おひとり様の介護を誰が担うのか【第5回・総まとめ】――本人と甥・姪が「今から」できる備え

FP
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本シリーズでは、おひとり様の介護を甥・姪が担うケースを切り口に、
制度の限界、お金の整理、任意後見や遺言、引き受ける側のリスクについて見てきました。

浮かび上がってきたのは、
甥・姪介護は特別な事例ではなく、これからの標準的な課題になりつつある
という現実です。

最終回となる今回は、これまでの内容を踏まえ、
「結局、何をしておけばよいのか」
を、本人側・甥姪側それぞれの視点から整理します。


おひとり様本人が、元気なうちにやるべきこと

おひとり様の介護問題で最も重要なのは、
判断能力が十分にある時期の準備です。

① 一人暮らしであることを「見える化」する

まずは、地域包括支援センターに
「高齢の一人暮らしである」
という情報を伝えておくことが重要です。

介護が始まってからではなく、
「まだ元気だが一人暮らし」という段階でつながっておくことで、
いざというときの対応スピードが大きく変わります。

② 甥・姪と早めに話し合う

介護が必要になってから突然頼むのではなく、

  • どこまで頼りたいのか
  • 何を期待していないのか
  • 施設利用も前提か

といった点を、元気なうちに共有しておくことが大切です。

「迷惑をかけたくない」という気持ちが、
結果的に準備の遅れにつながることもあります。

③ お金の流れを整理する

介護費用は、原則として本人の財産から支払われます。
そのためには、

  • 口座の所在
  • 不動産の状況
  • 毎月の支出

といった情報を、誰かが把握できる状態にしておく必要があります。

「自分のことだから自分で管理する」という姿勢と、
「万一のときに引き継げる準備」は、矛盾しません。


甥・姪が引き受ける前に確認すべきこと

甥・姪の立場で最も重要なのは、
無理を前提にしない判断です。

① 介護は義務ではないと理解する

おじ・おばの介護は、法律上の義務ではありません。
引き受けるかどうかは、あくまで選択です。

「断れない」「やるしかない」と思い込んだ状態で始めると、
途中で撤退できなくなります。

② 自分の生活を守るラインを決める

介護を引き受ける場合でも、

  • 仕事は辞めない
  • 同居はしない
  • 身体介護は専門職に任せる

など、あらかじめ「やらないこと」を決めておくことが重要です。

撤退ラインを決めることは、冷たい判断ではありません。
長期化しやすい甥・姪介護では、継続可能性を高めるための前提条件です。

③ 一人で抱えない

甥・姪介護で最も避けたいのは、
「自分がやらなければ回らない」という状況です。

地域包括支援センター、ケアマネジャー、専門家を早期に巻き込み、
役割を分散させることが、引き受ける側を守ります。


制度は「セット」で考える

本シリーズで繰り返し触れてきたように、
おひとり様介護では、制度を単体で考えると失敗しやすくなります。

  • 財産管理等委任契約
     判断能力があるうちの支援
  • 任意後見契約
     判断能力低下後の手続きと身上監護
  • 遺言
     亡くなった後の整理と感謝の明示

これらを時間軸で整理し、
必要なものを組み合わせて使うことが重要です。


専門家に相談する意味

甥・姪介護では、

  • 介護
  • 法律
  • お金
  • 税務

が複雑に絡み合います。

どれか一つだけを専門にしていても、全体像は見えません。
だからこそ、早い段階で専門家の視点を入れることが、
結果的に負担とコストを抑えることにつながります。


結論:備えとは「優しさを続ける仕組み」

おひとり様の介護問題は、
誰かの善意だけで解決できるものではありません。

本当に必要なのは、

  • 気持ちを制度に落とし込むこと
  • 無理を前提にしないこと
  • 役割を明確にすること

です。

備えとは、不安を煽るためのものではなく、
優しさを長く続けるための仕組みです。

本人にとっても、甥・姪にとっても、
「元気なうちの一歩」が、将来の選択肢を大きく広げます。


参考

  • 日本経済新聞
     「〈ライフスタイル シニア〉おひとり様 甥・姪が介護 休業制度の対象外、長期化に懸念」
  • 日本経済新聞
     「任意後見契約を結ぶ動きも」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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