前回は「預金と個人向け国債」をテーマに、安全性と金利上昇への対応について整理しました。
ただし、「国債の利回りだけでは物足りない」「もっと高い金利を得たい」と考える人も多いのではないでしょうか。
そこで注目されるのが、社債(企業が発行する債券) と REIT(不動産投資信託) です。
いずれも「国債より高い利回りを狙える商品」ですが、リスクも伴います。本記事ではそれぞれの特徴や具体的な活用方法を解説します。
社債とは何か?
基本の仕組み
- 社債は企業が資金調達のために発行する「借金の証文」。
- 投資家は社債を購入し、定期的に利息(クーポン)を受け取り、満期に元本が返済される。
特徴
- 国債より高い利回り が魅力。
- 近年は、最低購入額が 100万円程度 からの「個人向け社債」が増えている。
- 発行元企業が存続していれば元本も利息も返ってくる。
社債のメリットとリスク
メリット
- 利回りが国債より高い
例:同じ10年満期で国債1.0%に対し、社債なら1.5~2.0%程度が期待できる。 - 満期まで保有すれば価格変動リスクが少ない
株式のように毎日の値動きを気にしなくてよい。
リスク
- デフォルトリスク
発行元企業が倒産すると、元本や利息が戻らない可能性がある。 - 途中換金が難しい
市場で売却できるが、価格は下がることも多く、流動性は国債より劣る。
ケーススタディ:社債の選び方
仮にA社とB社が同時期に社債を発行したとします。
- A社(上場企業・格付けAA)
利率:年1.3%/満期:5年/購入単位:100万円
→ 倒産リスクは低いが、利率は控えめ。 - B社(中堅企業・格付けBBB)
利率:年2.0%/満期:5年/購入単位:100万円
→ 利率は高いが、財務基盤はやや不安。
この場合、利回りを取るか、信用力を取るかの選択になります。
「安定収入を重視する人」はA社、「リスクを承知で利回りを狙う人」はB社、という判断が基本です。
REITとは何か?
基本の仕組み
- REIT(Real Estate Investment Trust)は不動産投資信託。
- 投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどを購入し、そこから得られる家賃収入や売却益を投資家に分配する。
特徴
- 東京証券取引所に上場しており、株式のように売買可能。
- 少額(数万円単位)から投資できる。
- 2025年時点で東証REIT指数連動ETFの分配金利回りは 約4%。
REITのメリットとリスク
メリット
- 高い分配金利回り
銀行預金や国債よりはるかに高い。 - 不動産に分散投資できる
1つの物件を購入する必要がなく、間接的に大型ビルや商業施設に投資可能。 - インフレに強い
賃料や地価が上昇すると収益も増えるため、インフレ局面では魅力がある。
リスク
- 金利上昇による資金調達コスト増
不動産購入資金の借入金利が上がると収益を圧迫する。 - 価格変動リスク
株式市場の影響を受け、値動きが大きいこともある。
ケーススタディ:REIT投資のイメージ
例えば、東証REIT指数連動ETFに100万円投資した場合。
- 分配金利回り:年4% → 年間4万円の分配金。
- 株価が10%下がった場合 → 評価額は90万円に。
つまり、高配当が得られても、価格変動リスクを許容できるか がポイントです。
社債とREITをどう使い分けるか?
社債向きの人
- 株式の値動きが苦手
- 満期まで保有できる資金がある
- 元本割れリスクをできるだけ減らしたい
REIT向きの人
- 高配当を狙いたい
- 価格変動をある程度許容できる
- インフレに備えたい
具体的な活用シナリオ
シナリオ1:安定志向の60代夫婦
- 社債(上場大企業AA格付け)に300万円
- 個人向け国債(変動10年)に200万円
→ 安定収入を得つつ、金利上昇に備える。
シナリオ2:資産形成中の40代夫婦
- REIT ETFに200万円
- 株式投資に300万円
→ 高い配当と成長を狙い、長期保有。
シナリオ3:分散投資型
- 社債100万円+REIT100万円+国債200万円
→ 複数の商品に分けてリスクを抑えつつ利回りを確保。
まとめ:利回りを狙うならリスクを理解すること
- 社債は「国債+αの利回り」を狙えるが、発行企業の信用力を確認する必要あり。
- REITは「インフレに強い高配当商品」だが、価格変動リスクがある。
- 利回りだけでなく、元本リスクと投資目的のバランスを考えることが大切。
👉 次回(第4回)は、 「株式投資とインフレ対策」 をテーマに、長期的な資産形成や世代別の戦略について詳しく解説します。
📌 参考資料 日本経済新聞(夕刊)2025年9月24日
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
