円高シナリオは現実味を帯びるのか― 2026年初の為替市場を読み解く ―

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2026年の為替市場は、年初から「円安一辺倒ではない」という空気が広がりつつあります。
年末には1ドル=160円を視野に入れる見方もありましたが、実際の相場は安値を更新できず、円は下値の堅さを見せています。

為替介入への警戒、年初にトレンドが転換しやすいという経験則、さらに賃上げや米金利といった材料が重なり、市場では「円高シナリオ」を意識する声も増えてきました。
本稿では、2026年初の円相場を巡る論点を整理し、円高が進む条件と注意点を考えていきます。


円安が進みにくくなっている理由

足元の円相場は、円安方向に勢いよく進めない状態が続いています。
その最大の理由として挙げられるのが、政府・日銀による為替介入への警戒感です。

財務相による「必要な措置を取る余地がある」との発言は、市場に対して強いけん制となっています。実際に介入が行われるかどうかにかかわらず、「一方向の円安は許容されない」というメッセージ自体が、投機的な円売りを抑制しています。

また、円相場は節目とされる水準の手前で足踏みしており、市場心理としても「ここから積極的に円を売る理由が乏しい」という状況にあります。


韓国ウォンとの連動が示す示唆

注目されているのが、韓国ウォンの動きです。
韓国当局はウォン安に対して明確な姿勢を示し、結果としてウォンは対ドルで持ち直しました。

円とウォンは、対ドルで似た値動きをすることが多い通貨です。両国とも対米関係や通商政策の影響を受けやすく、投機対象になりやすい点も共通しています。

そのため、韓国でウォン安是正の動きが強まることは、日本当局が円安に対してより強い姿勢を取る可能性を示唆します。市場はこうした「周辺国の対応」も織り込み始めています。


年初に起きやすい為替トレンドの転換

為替市場では、年初に相場の流れが変わりやすいという経験則があります。
実際、過去数年を振り返ると、1月を境に前年とは逆方向に動くケースが続いています。

年末にポジションを整理した投資家が、新しいテーマで取引を始めることが一因とされています。その結果、1〜2月は次のトレンドが形成されやすい時期になります。

2026年も同様に、円安が当然に続くと決めつけるのは早計だと言えるでしょう。


賃上げと財政への見方の変化

円高シナリオを支える国内要因として、賃上げの動向が挙げられます。
春季労使交渉で賃上げが継続することが確認されれば、内需の底堅さが意識され、円高圧力につながる可能性があります。

また、政権下で財政悪化への懸念がいったん後退している点も見逃せません。財政不安は円安要因になりやすいため、これが和らげば、相対的に円を売る理由は弱まります。


米金利が持つ決定的な影響力

一方で、円相場を語るうえで最も重要なのは、やはり米国の金利動向です。
円相場は米長期金利への感応度が高く、金利の変動がそのまま為替に反映されやすい特徴があります。

米国の雇用統計など主要経済指標は、今後の利下げ観測を左右する材料となります。結果次第では、為替市場の「潮目」が変わる可能性もあります。


投機筋のポジションは中立へ

投機筋の円ポジションを見ると、年末にかけて調整が進み、極端な偏りは解消されています。
これは、市場が次の方向性を模索する「土台」が整った状態とも言えます。

強い円安を前提としたポジションが減っている以上、ちょっとした材料で円高方向に振れやすい環境にあるとも考えられます。


結論

2026年の円相場は、円安が続くという見方が主流である一方、円高に転じる条件も着実にそろいつつあります。
為替介入への警戒、年初のトレンド転換、賃上げ、米金利の動向といった複数の要因が重なり、「円安がさらに進む」と単純に決めつける局面ではありません。

円相場は、下値を試しきれないまま、時間をかけて円高方向に動く可能性もあります。2026年初は、為替の前提を一度リセットし、柔軟に相場を捉える姿勢が求められる局面と言えるでしょう。


参考

・日本経済新聞「〈ポジション〉円高シナリオ 安値更新阻む」
・日本経済新聞 為替・金融市場関連記事
・各証券会社・金融機関の為替レポート


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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