<記載日:2025年7月20日>
今回のスタディグループの講義は、今年度の税制改正の1つでありますiDeCo の改正事項のうち、受取時のルールが「5年ルール」から「10年ルール」に変更となりました件について、どのように受け取るのが良いのか、一緒に考えることによって、理解を深めていきたいという主旨で行ないました。
今回の記事でも、引き続き、内容をご連携させていただきます。
全体の資料は、こちらになります。
また、全体の資料は24ページにもおよびますので、説明箇所のページを1枚ずつ添付し、説明させていただきます。
それでは、14枚目のスライドをご覧ください。
いよいよ、ここからは「5年ルール」が「10年ルール」に改正されたことに対して、どのように受け取るのが良いのかを一緒に考えていきたいと思います。
今回、スライドにある6パターンの受け取り方について、見ていきたいと思います。
なお、それぞれのスライドに税金の計算事例をつけていますが、時間の関係上、細かくは見ませんので、後ほどご確認いただければと思います。
15枚目のスライドをご覧ください。
まずは、パターン①として、60歳時に確定拠出年金を一時金で受け取って、70歳時に退職金を一時金で受け取るパターンを見ます。
このパターンは、「10年ルール」に該当するため、確定拠出年金、退職金ともに、重複期間を含めて退職所得控除を受けることができます。
ただし、このパターンは、70歳まで定年延長もしくは定年制廃止となった企業にお勤めの方しか使えません。
加えて、仮に70歳まで定年延長となった企業にお勤めの方についても、企業型確定拠出年金の規約で加入者資格喪失年齢が60歳と定められていなければ、60歳時に確定拠出年金を受け取ることができませんので、確認する必要があります。
続いて、16枚目のスライドをご覧ください。
このパターン②は、早期退職とかされた方は、「19年ルール」を使うことができるかもしれない、ということです。
先程申し上げたとおり、退職金を先に受け取り、iDeCoを後に受け取る課税については「19年ルール」がありますので、早期退職をされた方は、退職金を受け取り、20年以上あけてからiDeCoの一時金を受け取ることで、共に重複期間を含めて退職所得控除を受けることができます。
計算事例は、ここでは見ませんので、後ほどご確認いただければと思います。
なお、早期退職された場合、再就職先の企業に企業型確定拠出年金の制度があれば、そちらに元会社での企業型確定拠出年金を移すことができますが、再就職先の企業に企業型確定拠出年金の制度がない場合、もしくは個人事業主やフリーランスになられた場合等は、元会社での企業型確定拠出年金は iDeCoに移すことになります。
また、この後、出てきますが60歳に退職した場合も、その後、一定の要件のもとで 70歳未満(改正前は65歳未満)であれば iDeCoに加入する(掛金を拠出する)ことができます。
17枚目のスライドをご覧ください。
このパターン③では、退職金を一時金で受け取り、確定拠出年金を年金で受け取ることで、退職一時金は退職所得控除、年金額については公的年金等控除を受けることができます。
ただし、公的年金も同時に受け取ると、年金の受取総額が公的年金等控除を上回ることが多いため、公的年金については繰下げ受給を行ない、それまでの期間につき、確定拠出年金を年金で受け取る等の工夫が必要となります。
また、60歳から65歳までの空白期間についてだけ、年金で受け取れば良い、という考え方もありますが、スライドの上から2つ目の計算事例にあるように60歳~65歳の公的年金等控除は60万円と、少ないんですよね。
なので、今回の事例では、公的年金等控除が110万円になる65歳以上の期間についても受取期間に入れたくて70歳までの受け取りにしています。
この事で年金額が小さくなることも合わせて、公的年金等控除を有効に活用できることになります。
なお、確定拠出年金を年金で受け取る場合、社会保険料も上がるので、年金額が大きくなる場合は、次の18枚目のスライドやその次の19枚目のスライドにありますように、一部一時金で受け取る等も検討する必要があります。
18枚目のスライドをご覧ください。
このパターン④は、確定拠出年金の運用期間は75歳までとなっているため、遅くても75歳から年金受取を開始しなければなりませんが、退職金の受け取りをしてから20年経った時点でiDeCoの年金で受け取った残額を一時金で受け取り、そのことで、この一時金につき「19年ルール」を適用する、という方法です。
ただし、年金受取期間は公的年金と合算され公的年金等控除の対象となりますので、実際の課税が生じるものと思われます。
なので、受け取る年金額を可能な限り少額にするため、年金受取期間の最長である20年の受取りを選択します。
そうすることで、一時金で受け取る金額も増加します。
では、19枚目のスライドをご覧ください。
このパターン⑤は、60歳で定年退職し、退職金を一時金と年金で受給することで、退職所得控除と公的年金等控除の両方を使います。
また、一時金と年金に分けて受給することにより、一時金の金額が下がり、退職所得控除の金額より下回ることで勤続年数が「みなし勤続年数」で計算され、重複している期間分を短くみなして計算してくれるので、確定拠出年金を一時金で受け取る際に、使える退職所得控除が大きくなります。
合わせて、年金額も少なくなり、公的年金等控除の範囲内に収めることができる可能性がでてきます。
20枚目のスライドをご覧ください。
パターン⑥は、まずパターン⑤と同様に60歳で定年退職し、退職金を一時金と年金で受給することで、退職所得控除と公的年金等控除の両方を使います。
そして、確定拠出年金については、運用期間が75歳までとなっているため、遅くても75歳から年金受取を開始しなければなりませんが、退職金の受け取りから20年経った時点で iDeCoの年金で受け取った残額を一時金で受け取ることで、この一時金につき「19年ルール」を適用します。
いわばパターン④とパターン⑤のミックス版ということです。
この場合も、確定拠出年金の年金受取期間は公的年金と合算され公的年金等控除の対象となるため、実際の課税が生じるものと思われます。
ですので、受け取る年金額を可能な限り少額にするため、年金受取期間の最長である20年の受取りを選択します。
また、このことで、一時金で受け取る金額も増加します。
長くなってきましたね…。
切りが良いところで、今回はこれくらいにさせていただき、続きは次回以降で!
引き続き、よろしくお願いいたします!