割安住宅×容積率緩和は不動産投資と税制に何をもたらすのか

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東京都が検討している「割安住宅の整備を条件とした容積率緩和」は、住宅政策であると同時に、不動産投資や税務の世界にも少なからぬ影響を与えます。
とりわけ、賃貸マンション開発、再開発案件、長期保有型不動産投資を行う事業者にとっては、収益構造そのものを変え得る制度です。

本稿では、この制度が不動産投資の判断軸や税務上の考え方にどのような影響を与えるのかを整理します。

容積率緩和は「収益性改善策」としてどう評価されるか

不動産投資の基本は、
・投下資本
・想定利回り
・リスク
のバランスです。

一般に、賃料を市場相場より抑えると利回りは低下します。
今回の制度は、そのマイナスを容積率の上乗せによる延べ床面積の増加で補う仕組みです。

開発事業者の視点では、
・賃料単価は低下
・総戸数は増加
という形になります。

重要なのは、「単戸利回り」ではなく「事業全体の収益性」で評価する構造に変わる点です。
従来よりも低家賃の住戸を組み込んでも、
・建築コスト
・金融コスト
・管理コスト
を吸収できる規模が確保できれば、プロジェクトとして成立します。

これは、短期売却型よりも長期保有・賃貸運用型の投資と相性が良い制度だといえます。

賃料抑制と税務上の収益認識

税務上は、賃料水準が下がれば当然、
・不動産所得
・法人の益金
は抑制されます。

しかし、容積率緩和により床面積が増えれば、
・賃貸可能面積の増加
・総賃料収入の底上げ
が見込めます。

税務の観点で見ると、注目すべきは次の点です。

減価償却との関係

床面積が増えることで、
・建物取得価額
・減価償却費
も増加します。

特に法人の場合、
・初期数年間の償却負担
・税負担の平準化
という点で、キャッシュフロー管理がしやすくなる可能性があります。

一方で、建築コストが膨らみすぎれば、表面利回りが低下し、投資効率を損なうリスクもあります。

固定資産税・都市計画税

延べ床面積の増加は、将来的な
・固定資産税
・都市計画税
の増加にもつながります。

割安賃料による社会的意義と、長期的な税負担のバランスをどう取るかは、投資判断の重要なポイントです。

「社会性を組み込んだ不動産投資」への転換

今回の制度は、単なる収益最大化型の不動産投資とは異なり、
・住宅の社会的機能
・人口政策
・子育て支援
を織り込んだ投資を前提としています。

近年、不動産投資の世界でも、
・ESG投資
・インパクト投資
といった考え方が浸透しつつあります。

割安住宅を組み込んだ開発は、
・安定した入居需要
・行政との関係性強化
・中長期的な資産価値維持
という観点から、リスクを抑えた投資と評価される可能性があります。

短期的な高利回りは見込みにくい一方で、空室リスクや賃料下落リスクを抑えやすい点は、年金・保険・ファンドマネーとも相性が良いと考えられます。

個人投資家・相続対策への波及

この制度は、個人投資家や相続対策にも影響します。

都心部で割安賃料の住宅が一定数供給されれば、
・賃料相場の急騰が抑制
・極端な利回り低下を防止
といった効果が期待されます。

また、
・長期安定収入
・評価額と収益の乖離
という観点では、相続税対策としての不動産活用の考え方にも影響を与える可能性があります。

特に、相続後も賃貸運用を継続する前提の不動産では、安定性の高い賃料構造は評価しやすい要素です。

結論

割安住宅と容積率緩和を組み合わせた東京都の新制度は、不動産投資において
「高家賃・高回転」から
「適正賃料・規模と安定性」へ
視点を移す契機になり得ます。

税制面でも、
・減価償却
・固定資産税
・長期キャッシュフロー
を総合的に捉える必要性が高まります。

住宅政策としての意義に加え、不動産投資と税務の世界でも、判断軸の転換を促す制度として注目すべき動きといえるでしょう。

参考

・日本経済新聞「都、割安住宅の容積率を緩和 民間に整備促す 子育て世帯流出防ぐ」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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