令和10年4月から、地方税の電子申告システムである eLTAX にも自動ダイレクト納付が導入される予定です。
すでに国税では e-Tax において同様の仕組みが運用されており、今回の改正は「国税と地方税の電子納付の差」を縮める動きといえます。
もっとも、両者は同じ名称の制度であっても、対象税目や実務上の注意点には違いがあります。本稿では、自動ダイレクト納付を軸に、e-TaxとeLTAXの違いを整理します。
対象となる税金の違い
まず最も大きな違いは、対象となる税金です。
e-Taxは国税を対象とするシステムであり、
- 所得税
- 法人税
- 消費税
- 相続税・贈与税
などが対象になります。
一方、eLTAXは地方税を対象とするシステムであり、
- 法人住民税
- 法人事業税
- 個人住民税(特別徴収)
- 固定資産税(償却資産)
などが対象です。
このため、同じ事業者であっても、
「国税はe-Tax、地方税はeLTAX」
という二本立ての管理が必要になる点は変わりません。
自動ダイレクト開始時期の違い
自動ダイレクト納付の導入時期にも差があります。
e-Taxでは、
- 令和6年4月から自動ダイレクトが開始
されており、すでに実務で利用可能です。
これに対してeLTAXでは、
- 令和10年4月1日以後に行う手続から適用
とされており、今後数年間は従来方式が続きます。
国税と地方税で運用開始時期が大きく異なる点は、実務上の混乱を招きやすいため注意が必要です。
申告と納付の一体化の仕組み
両システムに共通するポイントは、
「申告データの送信時に、納付の意思表示を行う」
という考え方です。
申告送信時に、
- 自動ダイレクトを利用する旨を選択
することで、法定納期限日に自動的に口座引落しが行われます。
これにより、
- 申告後に別途納付操作を行う必要がなくなる
- 納付忘れのリスクが大幅に低下する
という効果があります。
この基本構造自体は、e-TaxとeLTAXで共通です。
期限当日の取扱いの違いと共通点
期限当日の取扱いも重要な比較ポイントです。
eLTAXでは、
- 法定納期限当日に申告と同時に納付意思表示
- 税額が1億円以下
という条件を満たす場合、翌取引日に引落しが行われますが、
期限内納付とみなす特例が設けられます。
e-Taxにおいても、同様に期限当日の手続に配慮した運用がなされており、
「電子申告を前提とした期限管理」
という考え方が共通しています。
一方で、税額制限や具体的な処理フローは今後の運用通知等で細部が整理される可能性があり、完全に同一とは限りません。
実務管理上の違い
実務面での違いとして見逃せないのが、管理の複雑さです。
e-Taxでは、
- 税目が比較的集約されている
- 納付先が国に一本化されている
という特徴があります。
一方、eLTAXでは、
- 複数の自治体が関与する
- 税目ごとに納付先が異なる場合がある
という事情があり、
自動ダイレクト導入後も、口座設定や税目管理の重要性は高いままです。
「自動化=完全に意識しなくてよい」
というわけではない点は、地方税特有の注意点といえます。
両制度をどう使い分けるか
今後の実務では、
- 国税はe-Taxで自動ダイレクト
- 地方税はeLTAXで自動ダイレクト
という並行運用が前提になります。
そのため、
- 税目ごとの納期限
- 口座引落し日
- 税額確定のタイミング
を横断的に管理する体制づくりが重要になります。
特に士業や経理部門では、
「国税と地方税を一体で見渡す視点」
がこれまで以上に求められるでしょう。
結論
e-TaxとeLTAXの自動ダイレクト納付は、仕組み自体は似ていても、
- 対象税目
- 導入時期
- 管理の難易度
に違いがあります。
今回のeLTAX改正は、国税と地方税の電子化レベルをそろえる大きな一歩ですが、実務では両者の違いを理解したうえでの運用が欠かせません。
申告と納付を「別物」として管理する時代から、
電子申告を起点に一体管理する時代へ。
その転換点が、これから数年の準備期間に訪れるといえます。
参考
- 税のしるべ
- 令和8年度税制改正大綱
- 国税・地方税における電子申告・電子納付制度の概要
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
