FP×AI革命シリーズ 第3回 AI時代にFPは生き残れるのか? ― “共存共栄”を実現する条件

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AIが急速に普及する現在、「このままAIが進化すればFPという仕事はなくなるのではないか」という懸念を耳にすることが増えています。第1回では米国FPの危機感、第2回ではAIがもたらす「二重の脅威」を整理しました。
では、FPはこの巨大な変化の波の中で、生き残ることができるのでしょうか。

答えは、単純な“YES”でも“NO”でもありません。
AIはFPにとって脅威であると同時に、FPが飛躍するための強力な味方でもあります。
重要なのは「AIをどう使いこなし、AIとどう向き合うか」という姿勢です。

本稿では、AI時代にFPが生き残り、価値を維持・拡大するための視点を整理します。

1. AIは敵ではなく「避けられない隣国」である

AIとの関係を考えるうえで、ある隠喩(メタファー)が分かりやすいと筆者は感じています。それは「AIを脅威と感じる隣国」に例える考え方です。

たとえば、隣り合う国同士は、関係が良くても悪くても、地理的に隣接している以上、完全に関係を断つことはできません。脅威に感じる相手であっても、経済や文化の面で一定のつながりを維持し、Win-Winとなる共存関係を模索しなければなりません。

AIも同じです。
AIを脅威と感じても、もはやそれを避けて生きることはできません。
AIなしで暮らす未来を想像することは、ほぼ不可能になりました。

したがって、FPにとっての重要な問いは、
「AIをどう遠ざけるか」ではなく「AIとどう共存するか」
なのです。


2. AIを使いこなすFPは“拡張される”

AIの最大の特徴は、「人間の能力を飛躍的に拡張する」という点です。

FPがAIを使いこなせば、

  • キャッシュフローの作成
  • シミュレーションの比較
  • 提案書の文章化
  • 顧客の質問への一次回答
  • 市場情報の収集
  • 複雑な法制度の整理

こうした業務が数分で終わることも珍しくありません。

本来であれば、FP1人では抱えきれない複数の案件も、AIを活用することで短時間で処理できるようになります。

つまり、
AIはFPを「代替する存在」ではなく「拡張する存在」
として働く可能性が高いのです。

AIを使いこなすFPは、

  • 同じ時間でより多くの顧客に対応できる
  • より複雑な相談に時間を割ける
  • 提案内容の質が安定する
  • 顧客満足度が高まる

といった恩恵を得ることができます。

逆にいえば、AIに慣れないFPと、AIを自在に使いこなすFPの間で、
圧倒的な生産性格差が生まれる
ということでもあります。


3. AIはFP業界の競争を加速させる

AIの普及がFPを“拡張する”一方で、競争を一段と加速させる側面もあります。

AIを扱えるFPは業務スピードも提案の質も劇的に向上しますが、扱えないFPは旧来の方法のままです。
その結果、

  • 顧客対応のスピード
  • 提案書の完成度
  • 論点整理の精度
  • 提供できる価値
  • コスト構造

これらすべてに差が生まれます。

特に、顧客側が「AIで作られた高品質な提案書」を見慣れていくと、
AIを使わないFPのアウトプットが“古い”と評価される時代が来る
可能性があります。

これはつまり、FP同士の競争がこれまで以上に激しくなるということです。

AIによる効率化を喜ぶ一方で、
AIを使う者と使えない者の格差が広がるリスク
が存在することを忘れてはなりません。


4. AIは“相談相手”としてのFPの価値をむしろ高める

では、FPという職業そのものはどう変化するのでしょうか。

AIは

  • 事務作業
  • 計算
  • 情報提供
  • 一般論の提示

といった“作業的な部分”を得意とします。

一方でFPが担うべき本質的な価値は、
顧客の人生に寄り添い、深い対話を通して意思決定を支えること
にあります。

ライフプランには、顧客本人が気付いていない価値観や葛藤があります。
たとえば、

  • 本当は家を買うか迷っている
  • 老後の不安が漠然として言語化できない
  • 家族関係や将来の介護問題が背景にある
  • 収入と支出のバランスに自信がない
  • 人生の優先順位が見えていない

こうした“曖昧で、言葉にならない悩み”に向き合うのは、AIよりも人間のFPの方が圧倒的に得意です。

AIは質問されたことには答えられますが、
顧客本人が気付いていない本質的問題を発掘することは苦手
です。

だからこそ、
AI時代になればなるほど、「相談相手としてのFPの存在価値」が増す可能性があります。


5. FPがAIと共存するための3つの条件

FPがAI時代に価値を高めるには、次の3つの視点が欠かせません。

(1)AIを“道具”として使いこなす

AIを避けるのではなく、積極的に業務に取り込むことで、生産性を最大化できます。
「AIを扱えるかどうか」そのものが競争力の源泉になります。

(2)人間にしかできない“対話”を深める

顧客の価値観を引き出し、意思決定を支える役割は、FPが担う最大の強みです。
AIは「答える」ことは得意ですが、「気付かせる」ことは苦手です。

(3)金融教育や初学者支援など、AIが入り込みにくい市場を開拓する

金融初学者は、そもそもAIに何を聞けばよいかが分かりません。
この部分は人間のFPが圧倒的に優位です。

FPの役割は、
AIが代替できる仕事ではなく、AIが苦手な仕事へシフトする
ことで大きく広がっていきます。


結論

AIはFP業務を効率化し、競争を激化させる一方で、FPが本来持つ価値を“浮き彫り”にする効果もあります。
AIと共存するFPは、AIによって拡張され、より多くの顧客に高い価値を提供できる未来を描けます。

重要なのは、AIと対立することではなく、AIを受け入れ、自分の価値をどこに置くかを明確にすることです。
AIを使いこなすFPこそが、これからの時代の中心に立つでしょう。

次回は、FPがAI時代に広げるべき「新市場」について、さらに踏み込んで解説します。


出典

・日本FP協会「Trend Watch」掲載記事(2024–2025)
・AI活用に関するFP事務所ヒアリング内容


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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