REITシリーズ 第1回「REITとは何か ― 初めての不動産投資信託をやさしく解説」

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投資の選択肢として「REIT(リート)」が気になっているけれど、仕組みが少し複雑に感じられるという方は多いのではないでしょうか。REITは不動産を株式のように売買できる仕組みで、比較的少額から始められることが特長です。分配金が得られることも魅力で、安定収入を求める個人投資家にも人気が高まっています。

この第1回では、REITの基本構造から収益の仕組み、セクターごとの特徴までを、はじめての方にも分かりやすい形で整理します。

● REITとは何か

REIT(Real Estate Investment Trust)は、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれます。複数の投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。

投資家としては、不動産を直接購入するよりずっと少ない金額で、オフィスビルやマンション、物流施設などに間接的に投資できる点がメリットです。

● REITの構造はどうなっている?

REITは「投資法人」によって運営され、物件の取得や管理は外部の「資産運用会社」が担います。

  • 投資家:投資口を購入してお金を出す
  • 投資法人(REIT):集めたお金で不動産を所有
  • 資産運用会社:専門家が運用を担当(物件取得・管理・リニューアルなど)
  • 不動産:賃料収入や売却益が投資家に還元される

このように役割が分担されているため、投資家自身が不動産の管理や運営をする必要はありません。

● 分配金はどのようにして支払われる?

REITは、収益の多くを投資家に還元することが法律で求められています。
通常の会社では利益の一部だけが配当されますが、REITは利益の90%以上を分配すれば法人税がかからない仕組みになっています。

そのため、他の株式投資と比べて分配金利回りが高めになる傾向があります。

● 上場REITと私募REITの違い

REITには大きく分けて二つの種類があります。

  • 上場REIT(J-REIT):東京証券取引所に上場し、株式と同じように売買できる
  • 私募REIT:機関投資家向けで市場では売買不可

一般の個人投資家が取引するのは上場REITが中心です。値動きが見えて売買しやすい点が特徴です。

● REITはどんな種類があるのか

REITは投資対象の不動産によって大きく性格が変わります。日本のREITは次のような分類が代表的です。

  • オフィスREIT:大都市のオフィスビルが中心
  • 住宅(レジデンス)REIT:マンション、賃貸住宅
  • 物流REIT:倉庫、配送拠点、物流センター
  • ホテルREIT:宿泊施設
  • 商業REIT:ショッピングセンターや商業ビル
  • 複合型REIT:複数の用途に分散

たとえば物流REITは景気変動の影響を受けにくい一方、ホテルREITはインバウンドや景気の回復に左右されやすいなど、それぞれ特徴があります。

● REIT投資の魅力

REITが個人投資家に支持されている理由は次の通りです。

  1. 少額からプロ並みの不動産投資ができる
  2. 高めの安定分配金(利回り)を期待できる
  3. オフィス・住宅・物流などへの分散投資が可能
  4. 株式のようにいつでも売買できる(流動性が高い)

不動産の直接購入や管理とは異なり、手間をかけずに資産運用に取り組める点は大きなメリットです。


結論

REITは、少額から始められ、分配金を得ながら多様な不動産に投資できる便利な仕組みです。不動産への投資経験がない初心者でも取り組みやすく、また中級者にとってもポートフォリオの安定性を高める選択肢になります。

次回の第2回では、REITの主要セクターのひとつである「オフィスREIT」について、現在の市場環境や課題を中心に解説していきます。


出典

・国土交通省「不動産投資市場に関する資料」
・東京証券取引所「J-REIT市場データ」
・各種REIT決算資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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