🏡 「お金の話はタブー」から「家庭で話す時代」へ
かつて日本では、「お金の話を家庭でするのは下品」という風潮がありました。
しかし、今や時代は変わっています。
2022年から学校でも金融教育が義務化され、
“家庭でどう教えるか”が新しい課題になりつつあります。
子どもたちは、学校よりも家庭で「お金の現実」を目にしています。
だからこそ、家庭の中でのちょっとした会話や体験が、
最初の金融教育の“教科書”になるのです。
💬 「話す」ことが最高の金融教育になる
金融教育というと、どうしても「教科書」「数字」「難しい話」を想像しがちですが、
実はもっと身近なところから始められます。
たとえば――
- スーパーで「今日の特売はどれだろう?」と一緒に考える
- 外食で「この値段にはどんなサービスが含まれてる?」と話す
- おこづかいの使い道を一緒に振り返る
これらはすべて「お金を通じて価値を考える」練習です。
子どもは“お金の量”ではなく、“お金をどう使うか”で学びます。
🗣️ FPとして感じるのは、
「お金の話=生活の話」。
家庭での会話が、最も実践的な金融教育になります。
🪙 ステップ①:おこづかいは「金額」より「ルール」で育てる
子どもにおこづかいを渡すことは、単なるお金の授与ではなく、
「自己管理のトレーニング」です。
🧩 ポイントは3つ
- 目的を一緒に決める
→ 「何に使ってもいい」より、「目的を考える」ことで判断力が育ちます。 - 金額は“必要最低限+体験の余裕”を
→ 無駄遣いの経験も“学び”の一部。 - 月末に一緒に振り返る
→ 「どんな使い方をした?」「満足した?」を話す習慣をつけましょう。
💡 親が口を出しすぎないのも大切です。
失敗を通じて“お金の重み”を体験できるのが家庭教育の強みです。
💰 ステップ②:家族で「収入と支出」をオープンにする
子どもが成長してきたら、少しずつ家庭の家計についても共有してみましょう。
「パパの給料」「ママの仕事」「家のローン」「電気代」――
すべて“生きるためにお金をどう使うか”を教える材料になります。
✅ 実践例
- 家計簿アプリを家族で見て「どこを節約できそう?」と話し合う
- 光熱費や食費を“ゲーム感覚”で比較する
- 家族旅行の予算を一緒に立てる
この“オープン家計”が、子どもにとって最大の金融教材です。
お金は「稼ぐもの」だけでなく、「使って価値を作るもの」と理解できます。
🏦 ステップ③:「貯める」「使う」「増やす」を分けて考える
小学校高学年〜中学生になれば、「お金の機能」を教える絶好の時期です。
シンプルに3つに分けて考えましょう。
| 行動 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 貯める | 将来に備える | 目標貯金・修学旅行・欲しい物 |
| 使う | 今の満足 | 本・友達との食事・プレゼント |
| 増やす | 価値を学ぶ | 模擬投資・おこづかいの運用ごっこ |
🪙 「1,000円のうち、100円だけ“使い方を変える”」
そんな小さな行動が、未来のリテラシーをつくります。
模擬投資や株式学習は、ゲーム形式で体験するのがおすすめです。
最近では、学校や金融庁が提供する無料の「株式シミュレーション教材」も充実しています。
🌱 ステップ④:高校生以降は「自分の人生とお金」をつなげる
高校・大学になると、いよいよ“お金のリアル”が迫ってきます。
アルバイト、奨学金、クレジットカード、スマホ料金――
すべてが「自分で選ぶ」経験になります。
この時期には、次のテーマを一緒に話しましょう。
- 奨学金=“未来の自分への借金”であること
- クレジットは“後払いの便利さ”と“リスク”をセットで理解する
- 自分の“収入と支出”を管理するアプリを使ってみる
- 将来の夢に対して、どんなお金が必要かを計算してみる
🗣️ 税理士FPの一言
「高校生は、もはや“小さな社会人”。
お金の使い方を通して“人生の選択力”を磨く時期です。」
👨👩👧👦 家庭教育のゴールは「お金を話せる関係」
家庭での金融教育の最終目標は、“親子でお金を話せる関係”を築くことです。
それは単に知識を教えることではなく、価値観を共有すること。
- 「何にお金を使うと幸せか」
- 「無駄だと思う支出は何か」
- 「お金を使って誰を喜ばせたいか」
こうした会話を重ねることで、
子どもは“お金=信頼と責任のツール”だと自然に理解していきます。
✍️ まとめ ― 「家庭が一番身近な金融教育の場」
お金の教育は、学校よりも家庭から始まります。
親が完璧な知識を持っていなくても構いません。
大切なのは、「一緒に考えよう」と伝える姿勢です。
家庭でお金を話題にすることは、
家族の関係を深め、子どもに“自立の基礎”を与えることでもあります。
お金の知識は、生きる力そのもの。
家庭こそ、最も実践的で温かい「学びの教室」です。
📘参考資料
・金融庁「子どものための金融教育プログラム」
・文部科学省「家庭における金融教育の手引き」
・日本FP協会『くらしとお金の知恵シリーズ』
・日本経済新聞(2025年10月16日朝刊)「金融教育『受けたことない』43%」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
