シリーズ第5回:シニア世代の活用と注意点
日本は人口の3割が65歳以上という「超高齢社会」に突入しました。
シニア世代にとっても、対話型AIは「便利な相棒」として生活の一部になりつつあります。
調べ物や趣味の相談、健康や介護に関する情報収集、さらには日常の孤独を和らげる存在として、AIは役立ちます。
しかし同時に、高齢者特有のリスクや注意点もあります。ここでは、AIをシニアがどう活かすべきか、税理士・FPの視点から考えてみます。
シニア世代が感じるAIの魅力
高齢者にとってAIの魅力は「いつでも・どこでも・気軽に使えること」です。
- スマホに話しかければ、薬の飲み合わせや病気の基礎知識をすぐに確認できる
- 趣味(園芸、料理、旅行)の情報を、雑談感覚で得られる
- 孤独を感じたときに話し相手になってくれる
特に一人暮らしや配偶者に先立たれた方にとって、AIは「心を支える伴走者」になりやすいのです。
高齢者ならではのリスク
一方で、シニア世代には特有のリスクもあります。
- 情報の真偽を見抜きにくい
AIは“もっともらしい答え”を返しますが、必ずしも正しいとは限りません。誤った医療や税務情報を鵜呑みにする危険があります。 - 孤独の強まり
人間関係よりAIとの会話に傾きすぎると、社会との接点がさらに減ってしまう恐れがあります。 - 詐欺や悪用のリスク
AIで生成された偽情報や巧妙な詐欺に巻き込まれやすいのも高齢者。特に資産を持つ世代だけに注意が必要です。
FP視点:シニアとお金の安心
生活設計の観点から見ると、AIは「不安を見える化」する力を持っています。
- 年金の仕組みを質問する
- 相続や贈与の一般的な流れを調べる
- 老後の生活費や医療費の試算をAIでしてみる
こうした使い方で、まず大枠を理解するのは有効です。
ただし、最終判断は必ず専門家に相談することが肝心です。制度や税務は「ケースごとに条件が違う」ため、誤解はトラブルに直結します。
シニアにおすすめのAI活用法
- 日常の相談相手
孤独感の軽減や趣味の充実に。安全に“雑談相手”として活用。 - 情報整理の下準備
医療・介護・税金の知識をAIでざっくり確認し、専門家に相談する前の予習に。 - 生活の効率化
買い物リストや家計簿、簡単な料理レシピなど、暮らしを便利にする道具として。
まとめ:AIは「安心の補助輪」に
シニア世代にとって、AIは孤独を和らげ、生活の利便性を高める強力なツールです。
ただし、過度な依存は「判断力の低下」や「孤立」を招きかねません。
税理士・FP的に見た注意点
- 相続・贈与・年金は必ず“人”に確認を
- AIを「不安を整理する補助輪」と位置づける
- 情報は複数のソースで照合し、鵜呑みにしない
AIを上手に取り入れることで、シニアの暮らしはより安心で豊かになります。
「心の支え」と「生活の補助輪」としてAIを賢く使うことが、これからの高齢社会に求められる姿勢でしょう。
(参考 2025年9月15日付 日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
