金利上昇時代の家計戦略③(社債とREITで利回りを狙う)

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前回は「預金と個人向け国債」をテーマに、安全性と金利上昇への対応について整理しました。
ただし、「国債の利回りだけでは物足りない」「もっと高い金利を得たい」と考える人も多いのではないでしょうか。

そこで注目されるのが、社債(企業が発行する債券)REIT(不動産投資信託) です。
いずれも「国債より高い利回りを狙える商品」ですが、リスクも伴います。本記事ではそれぞれの特徴や具体的な活用方法を解説します。


社債とは何か?

基本の仕組み

  • 社債は企業が資金調達のために発行する「借金の証文」。
  • 投資家は社債を購入し、定期的に利息(クーポン)を受け取り、満期に元本が返済される。

特徴

  • 国債より高い利回り が魅力。
  • 近年は、最低購入額が 100万円程度 からの「個人向け社債」が増えている。
  • 発行元企業が存続していれば元本も利息も返ってくる。

社債のメリットとリスク

メリット

  1. 利回りが国債より高い
    例:同じ10年満期で国債1.0%に対し、社債なら1.5~2.0%程度が期待できる。
  2. 満期まで保有すれば価格変動リスクが少ない
    株式のように毎日の値動きを気にしなくてよい。

リスク

  1. デフォルトリスク
    発行元企業が倒産すると、元本や利息が戻らない可能性がある。
  2. 途中換金が難しい
    市場で売却できるが、価格は下がることも多く、流動性は国債より劣る。

ケーススタディ:社債の選び方

仮にA社とB社が同時期に社債を発行したとします。

  • A社(上場企業・格付けAA)
    利率:年1.3%/満期:5年/購入単位:100万円
    → 倒産リスクは低いが、利率は控えめ。
  • B社(中堅企業・格付けBBB)
    利率:年2.0%/満期:5年/購入単位:100万円
    → 利率は高いが、財務基盤はやや不安。

この場合、利回りを取るか、信用力を取るかの選択になります。
「安定収入を重視する人」はA社、「リスクを承知で利回りを狙う人」はB社、という判断が基本です。


REITとは何か?

基本の仕組み

  • REIT(Real Estate Investment Trust)は不動産投資信託。
  • 投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどを購入し、そこから得られる家賃収入や売却益を投資家に分配する。

特徴

  • 東京証券取引所に上場しており、株式のように売買可能。
  • 少額(数万円単位)から投資できる。
  • 2025年時点で東証REIT指数連動ETFの分配金利回りは 約4%

REITのメリットとリスク

メリット

  1. 高い分配金利回り
    銀行預金や国債よりはるかに高い。
  2. 不動産に分散投資できる
    1つの物件を購入する必要がなく、間接的に大型ビルや商業施設に投資可能。
  3. インフレに強い
    賃料や地価が上昇すると収益も増えるため、インフレ局面では魅力がある。

リスク

  1. 金利上昇による資金調達コスト増
    不動産購入資金の借入金利が上がると収益を圧迫する。
  2. 価格変動リスク
    株式市場の影響を受け、値動きが大きいこともある。

ケーススタディ:REIT投資のイメージ

例えば、東証REIT指数連動ETFに100万円投資した場合。

  • 分配金利回り:年4% → 年間4万円の分配金。
  • 株価が10%下がった場合 → 評価額は90万円に。

つまり、高配当が得られても、価格変動リスクを許容できるか がポイントです。


社債とREITをどう使い分けるか?

社債向きの人

  • 株式の値動きが苦手
  • 満期まで保有できる資金がある
  • 元本割れリスクをできるだけ減らしたい

REIT向きの人

  • 高配当を狙いたい
  • 価格変動をある程度許容できる
  • インフレに備えたい

具体的な活用シナリオ

シナリオ1:安定志向の60代夫婦

  • 社債(上場大企業AA格付け)に300万円
  • 個人向け国債(変動10年)に200万円
    → 安定収入を得つつ、金利上昇に備える。

シナリオ2:資産形成中の40代夫婦

  • REIT ETFに200万円
  • 株式投資に300万円
    → 高い配当と成長を狙い、長期保有。

シナリオ3:分散投資型

  • 社債100万円+REIT100万円+国債200万円
    → 複数の商品に分けてリスクを抑えつつ利回りを確保。

まとめ:利回りを狙うならリスクを理解すること

  1. 社債は「国債+αの利回り」を狙えるが、発行企業の信用力を確認する必要あり。
  2. REITは「インフレに強い高配当商品」だが、価格変動リスクがある。
  3. 利回りだけでなく、元本リスクと投資目的のバランスを考えることが大切。

👉 次回(第4回)は、 「株式投資とインフレ対策」 をテーマに、長期的な資産形成や世代別の戦略について詳しく解説します。


📌 参考資料 日本経済新聞(夕刊)2025年9月24日


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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