
「親子だから」「信頼しているから」
という理由で、口約束に頼りがちです。

しかし、実務上は、
合意事項は必ず文書に残すべきです。

  • 社長交代の時期
  • 先代経営者の処遇
  • 後継者に託す経営方針

これらを文書化することで、
後から生じる解釈の違いを防ぐことができます。

文書は、
不信の証ではなく、
円滑な承継のための道具です。


5.遺留分への配慮を忘れない

事業承継では、
後継者以外の相続人の存在を忘れてはいけません。

  • 遺留分侵害額請求の可能性
  • 生前贈与の扱い
  • 相続時の評価方法

これらを無視して進めると、
承継後に紛争が生じる可能性があります。

事業承継は、
会社を守るためのものですが、
同時に、家族関係を壊さない配慮も必要です。


結論

事業承継は、
制度や税金だけで完結するものではありません。

  • 話し合い
  • 整理
  • 文書化

これらの地道な準備が、
最終的に承継の成否を分けます。

本シリーズで見てきたように、
事業承継には多くの選択肢がありますが、
共通して言えるのは、
早めに、丁寧に準備することが最大の対策だという点です。

このシリーズが、
事業承継に向き合う経営者やご家族にとって、
考えるきっかけになれば幸いです。


参考

  • 東京税理士会 全国統一研修会配布資料
     「事業承継準備のためのチェックリスト」令和7年度

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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