毎年のように行われる確定申告ですが、制度や実務の細かな部分は少しずつ変化しています。
2026年に行う確定申告(2025年分)についても、例年どおりの部分が多い一方で、見落としやすい変更点や、実務上の扱いが変わってきている点があります。
特に、副業を行っている会社員や個人事業主、年金収入のある人にとっては、「去年と同じやり方」で進めることで、思わぬミスにつながる可能性もあります。
第1回となる本稿では、今年の確定申告について、まず全体像を整理し、
「何が変わり、何が変わらないのか」
「どのような人に影響があるのか」
を俯瞰的に確認していきます。
今年の確定申告で影響が出る人・出ない人
今回の確定申告で、すべての人に大きな影響があるわけではありません。
まずは、影響の有無を大まかに整理しておくことが重要です。
影響を受けやすい人
次のような人は、今年の申告内容を丁寧に確認する必要があります。
- 副業を行っている会社員
- 個人事業主(開業間もない人を含む)
- 消費税の申告を行う人
- 電子申告(e-Tax)を利用している、または利用予定の人
- 年金収入と他の所得がある人
これらの人は、所得区分の判断や、提出方法、保存要件などで注意すべき点があります。
影響が比較的小さい人
一方で、次のような人は、例年と大きく変わらないケースも多いです。
- 給与所得のみで年末調整が完結している人
- 医療費控除や寄附金控除のみを行う人(内容に変更がない場合)
ただし、影響が小さい場合でも、申告方法や添付書類の扱いが変わっていることがあります。
「自分は関係ない」と思い込まず、全体像を一度確認しておくことが大切です。
「制度改正」と「実務変更」は分けて考える
確定申告について語る際に混同されがちなのが、「制度改正」と「実務上の変更」です。
制度改正とは何か
制度改正とは、法律や政令、通達の改正によって、課税の仕組みそのものが変わることを指します。
例えば、控除額の変更や、新しい制度の創設などがこれに当たります。
今年の確定申告では、制度の根幹が大きく変わるような改正は多くありません。
実務上の変更とは何か
一方で、実務上の変更とは、次のようなものです。
- 提出方法の原則が変わる
- 電子申告を前提とした運用が進む
- 添付書類の扱いが変わる
- 保存方法に関する考え方が整理される
これらは法律改正がなくても、実務上は「やり方を変える必要がある」点です。
今年の確定申告では、むしろこの実務上の変更が重要になります。
今年の確定申告の大きな流れ
2026年の確定申告を俯瞰すると、次のような流れがより明確になっています。
電子申告を前提とした運用の定着
確定申告は、紙から電子へという流れが一層進んでいます。
e-Taxを利用することが「特別な方法」ではなく、「標準的な方法」として位置づけられつつあります。
これにより、次のような点が実務上のポイントになります。
- マイナンバーカードの利用
- スマートフォン申告の活用
- 添付書類の省略・保存への意識
電子申告を使うかどうかに関わらず、この流れを理解しておくことが必要です。
副業・複数所得の整理がより重要に
副業を行う人が増える中で、所得区分の判断や、経費の考え方が重要になっています。
特に、「雑所得か事業所得か」という判断は、今年も多くの人が悩むポイントです。
この点については、単に収入額だけで判断するのではなく、実態に即した整理が求められます。
消費税・インボイスの影響が本格化
消費税については、インボイス制度導入後の申告が本格化しています。
今年が初めて消費税の申告を行う人にとっては、例年よりも負担感が大きくなる可能性があります。
所得税の確定申告とは別に、消費税の視点も持っておくことが重要です。
「変わらないこと」を押さえる意味
変更点ばかりに目が向きがちですが、「変わらないこと」を確認しておくことも大切です。
- 確定申告の基本的な流れ
- 申告期限
- 所得計算の基本構造
これらは、今年も大きくは変わっていません。
変わらない土台があるからこそ、変更点を正しく理解できます。
焦らず、基本に立ち返る姿勢が重要です。
結論
今年の確定申告は、「大きく変わった」というよりも、
実務の前提が静かに変わってきている年といえます。
制度そのものは大きく変わっていなくても、
- 電子申告の位置づけ
- 副業や複数所得への対応
- 消費税実務の重み
といった点で、これまでと同じ感覚では対応しにくくなっています。
このシリーズでは、次回以降、テーマごとに変更点を具体的に整理し、
実務上どのように対応すべきかを順に解説していきます。
まずはこの第1回で全体像を押さえ、
「自分はどこを重点的に確認すべきか」
を意識するところから始めてみてください。
参考
- 国税庁「令和7年分 確定申告の手引等」
- 国税庁「e-Taxに関する各種案内」
- 財務省・国税庁公表資料(所得税・消費税関係)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
