企業の経理・総務業務には、毎月繰り返し行われる定例業務があります。
源泉所得税の納付、社会保険料の手続き、各種届出などは、期限に沿って確実に処理することが求められます。
とくに年度替わりとなる4月から初夏にかけては、人事異動や制度改正への対応も重なり、バックオフィス業務が集中する時期でもあります。
新入社員の社会保険手続き、住民税特別徴収の開始、労働保険の年度更新など、この時期ならではの事務が続きます。
こうした業務を円滑に進めるためには、年間の業務スケジュールをあらかじめ把握しておくことが重要です。
本記事では、企業実務カレンダーをもとに、2026年4月から6月に企業が対応すべき主な経理・総務業務を整理します。
4月 年度替わりと制度改正への対応
4月は企業にとって新年度のスタートであり、人事・税務・社会保険に関する手続きが集中する月です。
まず、新入社員の入社に伴う社会保険手続きが必要になります。
雇用保険、健康保険、厚生年金の資格取得手続きに加え、給与計算に必要となる扶養控除等申告書の確認などを行います。
また、4月に昇給を実施する企業では、給与計算に関わる各種手当の再計算が必要になります。
基本給が変更される場合、時間外手当や各種手当の計算基礎にも影響するため注意が必要です。
さらに、2026年4月には複数の制度変更も予定されています。
主なものとして次の制度があります。
・在職老齢年金制度の支給停止基準額の引上げ
・子ども・子育て支援金制度の開始
・男女間賃金差異および女性管理職比率の公表義務
・職場における治療と仕事の両立支援の努力義務化
企業はこれらの制度改正を踏まえ、社内制度や実務対応を整理しておく必要があります。
5月 税務手続きと賞与準備
5月は税金の納付や人事関連の準備が中心になります。
税務関係では、源泉所得税や住民税特別徴収の納付など、定期的に発生する納税業務があります。
また、自動車税や軽自動車税、固定資産税などの地方税の納付時期にもあたります。
これらの納税期限は自治体によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。
一方、人事関連では夏季賞与に向けた準備が始まる時期でもあります。
賞与支給に向けて、次のような作業を進める企業も多いでしょう。
・賞与計算の基礎データ整理
・評価結果の確認
・支給額の試算
・社会保険料や税額の確認
賞与は給与とは異なる計算方法となるため、早めの準備が必要になります。
6月 労働保険年度更新と住民税
6月は労務関連の業務が増える時期です。
まず、労働保険の年度更新の受付が始まります。
企業は前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を申告し、保険料を納付する必要があります。
従業員数の多い企業では、賃金集計などの準備に時間がかかるため、早めに作業を進めておくことが重要です。
また、6月からは新年度の住民税特別徴収が開始されます。
市区町村から送付される特別徴収税額通知書を確認し、給与計算システムへ反映する必要があります。
この処理が遅れると給与計算に影響するため、事前の確認が欠かせません。
経理・総務業務を安定させるポイント
4月から6月は、企業のバックオフィス業務が集中する時期です。
この時期の業務を安定して処理するためには、次の3点が重要になります。
年間業務カレンダーを整備すること
税務・労務の期限を整理し、年間スケジュールとして管理することで、業務の見通しが立ちやすくなります。
制度改正を早めに確認すること
社会保険や労働関連制度は年度替わりに改正されることが多く、実務への影響も小さくありません。
人事・給与・経理の連携を強化すること
給与計算や社会保険手続きは複数部門にまたがる業務であり、情報共有が重要になります。
結論
企業の経理・総務業務は、毎月の定例業務と年度ごとの制度対応が組み合わさって進んでいきます。
とくに4月から6月は、新年度のスタートに伴う手続きや制度変更が集中するため、事前の準備が欠かせません。
業務カレンダーを活用し、年間のスケジュールを整理しておくことで、業務の漏れやミスを防ぎ、安定したバックオフィス運営につながります。
参考
企業実務 2026年3月号
2026年4月〜6月の業務チェックリスト

