副業や個人事業主の確定申告で、多くの方が最初につまずくのが「何を、どこまで入力すればよいのか分からない」という点です。
会社員の申告では、源泉徴収票を基に入力を進めることができましたが、事業に関する申告では事情が異なります。
e-Taxでは、事業所得や雑所得の申告にあたり、収支内訳書や青色申告決算書の作成が前提となります。
第2回では、これらの書類をe-Tax上でどのように考え、入力していけばよいのかを、実務の視点で整理します。
事業所得と雑所得で何が違うのか
副業の申告では、まず「事業所得」と「雑所得」のどちらに該当するかを判断する必要があります。
この判断によって、e-Taxで表示される入力画面や、作成する書類が変わります。
事業所得の場合、収支内訳書または青色申告決算書を作成します。
雑所得の場合も、収入と必要経費の内訳を入力しますが、事業所得ほど詳細な構成にはなりません。
重要なのは、e-Taxが自動的に区分を判断してくれるわけではない点です。
最初の選択を誤ると、その後の入力全体に影響します。
収支内訳書・決算書は「結果を写す」書類
収支内訳書や青色申告決算書は、帳簿の代わりに数字を並べる書類ではありません。
これらは、1年間の事業活動の結果を整理して提出するための書類です。
e-Taxでは、いきなり確定申告書を入力するのではなく、
まず収支内訳書や決算書の入力画面に進み、そこで事業の数字を固めます。
つまり、
「売上 − 経費 = 所得」
という流れを、画面上で一つずつ確認していく作業になります。
売上の入力で意識すべきこと
売上の入力では、「実際に入金された金額」ではなく、「その年の売上として計上すべき金額」を入力します。
この点は、副業を始めたばかりの方が特に混同しやすいポイントです。
e-Taxの入力画面では、売上金額をそのまま入力しますが、
その金額がどの取引を基にしているのか、自分の中で説明できる状態にしておく必要があります。
「とりあえず入金額を合計した」という進め方では、後から修正が必要になることがあります。
経費の入力は「分類」が重要
経費の入力では、金額そのもの以上に「どの区分に入れるか」が重要です。
e-Taxでは、通信費、消耗品費、外注費など、一定の区分ごとに入力欄が設けられています。
ここで意識したいのは、完璧な分類を目指しすぎないことです。
重要なのは、事業との関連性が説明できるかどうかです。
分類に迷った場合でも、極端に不自然でなければ、申告全体が否定されるわけではありません。
一方で、私的な支出を安易に経費に含めると、申告リスクが高まります。
青色申告決算書の場合の考え方
青色申告を行っている場合、収支内訳書ではなく、青色申告決算書を作成します。
この場合、損益計算書と貸借対照表の考え方が加わります。
e-Taxの画面では、複雑な会計用語が表示されますが、
すべてを完全に理解してから入力する必要はありません。
大切なのは、帳簿で確定している数字を、そのまま写す意識で入力することです。
e-Taxは、会計処理を代行するものではなく、結果を申告するための仕組みです。
よくある入力上の誤解
事業所得・雑所得の入力でよく見られる誤解として、次のようなものがあります。
・経費は多い方がよいと思い、無理に計上する
・売上と入金を同一視してしまう
・収支内訳書と確定申告書の関係が分からなくなる
e-Taxは入力内容に応じて計算結果が表示されるため、
数字が合っているように見えても、前提が誤っている場合があります。
入力が終わった後に確認すべきこと
収支内訳書や決算書の入力が終わったら、必ず全体を見直します。
特に確認したいのは、次の点です。
・売上と経費の合計に違和感がないか
・前年と比べて極端な変動がないか
・所得金額が現実と乖離していないか
e-Taxの自動計算結果は、あくまで入力内容の反映にすぎません。
最終的な責任は申告者自身にある点を忘れないことが重要です。
結論
副業・個人事業主のe-Tax実務では、収支内訳書や青色申告決算書が申告の中心になります。
これらは「作り方」よりも「考え方」を押さえることが重要です。
第2回では、事業所得・雑所得の入力実務を整理しました。
次回は、経費・控除・消費税の入口をテーマに、入れすぎ・漏れすぎを防ぐ実務の視点を解説します。
参考
・国税庁「確定申告特集」
・国税庁「個人事業主の確定申告」
・国税庁「収支内訳書・青色申告決算書の作成」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
