026年の注目銘柄として、ソニーグループが改めて市場の関心を集めています。その評価の中心にあるのは、もはやテレビや半導体ではありません。ゲームを軸に形成された「プレステ経済圏」が、同社の収益構造を大きく変えつつある点です。
本稿では、ゲーム事業の変化、とりわけネットワーク型ビジネスへの転換が、ソニーの企業価値にどのような安定性と成長余地をもたらしているのかを整理します。
ゲーム事業は最大の収益エンジンへ
ソニーのゲーム事業は、この10年で位置づけが大きく変わりました。連結売上高に占める比率は、かつての2割程度から現在では約4割にまで拡大しています。ゲームは数ある事業の一つではなく、グループ全体を支える最大の収益エンジンとなりました。
注目すべきは、利益率の改善です。市場予想では、数年後には営業利益率が過去のピーク水準に迫ると見込まれています。半導体価格の変動など短期的な逆風はあるものの、中長期では収益性の高い事業へと成熟しつつあると評価できます。
ゲーム機依存からの脱却
ゲームといえば、従来は「ハードの世代交代」が業績を左右してきました。新型機発売時は販売が伸び、成熟期に入ると減速するというサイクルです。
しかし現在のソニーは、このモデルから距離を置き始めています。PS5は発売から数年が経過していますが、次世代機の投入を急ぐ様子は見られません。PS4のアクティブユーザーがなお多く存在し、世代を超えた利用が続いているためです。
この背景には、ハード販売そのものよりも、利用者基盤を長く維持する方が収益に直結するという戦略転換があります。
PSNが生み出す巨大な経済圏
現在のソニーのゲーム戦略の中核は、プレイステーションネットワーク(PSN)です。定額課金サービスであるPSプラスをはじめ、オンライン上で継続的に収益を生み出す仕組みが整っています。
会員数は1億人規模に達し、いわば巨大なデジタル経済圏が形成されています。重要なのは、単なる会員数の多さではありません。利用者が毎月、安定的に課金する構造ができあがっている点です。
1人あたり収益の改善が示す質の変化
ゲーム事業を登録者数で割った「1人あたり利益」を見ると、数年前に落ち込んだ時期を経て、現在は大きく回復しています。これは、単にユーザーが増えたからではなく、1人ひとりから得られる収益が増えていることを意味します。
上位プランでは、追加料金なしで複数のゲームを体験できる仕組みを提供し、満足度を高めながら自然に課金額を引き上げています。価格競争による台数拡大ではなく、体験価値を高めることで収益を伸ばすモデルへと移行しています。
利益のブレが小さくなった意味
もう一つ重要なのが、利益の安定性です。過去と比べると、ゲーム事業の利益変動は大きく縮小しています。これは、定額課金型の収益が積み上がることで、ヒット作の有無に左右されにくくなったためです。
投資家にとって、成長性と同じくらい重要なのが「安定して稼げるかどうか」です。プレステ経済圏は、ソニーの収益構造をより予測可能なものへと変えつつあります。
キャッシュフローが示す次の課題
営業キャッシュフローは、この数年で大きく積み上がりました。問題は、その使い道です。大型買収は一服していますが、過去の買収案件の成果をどう回収し、次の成長につなげるかが問われます。
コンテンツのIPをゲーム、映画、音楽へと横断的に展開できるかどうか。ここにソニーの複合経営の真価が問われています。
PER引き上げの条件とは
株価指標を見ると、ソニーのPERは上昇してきたものの、ゲーム専業企業と比べるとなお差があります。市場が求めているのは、単なる規模拡大ではなく、複合エンタメ企業ならではの相乗効果です。
人気ゲームの映像化や、IPを軸とした長期的な収益モデルを示せるかどうかが、今後の評価を左右するでしょう。
おわりに
プレステ経済圏は、ソニーを「ゲーム機メーカー」から「安定収益を持つ複合エンタメ企業」へと押し上げました。利用者基盤を囲い込み、1人あたりの価値を高める戦略は、今後も同社の屋台骨となります。
成長と安定、その両立をどこまで深められるか。2026年のソニー株を見るうえで、最も重要な視点と言えるでしょう。
参考
・日本経済新聞「注目銘柄2026(1)プレステ経済圏、ソニーG支える」
・日本経済新聞 企業・株式関連記事(ソニーグループ)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

