外国人とともに設計する成長社会――人口減少時代の共生戦略を考える

人生100年時代
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

日本は明確に人口減少社会へと移行しています。
少子化対策や女性・高齢者の労働参加拡大は重要な政策課題ですが、それだけでは将来の労働力を補えないことが各種試算で示されています。

こうした中、政府は成長戦略の柱として人工知能(AI)、半導体、造船、量子、バイオなどの重点分野を掲げています。しかし、その前提となるのが「人材確保」です。

もはや外国人労働者は補完的存在ではありません。
成長戦略の成否を左右する構造的要素となっています。

本稿では、人口減少社会における外国人政策を、成長戦略・地方経済・社会保障の視点から整理し、共生社会の制度設計について考えます。


成長戦略と労働力不足の現実

重点分野の一つである造船・舶用工業では、2028年度末時点で約8万人の人手不足が見込まれています。女性や高齢者の就業拡大、生産性向上を織り込んでも、なお数万人規模の不足が残るとされています。

同様の状況は航空、物流、建設、防災関連産業にも及びます。
AI開発のような高度分野でも、開発者だけでなく、保守・運用・現場実装を担う人材が不足しています。

国内投資を促すためには、安定した労働力供給の見通しが不可欠です。
企業が設備投資をためらう最大の理由の一つが「人材確保の不確実性」であることは、経営現場の共通認識になりつつあります。

成長戦略は、移民・外国人政策と切り離しては成立しない段階に入っています。


地方から始まる共生モデル

興味深いのは、地方自治体の取り組みです。

浜松市は、外国人が安心して働ける環境を整えている企業を認定する制度を設けました。認定企業は入札で加点される仕組みになっています。これは「共生を経済インセンティブに組み込む」設計です。

仙台市は20カ国語以上に対応した通訳電話を整備し、生活上の言語障壁を下げています。

福井県では、外国人コミュニティリーダーを認定し、災害情報や生活情報を母国語で発信する仕組みを整えています。

川崎市は外国人市民代表者会議を設け、外国人住民の意見を制度的に吸い上げる枠組みを持ちます。

これらは単なる福祉施策ではありません。
地域経済を維持するための基盤整備です。

地方はすでに「外国人なしでは地域が回らない」という現実を直視しています。


管理と共生の二項対立を超える

政府は「移民政策はとらない」との立場を維持しています。
しかし、外国人比率が将来的に人口の1割を超える可能性があるとの見方もあります。

ここで重要なのは、管理強化と共生を対立概念として捉えないことです。

法令遵守、在留管理の適正化は当然必要です。
同時に、地域社会の一員としての参加を制度的に支える仕組みも不可欠です。

共生とは理念ではなく、制度設計の問題です。

・日本語教育の質
・登録支援機関の機能強化
・企業の受入れ責任の明確化
・自治体の相談窓口整備

これらを横断的に整備しなければ、摩擦は拡大します。


労働力補完から“成長の担い手”へ

外国人を単なる労働力不足の穴埋めとして位置づける限り、社会的なコンセンサスは形成されません。

一方で、企業現場では外国人材が組織に新しい刺激を与え、生産性向上や技術革新につながる事例も増えています。

多様な人材が入ることで、企業文化が変わり、新しい発想が生まれる。
この「化学反応」をどう制度的に後押しするかが政策の核心です。

人口減少社会では、国内だけで完結する成長モデルは成立しません。
共生は理想論ではなく、経済合理性の問題です。


税制・社会保障との接続

外国人政策は、税制・社会保障とも密接に関係します。

・社会保険制度への加入
・年金の通算制度
・地方税収への影響
・教育・医療コストの分担

これらを長期的視点で設計しなければ、財政論争は感情論に流れやすくなります。

将来世代を支える担い手として位置づけるのか、短期労働力として扱うのかで、制度設計は大きく異なります。

共生社会の議論は、社会保障の持続可能性とも不可分です。


結論

人口減少社会における成長戦略は、人材戦略と同義です。

外国人政策を曖昧なままにしておくことは、企業投資の不確実性を高め、地方の衰退を加速させます。

必要なのは、

管理の強化か受入れ拡大か、という二者択一ではありません。
秩序ある受入れと制度的共生を同時に進める設計です。

外国人を「補完」ではなく「共創の主体」として位置づけられるか。
その選択が、日本の成長軌道を左右します。


参考

・日本経済新聞 2026年2月27日夕刊
「高市成長戦略、外国人欠かせず」
「地域の一員」意識付けを
〈記者の目〉プラスの化学反応に

タイトルとURLをコピーしました