AI「優等生」から一転、警戒モードへ――マイクロソフト急落が示す市場の視線

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生成AIを軸にした米国株の上昇相場のなかで、象徴的な出来事が起きました。
AI投資の「優等生」と評価されてきたマイクロソフトの株価が、決算発表をきっかけに1日で10%下落したのです。
業績自体はおおむね市場予想を上回っていたにもかかわらず、なぜこれほど大きな反応が起きたのでしょうか。本稿では、この株価急落の背景を整理し、AI投資相場が次の段階に入ったことの意味を考えます。

1.決算は悪くなかった、それでも株価は急落

マイクロソフトが発表した2025年10~12月期決算は、1株利益など主要指標で市場予想を概ね上回る内容でした。
唯一の例外が、クラウド基盤「Azure(アジュール)」事業の売上高成長率です。成長率は39%と高水準ではあるものの、アナリスト予想の39.4%にわずかに届きませんでした。

通常であれば誤差の範囲とも言える未達ですが、株式市場はこれを重く受け止めました。結果として、1日で約3,600億ドルという巨額の時価総額が失われています。

2.「優等生」だからこそ問われた投資効率

この反応の背景には、マイクロソフトに対する市場の期待の高さがあります。
同社はクラウド事業の拡大を通じてAI投資を着実に収益化できる企業と見なされ、AI関連銘柄の中でも「安定的な勝ち組」と評価されてきました。

しかし今回の決算では、設備投資が想定以上に拡大する一方で、Azureの成長がやや鈍化したことが意識されました。
つまり市場は、「AI投資は続けるが、その投資がどれだけの利益を生むのか」という投資利益率(ROI)の視点を、これまで以上に厳しく見始めたのです。

3.GPU配分が示す社内の優先順位

会社側は、生成AI機能「Copilot(コパイロット)」など自社アプリ向けにGPU(画像処理半導体)を優先配分していると説明しています。
Azure向けのGPU割り当ては需要が強いにもかかわらず後回しになっており、短期的な成長余地が限定されるとの見方が広がりました。

この説明は合理的である一方、市場にとっては「クラウド事業の成長がAI投資の重みで圧迫されている」と映った可能性があります。

4.対照的に評価を高めたメタ

同じ日に、メタの株価は約10%上昇しました。
広告収入の好調に加え、短編動画「リール」の視聴時間拡大など、AI活用の成果が中核事業に明確に表れていたためです。

かつてAI投資に積極的すぎるとして懐疑的に見られていたメタが、収益面で評価を取り戻し、逆にマイクロソフトが警戒される。
この対比は、AI競争環境が非常に流動的であることを示しています。


結論

今回のマイクロソフト株急落は、AIブームの終焉を意味するものではありません。
ただし、市場が「AIに投資しているかどうか」から、「AI投資がどれだけ利益につながっているか」へと評価軸を移しつつあることは明らかです。

AI相場は次の段階に入り、設備投資の規模や成長率だけでなく、収益化のスピードと効率が問われる局面に入りました。
今後の株式市場では、AIという共通テーマの中で、企業ごとの差がより鮮明になっていくと考えられます。


参考

・日本経済新聞「AI『優等生』一転警戒モード」
・日本経済新聞 ウォール街ラウンドアップ(2026年1月30日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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