2024年度のふるさと納税額が過去最高を更新しました。寄付を通じて地域を応援しつつ、返礼品を楽しめる制度としてすっかり定着したふるさと納税。しかし、その一方で「偏在」「税源流出」といった課題も指摘されています。今回は制度の現状と問題点、そして今後のあり方について考えてみたいと思います。
ふるさと納税とは?
「ふるさと納税」は、自分が住んでいる自治体ではなく、応援したい自治体に寄付をすると、一定額が所得税・住民税から控除される仕組みです。寄付額のうち2,000円を超える部分が税控除の対象となり、多くの自治体が豪華な返礼品を用意していることから、人気を集めてきました。
制度開始当初は「地方創生の切り札」として注目されましたが、今や大都市から地方への“税収移転”の意味合いが強くなっています。
過去最高の寄付額、その背景
記事によれば、2024年度の寄付総額は過去最高に達しました。その背景には以下のような要因があります。
- 返礼品競争:地域特産品や旅行券など、魅力的な返礼品の存在。
- ポータルサイトの利便性:ワンクリックで寄付が完結する仕組みが浸透。
- 節税意識の高まり:物価高や税負担増を背景に、控除メリットを活用する人が増加。
「お得だからやる」という利用者心理と、自治体の「少しでも多く寄付を集めたい」という思惑がかみ合い、制度は年々拡大してきました。
指摘される課題
しかし、メリットばかりではありません。課題も多く報告されています。
- 都市部から地方への税源流出
東京・大阪といった都市部の自治体は、住民の税収の一部が流出し、地元の公共サービス財源が減少しています。 - 寄付額の半分近くが経費に
記事によれば、返礼品やポータルサイト手数料などで寄付額の半分が経費に消えているケースもあるとのこと。寄付本来の目的である「地域振興」に使えるお金は限定的です。 - 制度の本質からの逸脱
「ふるさとを応援する」という理念から離れ、「返礼品をもらうための制度」となりつつある点も議論の対象です。
今後どうあるべきか?
税理士・FPの視点から見ると、この制度は「個人の節税手段」であると同時に、「地域間財政の再分配装置」でもあります。
今後は以下のような方向性が求められるのではないでしょうか。
- 返礼品競争の是正:豪華さを競うのではなく、地域振興に直結する寄付の使い道を前面に出す。
- 透明性の向上:寄付金のうち、いくらが地域の事業に使われているかを明確にする。
- 都市部への配慮:地方だけでなく都市部の税収減少にも配慮したバランス設計。
まとめ
ふるさと納税は「地域を応援できる良い制度」であると同時に、「制度疲労」を抱えた仕組みにもなりつつあります。利用者としてはお得さに目が行きがちですが、寄付金の使われ方や制度の持続可能性にも目を向けることが大切です。
「ふるさと納税をどう活かすか」は、私たち一人ひとりの選択にかかっています。
👉 次回は、実際に「ふるさと納税を活用した家計改善法」と「注意したい落とし穴」について、具体的に掘り下げていきます。
(参考 納税通信 2025年8月25日号)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

