iDeCoやNISAは、長期の資産形成を後押しする制度として広く活用されています。
非課税という制度上のメリットもあり、「iDeCoとNISAの両方を使えば分散できている」と考える人も少なくありません。
しかし、制度を分けたからといって、投資リスクまで自動的に分散されるわけではありません。
本稿では、iDeCo・NISAを使った分散投資で陥りやすい落とし穴を整理します。
制度が違っても中身が同じになりやすい
最も多い落とし穴は、iDeCoとNISAで似た商品を選んでしまうことです。
制度は異なっていても、
・どちらも海外株式中心
・どちらも実質的に米国株比率が高い
という構成になっているケースは珍しくありません。
この場合、「制度分散」はできていても、「投資対象の分散」はできていません。
iDeCoとNISAは、役割を分けて設計しないと、単に同じリスクを二重に持つ結果になりやすい点に注意が必要です。
非課税メリットを意識しすぎてリスクを取り過ぎる
iDeCoもNISAも、運用益が非課税になる点が大きな魅力です。
その結果、「どうせ非課税だから」とリスクの高い資産に偏りやすくなる傾向があります。
特に、
・価格変動の大きい株式100%
・成長期待だけで選んだテーマ型商品
などを組み合わせると、短期的な下落時に精神的な負担が大きくなります。
非課税はあくまで「税制上の優遇」であり、値下がりリスクを消してくれるものではありません。
iDeCoの「引き出せない制約」を軽視してしまう
iDeCo最大の特徴は、原則として60歳まで引き出せない点です。
この制約を十分に意識せず、リスクの高い運用を続けてしまうケースがあります。
長期であることを理由にリスクを取り過ぎると、
・受け取り時期直前の下落
・取り崩し開始時の不利な相場
といった影響を強く受けます。
iDeCoでは「長期だから株式多め」ではなく、「出口を意識した分散」が重要になります。
NISAを「自由枠」と誤解してしまう
一方、NISAはいつでも売却できるため、iDeCoより自由度が高い制度です。
この自由度が、逆に落とし穴になることがあります。
・相場が下がると売ってしまう
・商品を頻繁に入れ替えてしまう
といった行動につながりやすく、結果的に長期投資のメリットを削いでしまうことがあります。
NISAは「自由に動かせる制度」ですが、「動かすべき制度」とは限りません。
iDeCoとNISAの役割分担が曖昧
分散投資がうまくいかない背景には、役割分担の不明確さがあります。
例えば、
・iDeCoは老後資金の土台
・NISAは柔軟に使える成長枠
といった整理ができていないと、両制度で同じような資産構成になりやすくなります。
役割が曖昧なままでは、分散しているようで実質的な効果は限定的です。
年齢が上がっても配分を変えない
もう一つの落とし穴は、年齢やライフステージが変わっても配分を見直さないことです。
若い時期は問題なかった資産配分でも、
・受け取り時期が近づく
・収入が減少する
といった変化があれば、リスク許容度も変わります。
iDeCo・NISAは長期制度であるからこそ、定期的な見直しが欠かせません。
結論
iDeCoとNISAを併用すること自体は、分散投資の有効な手段です。
しかし、制度を分けただけでは分散にはなりません。
重要なのは、
・中身の重複を避けること
・制度ごとの役割を明確にすること
・出口を見据えて配分を調整すること
です。
iDeCo・NISAは「非課税で増やす制度」ではなく、「人生設計に合わせて使い分ける制度」であることを意識する必要があります。
参考
・日本経済新聞「個人投資家、分散投資進む」
・iDeCoおよびNISA制度に関する公的解説資料
・長期資産形成とリスク管理に関する金融教育資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
