🕰️ 人生のステージごとに「学ぶテーマ」は変わる
金融教育が学校でも始まり、社会全体で「お金を学ぶ」動きが広がりつつあります。
しかし実際には、年齢や人生の段階によって必要な金融知識はまったく異なります。
20代には「貯め方・使い方」
40代には「守り方・育て方」
60代には「受け取り方・残し方」
同じ“お金”でも、どの時期に、何を学ぶかで人生の安心度は大きく変わります。
今回は、3つの世代別に「金融教育の実践法」を整理してみましょう。
👩💼 20代:はじめての「お金との付き合い方」
💡 キーワード:貯める力 × 習慣化
社会人になって最初の壁は、“自由に使えるお金”をどう管理するか。
金融教育の第一歩は、「自分の支出を知ること」から始まります。
🔍 学ぶべきテーマ
- 家計簿アプリで可視化する「支出の構造」
- NISA・iDeCoなど、少額から始める資産形成
- クレジット・ローン・金利の基礎知識
- 社会保険・税金(源泉徴収・年末調整)の仕組み
💬 実践のポイント
・「収入の2割は先取り貯蓄」
・「NISAで積み立てる」
・「奨学金やカードローンは“利息のしくみ”を理解して返済計画を」
20代の金融教育は「お金を使う前に考える習慣」をつけること。
少額投資でも継続すれば、“経済の動き”に自然と関心が生まれます。
🗣️ 税理士FPの一言
「20代は“お金を失わない練習期間”。
焦って増やすより、守りながら経験を積む時期です。」
👨👩👧👦 40代:家計の中心世代が直面する「教育・住宅・老後」
💡 キーワード:守る力 × バランス感覚
40代は、人生でもっともお金の流れが大きい時期です。
住宅ローン、子どもの教育費、老後資金――“三大出費”が同時に重なります。
この世代の金融教育は、「優先順位を決める力」が最大のテーマです。
🔍 学ぶべきテーマ
- 教育資金の形成(ジュニアNISA、学資保険、定期積立)
- 住宅ローン控除・金利タイプの選び方
- 保険の見直し(掛け捨てと貯蓄型の違い)
- 老後資金準備(iDeCo・企業型DC・退職金制度)
- インフレに強い投資とリスク管理
💬 実践のポイント
・「教育資金は“子の年齢×年間学費”を逆算」
・「ローンは繰り上げ返済より“資産運用とのバランス”を」
・「保険は“目的別に分ける”、重複に注意」
🗣️ 税理士FPの一言
「40代は、“収入が多い=余裕がある”とは限らない。
『可処分所得』を基準に、家計を数字で管理しましょう。」
また、40代後半からは“第二の人生設計”を意識する時期でもあります。
退職金制度や確定拠出年金の受け取り方、将来の年金見込額を早めに確認し、
「老後の生活費=毎月いくら必要か」を見える化しておくと安心です。
👴 60代:受け取り方・残し方の知識が人生を変える
💡 キーワード:取り崩す力 × 相続・贈与の理解
定年を迎え、年金や退職金を受け取る時期。
この段階での金融教育は、“増やす”から“減らし方を設計する”に変わります。
🔍 学ぶべきテーマ
- 公的年金・企業年金の受け取り方(5年→10年ルールの改正も)
- 退職金課税のしくみと控除計算
- 医療・介護・高齢期の備え(後期高齢者保険、介護保険)
- 相続・贈与(暦年課税・相続時精算課税の新ルール)
- 空き家対策・遺言・家族信託
💬 実践のポイント
・「退職金は一括より分割で税負担を減らせることも」
・「相続前の“名義整理”でトラブルを防ぐ」
・「贈与の7年ルールを理解し、早めの資産移転を」
🗣️ 税理士FPの一言
「“相続”は亡くなった後の話ではなく、“生きているうちの設計”です。
年金・贈与・不動産の“出口戦略”が、老後の安心を決めます。」
🌱 世代を超えて共通する「金融教育の本質」
どの世代にも共通して言えるのは、
金融教育は“知識を増やすこと”ではなく、“行動を変えること”です。
- お金の流れを「数字」で把握する
- 未来のリスクを「制度」でカバーする
- 判断に迷ったら「専門家」に相談する
- 家族と「お金の話」をオープンにする
お金は人生そのものと深く結びついています。
だからこそ、「お金の話=生き方の話」なのです。
✍️ まとめ ― 3世代をつなぐ“学び合う金融教育”へ
これからの金融教育は、“一方的に教える”時代ではありません。
親世代・子世代・孫世代が一緒に学び、支え合う時代です。
- 親が子に「貯め方」を伝える
- 子が親に「制度・テクノロジーの使い方」を教える
- 祖父母が孫に「お金の意味」を語る
こうした“世代間の金融教育”こそが、真のリテラシー文化を育てます。
📘参考資料
・日本経済新聞(2025年10月16日朝刊)
「資本騒乱 さらば運用貧国 アンケートから(下)」
・金融庁「金融リテラシー・マップ」
・文部科学省「生涯学習としての金融教育」
・日本FP協会『ライフステージ別の資産形成ガイド』
・総務省「家計調査年報」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
