α世代と人生100年超時代──不老社会が突きつける制度と生き方の再設計

人生100年時代
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医療技術や生命科学の進展により、人類の寿命は着実に延びてきました。近年では、単に平均寿命が延びるだけでなく、「老いそのものを制御する」可能性が現実味を帯びています。
日本経済新聞が報じたα世代(2010年以降生まれ)に関する特集では、人生100年を超える時代が現実の前提になりつつある一方で、若い世代自身は「ただ長く生きたい」とは必ずしも考えていない姿が浮かび上がりました。
本稿では、不老社会・人生100年超時代がもたらす変化を整理し、制度と生き方をどう再設計すべきかを考えます。

人類は「老い」を制御できるのか

脳とコンピューターを直接つなぐ技術、細胞を材料として臓器を作るバイオ3Dプリンター、老化細胞を除去する医薬研究など、これまでSFの領域にあった技術が実用段階に入り始めています。
こうした技術の本質は、寿命を無限に延ばすことではなく、「衰えを遅らせ、機能を補う」点にあります。老化を完全に止められなくても、健康な状態を長く保てるのであれば、人生の質は大きく変わります。

α世代が望むのは「長さ」より「質」

調査によれば、α世代の多くは100歳以下の人生を望んでいます。これは、長寿そのものよりも、幸福や自由、充実感を重視していることの表れといえます。
無限に近い寿命が与えられても、社会制度が今のままであれば、働き続けなければ生活できない不安や、世代間の負担の歪みが拡大する可能性があります。若い世代は、その矛盾を直感的に感じ取っているのかもしれません。

制度は「短い人生」を前提につくられている

年金制度や医療保険制度は、平均寿命が今よりはるかに短い時代に設計されました。寿命が10年、20年と延びる中で、同じ仕組みを維持すれば、現役世代の負担増や給付水準の低下は避けられません。
人生100年超が当たり前になれば、「何歳まで働くか」という問い自体が意味を変えます。教育・就労・引退という一直線の人生モデルは再考を迫られ、多様な学び直しや働き方を前提とした制度設計が必要になります。

健康寿命こそが最大の鍵

平均寿命と健康寿命の差は、医療財政や介護負担を左右する重要な要素です。健康な期間が延びれば、個人の幸福度が高まるだけでなく、社会全体の経済的価値も大きくなります。
海外研究では、健康寿命が1年延びるだけで、経済的価値はGDPの数%分に相当するとされています。長生き社会の成否は、医療技術だけでなく、予防・生活習慣・社会参加の仕組みにかかっています。

結論

α世代は、人類史上初めて「老いを制御できる可能性」と共に生きる世代です。しかし、彼らが本当に求めているのは不老不死ではなく、納得感のある人生です。
人生100年超時代に必要なのは、長寿を前提にした制度の延命ではなく、働き方・学び方・支え合い方を含めた社会全体の再設計です。その覚悟が、いまを生きる大人世代に問われています。

参考

・日本経済新聞「α-20億人の未来(9)α世代の過半、人生100年超」
・国連 人口推計
・オックスフォード大学ほか 健康寿命と経済効果に関する研究


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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