【AI×確定申告/AI×スモールビジネス支援シリーズ 第8回】AI×確定申告の未来予測―5年後には“ほぼ自動”になるのか?経理ゼロ時代の行方―

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AIを活用した会計・確定申告サービスが急速に進化しています。
レシートの撮影だけで仕分けができるようになり、銀行・クレジットカード明細は自動で取り込まれ、確定申告書の入力までAIがアシストする時代が到来しました。

「じゃあ、5年後・10年後には確定申告は自動で終わるのでは?」
という疑問を持つ方も増えています。

実際、AIの進化スピードを踏まえると、確定申告の自動化は確実に進むと考えられます。しかし、「完全自動化」にはいくつかの壁もあります。

本記事では、AI×確定申告の未来像について、

  • 近未来(1〜3年)
  • 中期(3〜5年)
  • 長期(5年〜10年)
    にわけて解説し、人とAIがどのように役割分担するのかを探ります。

1.まず結論:確定申告は「ほぼ自動」になる

ただし「完全自動」ではなく、
“AIが自動化 → 人が確認する”
というハイブリッド形式が現実的な未来
です。

そして、これは個人事業主やフリーランスにとって非常にメリットがあります。


2.近未来(1〜3年):AIによる“入力の自動化”が完成する

近い将来まず実現するのが、次の領域です。


● ① レシート撮影→自動仕分けのほぼ100%化

現在でも精度は高いですが、

  • 税区分
  • 店舗名
  • 内容の認識
    などの精度がさらに向上します。

● ② 電子領収書は完全自動連携

  • Amazon
  • 楽天
  • 各種オンラインサービス
  • 交通系決済

これらの電子領収書は、自動でクラウドに取り込まれ、仕分けまで完了するようになります。


● ③ 確定申告書の自動入力が一般化

控除証明書などが自動反映され、申告書の作成作業がほぼ不要になります。

すでに一部の会計ソフトはこの方向に進んでおり、これが普及していきます。


● ④ 利益・税額の“AI予測”は当たり前に

AIが

  • 売上の傾向
  • 経費の季節性
  • キャッシュフローの未来
    を分析し、納税準備に役立つ未来予測を提示するようになります。

3.中期(3〜5年):AIが“判断の一部”まで補完する

中期的には、AIが単なる処理の自動化を超えて、「判断の補助」まで行うようになります。


● ① グレーゾーン経費の判断補助

AIが、

  • 使用目的
  • 取引内容
  • 取引先
    などの情報から、費用区分の妥当性を提案し始めます。

まだ最終判断は人ですが、迷ったときの選択肢を提示する役割として有効になります。


● ② 家事按分の“推奨割合”の提示

AIは行動データや利用状況から

  • スマホ代
  • ネット代
  • 車両費
    などの按分割合を推奨できるようになります。

● ③ 電子帳簿保存法の自動判定

現在は要件理解が必要ですが、
AIが保存条件を自動チェックし、
「このデータは電帳法の要件を満たしています」
と判定してくれるようになります。


● ④ 異常値・ミスの自動検知が高度化

AIがデータの異常値をチェックし、

  • 重複計上
  • 未入金
  • 不自然な経費
    などを提示することで、トラブルを未然に防ぎます。

4.長期(5〜10年):法制度との連携が進み、“半自動申告”が標準に

完全自動化に最も必要なのは「制度整備」です。

今後、行政側のデジタル化が進むことで、以下が実現していきます。


● ① 税務署と会計ソフトのデータ連携(将来的な構想)

銀行残高のように、税務関連データも

  • 自動で取得
  • 自動で照合
    する未来が想定されています。

● ② マイナンバーとの連携で控除データの自動取得

  • 社会保険料
  • 医療費
  • ふるさと納税
    が自動連携されると、控除の入力作業が完全に不要になります。

● ③ AIによる“自動チェック”の標準化

申告前にAIが「申告書の誤り」を自動検知し、
修正点を提案する仕組みが全体として高度化します。


● ④ 最終的には“確認ボタンを押すだけ”に

長期的には、

  • 日常の取引データ
  • 電子領収書
  • 控除証明書
  • AIによる仕分け
  • AIによる判定
    がすべて自動で揃い、

利用者は
「内容を確認して送信する」だけ
という形に近づいていきます。


5.それでも「完全自動」が難しい理由

AIがどれほど進化しても、「完全に任せられない領域」は存在します。


● ① グレーゾーンの判断

法律や税務は“白黒はっきりしない部分”が多く、
AIが判断するには限界があります。


● ② “節税”の最適解は人によって違う

  • どこまで経費にするか
  • どこまで事業投資をするか
  • 法人成りをどう考えるか
    といった判断は、個々の状況が大きく影響します。

AIは“補助”はできますが、
「人の価値観に基づく最終判断」は必要です。


● ③ 法改正への即時対応

AIが税法の細かい部分まで常に最新にできるとは限りません。

最終チェックとして人の確認が欠かせない場面があります。


6.AIが当たり前になった未来で“人”が担う役割

AIが進化すればするほど、人が担う役割は次の3つに集約されます。


● ① 判断

家事按分・特殊経費・グレーゾーンなど、人の状況理解が必要な判断。


● ② 意思決定

  • どこに投資するか
  • 何を売るか
  • どのサービスに時間を使うか
    といった経営判断。

● ③ チェック

AIが作成したデータの確認と最終承認。


AIは作業をゼロに近づけ、
人は「考える部分」に集中する未来へと移行します。


結論

AIの進化により、確定申告は間違いなく“ほぼ自動化”の方向へ向かっています。

  • 日常の経理
  • 電子領収書の保存
  • 仕分け
  • 申告書作成
    はすでにAIが大部分を担えるようになりました。

今後5年〜10年の間に、制度整備と技術革新が進めば、
「AIがすべて整えて、人は確認して送るだけ」
というスタイルが一般化していきます。

ただし、それでも完全自動化には限界があります。
税務判断や価値観を伴う部分は人が担う必要があります。

AIを活用することで、確定申告はもっと手軽に、もっと身近に、もっと安全に行えるようになります。
“作業から解放され、判断に集中できる未来”を前向きに活用していくことが大切です。


参考

・国税庁「確定申告に関する資料」
・経産省・総務省「AI活用と行政DX関連資料」
・会計ソフト各社のAI機能ロードマップ
・日本経済新聞「AIエージェントで確定申告支援」(2025年12月3日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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