年金開始前後の資産の置き場所 もらい始める前と後で考え方は変わる

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

老後資金の話になると、「いくら必要か」「何歳まで生きるか」といった議論が中心になりがちです。
しかし実務的に重要なのは、年金をもらい始める前後で、資産の役割がどう変わるかという点です。

年金開始前は「つなぎの期間」、開始後は「生活を支える期間」となり、資産に求められる性格は大きく変わります。
本記事では、年金開始前後それぞれの局面で、資産をどこに置くべきかを整理します。

年金開始前は「つなぎ資金」の置き場所が重要

年金開始前、特に60歳から年金受給開始までの期間は、老後設計の中でも最も不安定な時期です。

・退職して収入が減る
・年金はまだ始まらない
・生活費は毎月発生する

この期間に重要になるのが、すぐ使える資金の確保です。

この段階では、
・預貯金
・流動性の高い金融資産
が資産の中心になります。

iDeCoのように引き出せない資産は、この時期の主役にはなりません。
年金開始前は、「運用効率」よりも「確実に使えること」が優先されます。

年金開始前に避けたい資産配置

年金開始前にありがちな失敗として、次のようなケースがあります。

・運用を意識しすぎて資金を固定化してしまう
・非課税を優先して使える資金が不足する
・退職金を一気にリスク資産に回す

年金開始前は、
「お金を増やす最後の期間」
ではなく、
「生活を切らさない準備期間」
と考える方が現実的です。

年金開始後は「安定性」が最優先になる

年金が始まると、毎月のキャッシュフローは大きく変わります。
公的年金という定期収入が入ることで、生活のベースは安定します。

この段階では、
・生活費の基礎は年金で賄う
・不足分を資産で補う

という構造になります。

資産の役割は、
「主役」から「補助」へ
と変わります。

年金開始後の資産の置き場所

年金開始後は、資産を次のように整理すると分かりやすくなります。

・生活費数年分:預貯金などの安全資産
・中期的な補填資金:流動性のある金融資産
・長期分・余裕資金:iDeCoなどの年金的資産

年金があることで、
「すべての資産を安全資産にする必要はない」
という余裕も生まれます。

ただし、リスク資産の割合は、
年金額と生活費の差
を踏まえて慎重に判断する必要があります。

iDeCoの位置づけは「後半を支える資産」

年金開始後におけるiDeCoは、
・すぐに使う資金ではない
・老後後半の生活を支える資産

として位置づけるのが基本です。

一時金で受け取るか、年金で受け取るかによって使い方は異なりますが、
いずれにしても、
「年金開始と同時に全額使う資産」
ではありません。

年金開始後も一定の期間をかけて受け取る設計が、資金寿命を延ばすことにつながります。

NISAは「前後をまたぐ調整資産」

NISAの特徴は、年金開始前後の両方で使える点にあります。

・年金開始前は生活資金の補填
・年金開始後は不足分の調整

という二つの役割を担います。

この柔軟性が、老後資金全体のクッションになります。
年金開始前にNISAを使い切ってしまうと、開始後の調整が難しくなる点には注意が必要です。

年金開始前後で考え方を切り替える

重要なのは、年金開始を一つの区切りとして、資産の置き場所を見直すことです。

・開始前:流動性と確実性を重視
・開始後:安定性と持続性を重視

同じ資産でも、役割は変わります。
この切り替えができないと、
「不安だから使えない」
「逆に早く使いすぎてしまう」
といった問題が起こりやすくなります。

結論

年金開始前後は、老後資金設計の中でも最も重要な転換点です。
資産をどれだけ持っているかよりも、
どこに置き、どの役割を持たせているか
が安心感を左右します。

年金開始前は「つなぐ資金」、開始後は「支える資金」。
この視点で資産の置き場所を整理することで、
老後資金は数字以上に安定したものになります。

制度や運用に振り回されるのではなく、
年金を軸に資産を配置し直す。
それが、これからの老後設計の基本になるといえるでしょう。

参考

・税のしるべ「7年度税制改正によるイデコの拠出限度額の引上げは令和8年12月から実施」
・令和7年度税制改正関連資料(年金・税制関係)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました