アクティブ型投資信託の選び方 ― NISAで選ぶならここを見よう

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

NISA(少額投資非課税制度)の拡充をきっかけに、「アクティブ型投資信託」に注目する人が増えています。
アクティブ型とは、プロのファンドマネジャーが市場を分析し、平均を上回る成果を目指す運用型の投資信託
一方で、株価指数などに連動する「インデックス型」に比べて手数料が高く、必ずしも良い成績が出るとは限りません。

「営業の勧めで買ったら含み損になってしまった…」という声も珍しくありません。
今回は、アクティブ型を選ぶ際に押さえておきたいポイントを、専門家の意見を交えながら整理してみましょう。


1. アクティブ型は「勝ち続ける」ファンドが少ない

アクティブ型は市場平均を上回ることを目的としていますが、実際にそれを達成できるのはごく一部です。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの調査によると、過去10年間で市場平均を上回ったアクティブ型は日本で約25%、米国では約10%にとどまります。

理由はシンプルです。
アクティブ型は分析や売買のコストがかかり、信託報酬(運用手数料)もインデックス型より高いため、コスト以上に稼ぐのが難しいのです。

そのため、初心者にとってはまずインデックス型を軸に資産形成を始め、「余裕資金の一部でアクティブ型を試す」くらいのスタンスが現実的です。


2. 長く続いているファンドを選ぶ

運用期間が長いファンドほど、過去の景気変動や株式市場の波を乗り越えてきた実績があります。
ファイナンシャルリサーチの深野康彦代表は「少なくとも5年、できれば10年以上の運用実績が目安」と話します。

逆に、設定から数年しか経っていないファンドは、たまたま好相場に乗っただけの可能性もあります。
「短期の成績」よりも、「荒波を越えてきたか」を見る視点が大切です。


3. 純資産総額100億円以上が“安全ライン”

投資信託の安定性を示す指標が純資産総額です。
これが少なすぎると、運用会社のコスト負担が大きくなり、「繰り上げ償還(途中終了)」のリスクが出てきます。

バリューアドバイザーズの五十嵐修平社長は、「純資産100億円以上を目安にすると安心」と指摘しています。
長期保有を前提とするなら、途中でファンドが消滅しないかどうかは重要なチェックポイントです。


4. 「シャープレシオ」で運用効率をチェック

アクティブ型を比較するうえで専門家がよく使うのが、シャープレシオという指標。
これは「リスクに対してどれだけ効率よくリターンを得ているか」を表します。

一般的な目安は次の通りです。

シャープレシオ評価の目安
0.5〜1.0平均的
1.0以上運用効率が高い

ただし、同じ資産クラス内での比較が基本。株式ファンドと債券ファンドを比べても意味はありません。


5. 毎月分配型には注意

「分配金が出ると得した気分になる」――でも、それが落とし穴になることも。
びとうファイナンシャルサービスの尾藤峰男代表は、「分配を頻繁に出すと複利効果が損なわれやすい」と指摘します。

特に資産形成期の人は、分配金を受け取らず再投資に回すことで、長期的に資産を大きく増やすことができます。
定期収入が必要な高齢者などを除き、毎月分配型・隔月分配型は避けた方が無難です。


6. テーマ型・複雑な仕組みには慎重に

最近は「AI関連」「生成AI」「グリーンエネルギー」など、特定テーマに投資するファンドも人気です。
ただし、これらは値動きが激しく、タイミングを間違えると損失を抱えるリスクも高いです。
また、デリバティブ(金融派生商品)を使った複雑な投信も初心者には不向きです。


7. 自分でスクリーニングしてみよう

ネット証券や「日経電子版の投資信託サーチ」を使えば、条件を絞って自分で探すこともできます。
たとえば、以下のように設定すると、優良ファンドが見つかりやすくなります。

  • 投資対象:国内株式 or 先進国株式
  • 決算頻度:年1回 or 年2回
  • 運用期間:5年以上(できれば10年以上)
  • 純資産総額:100億円以上
  • シャープレシオ(5年 or 10年):1.0以上
  • 通貨選択型・毎月分配型は除外

条件を厳しくすると該当ファンドは少なくなりますが、長期に持てる“本物”を見つける近道です。


8. ファンドスコアを活用する

金融情報会社が提供する「ファンドスコア」も参考になります。
運用実績・コスト・効率性などを総合評価し、5段階で「4以上」、10段階で「7以上」のファンドが高評価とされます。
ただし、過去の好成績が未来を保証するわけではありません。過信せず、分散投資を心がけることが肝心です。


まとめ:理解できるファンドを選ぶことが第一歩

アクティブ型は「夢のある投資」でもありますが、中身を理解しないまま買うと失敗するリスクがあります。
投資対象・運用方針・リスク水準を自分で把握できる範囲で選びましょう。
そして、長く続いている・規模が十分・効率的に運用されている――この3条件を満たすファンドを選べば、NISAでも安心して長期投資ができます。


📘 出典
「アクティブ型投信、どう選ぶ」日本経済新聞8(2025年10月18日 朝刊)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91991860X11C25A0PPK000/


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました