📈 物価が上がるのに、給料が増えない?
「最近、食費が前より高い気がする」
「電気代や保険料も上がって、貯金が減っていく」
そんな実感を持つ人は多いはずです。
総務省の消費者物価指数によれば、2025年現在、生活必需品を中心に3年連続で上昇。
賃上げのニュースが流れる一方で、実質賃金は横ばい、
つまり“名目は上がっても、手取りの価値は下がっている”のが現実です。
このような時代に必要なのが、「資産を増やす」より先に「資産を守る」という視点です。
💡 「守る」とは、現金を置いておくことではない
多くの人が「守る=現金で持つこと」と考えがちですが、
インフレが進むと現金の価値は確実に目減りします。
たとえば、物価が年2%ずつ上がると、
10年後には同じ1万円で買えるものの価値は約8,200円相当になります。
つまり、銀行に“安全に”置いているつもりでも、
実質的には目減りしているということです。
では、どうすれば資産を「守りながら育てる」ことができるのでしょうか。
🧾 ① “インフレ対応家計”の3つの柱
資産防衛の基本は、日々の家計から始まります。
次の3つの視点を意識するだけで、「守りの家計」に変わります。
🏠 1. 固定費を「定期点検」する
保険、通信、サブスク、住宅ローン――。
見直しで最も効果が大きいのが固定費です。
特に通信費・保険料・電気ガス代などは、3年前と比べても価格差が大きい分野。
1回の見直しで年間10万円以上浮くケースもあります。
✅ ポイント
- スマホは格安プランに変更
- 火災保険・生命保険の更新時期を確認
- 電力自由化でプラン比較を行う
固定費の削減は“節約”ではなく“収入の増加”と同義です。
🍱 2. 「見えない支出」を意識する
“ちょっとしたコンビニ”や“なんとなくの外食”が積み重なり、
月に数万円の支出差を生むことも。
インフレ時代は、心理的な浪費を抑えることが防衛策になります。
💬 おすすめ習慣
- クレカ明細を週1でチェック
- 「必要」ではなく「代替できるか」を考える
- 月1回だけ“ご褒美デー”を設定してメリハリを
💹 3. 「値上げに強い」資産を少しずつ持つ
預金以外の選択肢として、インフレに連動しやすい資産を一部に組み込む方法があります。
たとえば――
- つみたてNISAでインデックス投資(株式・投信)
- 外貨建て資産や金(ゴールド)で“通貨リスク分散”
- 物価連動国債やリート(不動産投資信託)も一考の余地あり
FP視点からの助言
「守る」と「攻める」を完全に分けず、
“長期・分散・積立”の仕組みを少しずつ取り入れることが、
結果としてリスク回避になります。
🪙 ② 税金・社会保険の「隠れコスト」を理解する
インフレ下では、所得が名目上増えることで、税金や社会保険料が上がる現象が起こります。
これは「ブラケット・クリープ」と呼ばれ、実質的な手取り減少につながります。
たとえば:
- 所得税は累進課税のため、年収アップでも手取りは伸びにくい
- 健康保険料・厚生年金保険料も年収連動で上昇
- 児童手当や医療費控除など、所得制限の影響も
税負担を抑えるには、
控除・非課税制度を「組み合わせて使う」知恵が必要です。
🧾 具体的な活用例
- ふるさと納税+iDeCoでダブル節税
- 医療費控除やセルフメディケーション税制
- NISAでの運用益・配当の非課税活用
- 住宅ローン控除・生命保険料控除の最大化
税制は毎年改正されるため、「知っている人だけが得をする」構造になっています。
🛡️ ③ 「リスク分散」は“保険”の再定義
資産防衛というと、金融商品ばかり注目されがちですが、
生命保険・火災保険・医療保険も立派なリスク分散の道具です。
ただし、保険の“入りすぎ”は資産防衛とは逆効果。
目的を整理し、必要最低限にすることが鉄則です。
| 目的 | 保険の種類 | 見直しの目安 |
|---|---|---|
| 家族の生活保障 | 生命保険 | 子どもの独立時 |
| 医療費の備え | 医療保険・がん保険 | 更新時に保障内容確認 |
| 資産の維持 | 火災・地震保険 | 築年・地価変動に注意 |
FPとしては、「保険=安心の買いすぎ」に注意を促したいところです。
自分で備えられるリスクと、保険で備えるリスクを分けましょう。
🌏 ④ インフレ時代の“価値観のリテラシー”
資産防衛とは、お金を減らさないことだけではありません。
「価値を感じるものに正しくお金を使う」力もまた、立派なリテラシーです。
- 安心できる住環境への支出
- 健康・学びへの投資
- 地域や家族とのつながりを守る支出
“お金を使う=浪費”ではなく、自分の人生を支える投資として考える視点を持ちましょう。
✍️ まとめ ― 「守る力」が次の成長を生む
インフレの時代において、
「守る力」=「変化に適応できる力」でもあります。
家計を整え、制度を知り、情報を選び、冷静に判断できる人こそ、
最終的には「攻め」にも強くなります。
そして、資産防衛の出発点は「現状を知ること」。
今の支出・収入・税負担を“見える化”するだけで、
あなたのリテラシーはすでに一歩前進しています。
📘参考資料
・日本経済新聞(2025年10月16日朝刊)
・総務省「家計調査」「消費者物価指数」
・金融庁「家計の見直しハンドブック」
・日本FP協会『生活設計と金融リテラシー』
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
