住宅ローン金利が上昇局面に入るなか、全期間固定金利型の「フラット35」が改めて注目されています。変動型からの借換も増え、金利水準だけでなく「安心」を求める動きが広がっています。
本稿では、フラット35が比較的低い金利を実現できる理由と、その制度的背景を整理します。
フラット35の基本構造
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に決まった金利が完済まで変わらないため、将来の金利上昇リスクを回避できる点が最大の特徴です。
民間金融機関でも固定型はありますが、フラット35はしばしばそれよりも低い金利水準で提供されることがあります。その理由は、資金調達と制度設計の仕組みにあります。
低金利を支える三つの要素
1.証券化による資金調達
フラット35は、融資した住宅ローン債権をまとめて証券化し、金融市場で販売する仕組みを採用しています。
公的機関としての信用力を背景に、安定した条件で資金を調達できるため、調達コストを抑えることが可能となります。預金を原資とする銀行ローンとは異なる構造が、金利水準に影響しています。
2.運営コストの効率化
審査業務にAIを活用するなど、業務のデジタル化を進めています。これにより事務コストを削減し、その効果を金利に反映させています。
公的機関であっても、事業運営の効率化が金利水準に直結するという点は重要です。
3.政策的な金利引き下げ
「子育てプラス」などの金利割引制度は、政府の住宅取得支援策の一環として実施されています。
一定の要件を満たす場合、当初一定期間の金利が引き下げられます。この引き下げ原資は国の予算によるものであり、単なる金融商品ではなく、政策と連動した制度であることが分かります。
変動型からの借換が増える背景
日本では住宅ローン利用者の多くが変動型を選択してきました。しかし、金利上昇局面では返済額増加への不安が顕在化します。
返済額が増えれば、家計は
・貯蓄を減らす
・消費を抑える
といった行動をとる可能性があります。これは個人の問題にとどまらず、住宅市場や消費全体にも影響します。
固定型は金利がやや高いという先入観がありましたが、現在はその差が縮小し、「安心料」として再評価されつつあります。
制度改定が示す方向性
今後は借換時にも金利割引制度を適用できるようになるほか、融資上限額の引き上げなどの見直しが予定されています。
これらは単なる商品改定ではなく、住宅取得支援と市場安定を両立させる政策的意図が読み取れます。
固定か変動かは家計の耐久力で考える
固定型と変動型のどちらが正しいという単純な答えはありません。重要なのは、金利が上昇した場合に家計がどの程度耐えられるかを具体的に試算することです。
返済シミュレーションを活用し、自ら数字を確認することで、感覚ではなく構造で判断することが可能になります。
結論
フラット35の低金利は、
1.証券化による効率的な資金調達
2.運営コストの削減
3.政策的な金利支援
という三層構造によって支えられています。
固定型住宅ローンは、単なる金融商品の選択ではなく、家計のリスク管理の一環です。金利水準の表面だけでなく、その背後にある制度設計まで理解したうえで選択することが、長期的な家計安定につながります。
参考
・日本経済新聞 2026年2月21日朝刊
「<家計のギモン>フラット35、低金利の理由」
・住宅金融支援機構 公表資料
