ここまでのシリーズで「確定申告の流れ」をひと通り見てきました。
- 国税庁HPと作成コーナー
- e-Taxの準備
- マイナンバーカードやマイナポータルの活用
- 還付を受け取る仕組み
- 間違えたときの対応
- 帳簿や保存義務
実務的なステップはイメージできてきたのではないでしょうか。
今回は最終回として、控除制度のひとつである「医療費控除」と、そもそも確定申告がなぜ必要なのかという税の理念に触れてみたいと思います。
医療費控除とは?
1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに、所得から差し引ける制度です。
対象となるのは、本人だけでなく同一生計の家族の分も含まれます。
ポイント
- 自己負担額が 10万円超(または総所得の5%超) なら控除対象
- 通院や入院費、薬代だけでなく、介護費用や通院のための交通費も対象になるケースあり
- 領収書は提出不要になったが、「医療費控除の明細書」の作成・保存が必要
セルフメディケーション税制も選べる
通常の医療費控除に代えて、セルフメディケーション税制を利用することも可能です。
これは、ドラッグストアで買える特定の市販薬の購入額が年間12,000円を超えた場合に適用できます。
- 上限88,000円まで控除
- 健診や予防接種を受けている人が対象
医療費控除とどちらを選んだ方が有利か、比べて判断しましょう。
税の理念:租税法律主義とは?
確定申告をするのは、「税金を正しく納めるため」だけではありません。
実は、その背景にある大切な理念が 「租税法律主義」 です。
これは、
「税金は必ず法律に基づいて課税される」
というルールのこと。
つまり、国民は法律で定められた税だけを納めればよく、逆に言えば「法律で決まっていない税金を勝手に取られることはない」仕組みです。
確定申告は、国民一人ひとりがこの理念を具体的に実践する行為でもあるのです。
まとめ:確定申告は“義務”であり“権利”
医療費控除や寄附金控除などは、申告しなければ受けられません。
つまり、確定申告は「税金を納める義務」だけでなく、自分の権利を行使する手続きでもあります。
💡 今回のポイント
- 医療費控除は10万円超の自己負担が目安
- セルフメディケーション税制という選択肢もある
- 確定申告は「租税法律主義」を体現する仕組み
- 税金を正しく納めるだけでなく、控除を受けて“取り戻す”権利でもある
シリーズを終えて
全8回にわたって確定申告の流れを整理してきました。
最初は「難しい」と思っていた方も、少しずつ仕組みや意義が見えてきたのではないでしょうか。
確定申告は年に一度の作業ですが、家計を見直すチャンスでもあり、自分の暮らしと社会の仕組みをつなぐ大切な手続きです。
この記事が、みなさんの「申告をちょっと前向きにとらえるきっかけ」になれば嬉しく思います。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

