こどもNISAや学資保険、預貯金を考える際、多くの人が陥りがちなのが
「今の教育費水準」を前提に資金計画を立ててしまうことです。
しかし、教育費は長期的に見れば確実にインフレの影響を受けてきました。
授業料、教材費、塾代、留学費用など、
子どもが進学する頃には、今とは別の価格体系になっている可能性が高いといえます。
本記事では、教育費インフレをどう前提に組み込み、
どの資産で、どこまで備えるべきかを整理します。
教育費は「物価以上」に上がりやすい
教育費の特徴は、
一般的な消費者物価以上の上昇率になりやすい点にあります。
理由は明確で、
・人件費比率が高い
・少子化でもサービスの高度化が進む
・私立・付加価値型教育の比重が高まる
といった構造があるからです。
特に大学費用や塾・習い事は、
単純な物価連動ではなく、
「教育サービスの高度化インフレ」が起こりやすい分野です。
「名目金額」で考える危うさ
例えば、
「大学費用は1人あたり○○万円くらい」
という表現はよく見かけます。
しかしこれは、
あくまで“今の価格”での話です。
子どもが18歳になるまで10年、15年ある場合、
2%程度のインフレでも、
教育費の実質的な負担感は大きく変わります。
教育費計画は、
名目金額ではなく、
「将来の実質負担」を意識して考える必要があります。
インフレに弱い備え方
教育費インフレを織り込むうえで、
特に注意が必要なのが次の備え方です。
・全額を預貯金で準備する
・利回りの低い学資保険に過度に依存する
・金額を固定した目標に縛られる
これらは、
元本の安全性は高い一方で、
インフレに対する耐性が弱いという共通点があります。
将来の「金額」は守れても、
「価値」は目減りしている可能性があります。
こどもNISAはインフレ耐性を補う役割
こどもNISAの本質的な役割は、
教育費インフレへの“部分的なヘッジ”です。
株式や株式を含む投資信託は、
短期的には価格変動がありますが、
長期的にはインフレとともに名目成長しやすい性質があります。
こどもNISAを使うことで、
教育費全体の一部を
「インフレに強い資産」で支えることが可能になります。
「全部を投資で賄わない」が前提
ただし、
教育費インフレ=すべて投資で対応すべき
というわけではありません。
教育費には、
・支払時期が明確
・使えなければ困る
という性質があります。
そのため、
・基礎的な教育費は安全資産
・上振れや余裕部分を投資
という役割分担が現実的です。
こどもNISAは、
インフレ分を吸収する“緩衝材”として使うのが適切です。
インフレを織り込んだ積立の考え方
教育費インフレを前提にすると、
次のような設計が見えてきます。
・金額目標を固定しすぎない
・長期で積み立て、途中で調整する
・必要時期が近づいたら段階的に安全資産へ移す
将来の教育費は、
「いくら必要か」よりも、
「どれくらいの購買力を残したいか」
という視点で考える方が合理的です。
親の老後インフレとの切り分け
忘れてはいけないのが、
教育費インフレと老後インフレは別問題だという点です。
老後資金もインフレの影響を受けますが、
教育費ほど支出時期が集中しません。
こどもNISAで教育費インフレに備えるあまり、
親の老後資金のインフレ対策が不十分になるのは本末転倒です。
両者は、
・目的
・期間
・取り崩し方
が異なるため、
別々に設計する必要があります。
結論
教育費インフレは、
「起きるかどうか」ではなく
「どの程度起きるか」の問題です。
すべてを正確に見積もることはできませんが、
何も織り込まないのが最も危険な選択です。
こどもNISAは、
教育費インフレに対抗するための
唯一の解ではありません。
しかし、
安全資産だけでは不足しがちな部分を補う
現実的な選択肢であることは確かです。
将来の教育費を
「今の金額」で考えないこと。
それが、教育費設計の出発点になります。
参考
・日本経済新聞「こどもNISAどう使う? 幼い頃から積み立てを」(2026年1月19日夕刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
