こどもNISAと相続・贈与の考え方──「誰のお金か」を曖昧にしないための整理

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こどもNISAは、親だけでなく祖父母からの資金拠出も想定された制度です。
そのため、教育資金づくりと同時に、相続や贈与との関係をどう整理するかが重要になります。
制度そのものはシンプルでも、「誰の財産として扱うのか」を曖昧にすると、後々トラブルや誤解を生みかねません。
本記事では、こどもNISAを使う際に押さえておきたい相続・贈与の基本的な考え方を整理します。

こどもNISAの資金は「子の財産」

まず大前提として、こどもNISA口座に入った資金は、名義上も実質上も「子どもの財産」です。
親や祖父母が拠出したとしても、
・親のNISA
・祖父母の預貯金
とは明確に区別されます。

これは、単なる管理口座ではなく、未成年者本人名義の資産として扱われるためです。
この点を理解せずに、「いざとなったら親の老後資金に回す」「祖父母の資産の延長」と考えてしまうと、制度の趣旨から外れてしまいます。

親からの資金拠出と贈与の考え方

親がこどもNISAに資金を拠出する場合、実務上は贈与として扱われます。
もっとも、親から未成年の子への生活費や教育費のための資金提供は、通常は贈与税の対象にはなりません。

ただし、
・将来使う目的で
・一定額を超えて
・長期間積み立てる
場合には、「生活費・教育費の都度贈与」とは性質が異なって見られる可能性があります。

こどもNISAを使う場合は、
「教育資金に充てる予定であること」
「子どもの将来のための資産形成であること」
を家庭内で明確にしておくことが重要です。

祖父母からの資金拠出で注意すべき点

こどもNISAで特に注意が必要なのが、祖父母からの資金拠出です。
祖父母が資金を出す場合、原則として贈与税の問題が生じます。

年間110万円の基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりませんが、
・こどもNISAの年間投資枠は60万円
・複数年にわたって継続的に拠出するケースが多い
という点を踏まえると、暦年贈与との関係整理が欠かせません。

また、「教育資金の一括贈与」の非課税制度と混同しないことも大切です。
こどもNISAは投資制度であり、教育資金贈与の非課税制度とは別物です。
制度をまたいだ使い方をする場合は、管理方法と目的を明確に分けて考える必要があります。

相続時にこどもNISAはどう扱われるか

親や祖父母が亡くなった場合でも、こどもNISA口座の資産は相続財産には含まれません。
すでに子ども名義に移っている財産だからです。

これは、相続対策の観点から見ると大きな特徴です。
生前に計画的に資金を移しておくことで、
・相続財産を圧縮できる
・教育資金として目的を明確にできる
という効果があります。

一方で、「相続対策だから」と過度に資金を集中させると、兄弟姉妹間のバランス問題が生じることもあります。
こどもNISAは、相続税対策のための制度ではなく、あくまで教育と資産形成が主目的である点は忘れてはいけません。

「名義だけ子ども」にならないために

こどもNISAでよくあるリスクが、実質的には親や祖父母が運用を支配し続けてしまうケースです。
未成年のうちは管理を大人が行うのは当然ですが、
・運用方針
・取り崩しの考え方
・資産の意味
については、年齢に応じて子ども本人に説明していくことが重要です。

名義だけ子どもで、中身は大人の資産運用になってしまうと、
制度の教育的な価値が薄れてしまいます。

結論

こどもNISAは、相続や贈与の「節税テクニック」として使う制度ではありません。
誰の財産かを明確にし、
教育資金と金融教育のために、
長期的な視点で使うことが前提の制度です。

親・祖父母が資金を出す場合でも、
「これは子どもの資産である」
という認識を共有しておくことが、将来のトラブルを防ぐ最大のポイントになります。

制度を正しく理解し、家庭ごとの価値観に合った形でこどもNISAを位置づけていきましょう。

参考

・日本経済新聞「こどもNISAどう使う? 幼い頃から積み立てを」(2026年1月19日夕刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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