【第5回】副業の種類別・節税戦略〜物販・SNS・動画・ブログ・クリエイター・投資系まで総まとめ〜

副業
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副業の働き方が多様化する中で、使える経費や確定申告の方法は副業の種類ごとに大きく異なります。
さらに、副業が軌道に乗ると「そろそろ法人化を検討したほうがいいのか?」という悩みが生まれます。

最終回では、

  • 副業の種類ごとの節税ポイント
  • 法人化を考えるべきタイミング
    をわかりやすく整理し、「自分の副業に合った節税戦略」を選べるようにまとめます。

1. SNS・ブログ・YouTubeなどの“コンテンツ系副業”

● 主な収入

  • Google AdSense
  • ASP広告(アフィリエイト)
  • YouTube収益
  • SNS広告収入
  • note販売 など

● 主に使える経費

  • パソコン
  • カメラ・マイク・照明
  • 編集ソフト(Adobe、Canva等)
  • ChatGPTなどAIツール
  • 取材・撮影の交通費
  • カフェ代(作業が明確な場合)
  • 書籍・教材
  • ネット回線・通信費(按分)

● 節税のポイント

  • 30万円特例で機材を一括経費にできる
  • 動画系は「必要経費の幅が広い」ため節税しやすい
  • 作業部屋を整えて 家事按分が使いやすい
  • 青色申告との相性が非常に良い

2. 物販(せどり)・転売ビジネス

● 主な収入

  • 商品仕入れ → Amazon・メルカリ等で販売

● 主に使える経費

  • 仕入原価
  • 発送資材
  • 配送料
  • Amazon FBA手数料
  • 在庫管理ツール
  • 車両費(仕入れ・配送の実態がある場合)
  • 棚や収納グッズ(按分可)
  • 仕事エリアの家賃按分

● 節税のポイント

  • 棚卸(在庫)管理が重要
     → 在庫が年末に残っていると“経費にならない”
  • 車の利用が多い場合は任意保険・燃料代の按分が可能
  • 商品撮影で使う備品は経費にできる
  • 在庫管理がしっかりすると“事業所得”の実務要件も満たしやすい

3. ハンドメイド・イラスト・デザイン

● 主な収入

  • BASE・minne・Creema 等の販売
  • デザイン制作
  • ロゴ・イラスト制作

● 主に使える経費

  • 材料費(生地・樹脂・紙・インク等)
  • 制作用ツール(PC・タブレット・ペン)
  • Adobe等のデザインソフト
  • 撮影機材
  • 資材保管の棚
  • 封筒・梱包資材・郵送費

● 節税のポイント

  • 「材料費」が高額になりやすく、経費計上の効果が大きい
  • 在庫管理(材料と完成品)を丁寧にする
  • iPad・Apple Pencilなどが高確率で経費の対象
  • 家事按分で仕事部屋の家賃の一部を経費にできる

4. 写真・動画クリエイター(副業撮影・編集)

● 主に使える経費

  • カメラ・レンズ
  • マイク・照明・三脚
  • 編集用パソコン・ソフト
  • 現地撮影の交通費
  • 外注費(動画編集依頼)
  • SDカード・ハードディスク
  • スタジオレンタル費

● 節税のポイント

  • 高額機材が多い → 30万円特例の恩恵が最大級
  • 取材交通費がはっきりしており経費計上しやすい
  • 機材の買い替えサイクルが短い
  • 青色申告での65万円控除と非常に相性が良い

5. コンサル・オンライン講師・ビジネス系副業

● 主な収入

  • オンライン講座
  • コンサルティング
  • コーチング
  • ZOOM面談
  • セミナー登壇

● 主な経費

  • パソコン・マイク
  • オンライン会議システム
  • 書籍・教材
  • ZOOM有料版
  • コンサル資料制作費
  • ChatGPTなどのAIツール
  • 自宅事務スペース(按分)

● 節税のポイント

  • 打合せ・商談が多いため、通信費の按分割合が高くなる
  • セミナー用資料制作で外注費が大きく使える
  • 交通費をはじめ「事業性」が明確で税務処理がしやすい
  • 青色申告のメリットを大きく享受できる

6. 投資系副業(YouTube・情報発信・配当・トレード系)

※注意:投資自体は“副業”ではないが、投資情報の発信や投資コミュニティ運営は課税対象。

● 節税上の注意

  • 株・投信・FXの損益は「雑所得(区分が異なる)」で、副業収入とは別計算
  • 情報発信の収益は“副業の雑所得・事業所得”として計算
  • トレードの失敗(含み損)を副業の経費にすることは不可
  • コミュニティ運営・教材販売は事業所得になりやすい

● 投資情報発信の経費例

  • 書籍・専門資料
  • チャートソフト
  • 有料コミュニティ
  • マーケットデータ提供サービス
  • 配信用機材

7. 副業から法人化を検討すべきライン

副業が成長し、次の段階(事業化)を目指す場合に出てくるのが“法人化”の選択肢です。
ただし、法人化は「検討の開始時期」と「実際に法人化すると節税効果が出る時期」が異なるため、ここを分けて考える必要があります。


◆【結論】

● 準備を始めるライン → 利益300〜500万円

● 税務メリットが本格的に出るライン → 利益800万円以上


【1】なぜ「300〜500万円」で“検討を始める”のか?

① 法人化は準備に時間がかかるから

法人化は単に会社を作れば終わりではなく、

  • 経理体制
  • 社会保険加入
  • 役員報酬の設計
  • 取引先との契約変更
  • 法人口座の開設
  • 資金管理
    など、整えるべき土台が増えます。

利益が800万円を超えてから準備を始めると遅い
というのが実務の感覚です。


② 業種によっては800万円未満でも法人が有利になる

特に以下の副業は、利益500万円未満でも“法人のほうが運営しやすい”ことがあります。

  • 外注費が多い
  • 設備投資が大きい(動画・物販)
  • 個人より法人の方が信頼される業態(コンサル・クリエイティブ)
  • 請負契約で法人限定の案件が来る
  • 納品スキームが法人前提

つまり、「税金目的」ではなく
“事業としての成長段階”の観点で300〜500万円が検討ラインになる
ということです。


【2】なぜ「800万円」から法人化が有利と言われるのか?

税金だけで見ると、法人化が有利になるのは次の理由です。


● 個人:累進課税で33%(課税所得900万円)ラインが重い

  • 所得税+住民税 → 実質 33%〜43%

● 法人:実効税率 約23%前後

  • 中小企業は優遇あり
  • 所得800万円部分は軽減税率(15%)も適用されやすい

そのため、
“純粋な節税メリット”だけで判断すると、法人化は利益800万円超が目安
という考え方が一般的です。


【3】整理するとこうなります

規模判断の意味検討内容
利益300〜500万円準備段階社会保険・会計・契約変更・収益構造を検討
利益600〜700万円様子を見るライン個人で頑張るか、法人化をいつ行うか判断
利益800万円以上本格的な節税効果法人の税率が個人より明確に低くなる

つまり、
「300〜500万円で検討開始」「800万円で効果が出る」
という二段階構造が理想的です。


【4】副業の種類別:法人化と相性の良い業態

● SNS・動画クリエイター

→ 高額機材・外注・企業案件が多い
→ 法人格への信頼+経費管理のしやすさが大きい

● 物販(せどり)

→ 在庫管理・外注・仕入契約の都合で法人化と相性が良い
→ 仕入先が法人との取引を前提にすることも多い

● コンサル・講師

→ 法人の方が契約単価が高くなる傾向
→ B to B案件で法人格が求められる

● デザイン・制作・Web系

→ 外注をまとめたり、法人取引の信用力が必要になることが多い


結論

法人化は、

  • 税金
  • 社会保険
  • 契約形態
  • 信用力
  • 事業成長
    を総合的に判断して決めるもので、「節税だけで判断するべきではない」制度です。

● 税金だけで見るなら → 利益800万円以上が法人の本番

● 事業の準備としては → 利益300〜500万円で検討開始

副業が“事業”へ成長していく流れの中で、法人化は必ず検討するタイミングが訪れます。
そのとき迷わず判断できるよう、早めの準備が大切です。


出典

・国税庁「法人税の基本」
・国税庁「中小企業の軽減税率」
・日本政策金融公庫「法人化の手引き」
・中小企業庁「法人化のメリット・デメリット」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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