2025年は、銀行の預金金利や国債の利回りがじわじわ上昇し、家計の「守りのお金」にも変化が出てきています。これまで「預金しても利息はほとんどゼロ」と思っていた人にとって、いまは少し状況が違います。
本記事では、
- 預金金利の最新動向
- キャンペーン定期預金の注意点
- 個人向け国債(変動10年・固定3年・固定5年)の特徴
- 具体的な活用のシナリオ
をわかりやすく整理します。
預金金利の上昇とキャンペーン
長い間「普通預金は0.001%」が当たり前だった日本でも、ここ数年で金利上昇が広がっています。
- 大手銀行の1年定期預金金利は 0.2~0.3%程度 に上昇。
- ネット銀行では、条件次第で 1%超 の定期預金も登場。
注目例:超高金利キャンペーン
- auじぶん銀行では「阪神タイガース優勝記念キャンペーン」として、1カ月定期で年9% という驚きの金利を設定。
- ただし、適用額は 10万円まで。つまり利息は税引き後で590円程度。
一見インパクトは大きいですが、「おまけ」的な色合いが強く、家計全体に大きな効果はありません。
預金活用の基本ルール
金利上昇局面では、長期の定期預金に資金を固定するのは不利になりがちです。
- おすすめは短期定期(3カ月〜1年)
→ 将来さらに金利が上がったときに、乗り換えられる。 - 生活費の6カ月分程度は普通預金に
→ 急な出費に対応できる「流動性」を確保。 - 残りの余裕資金は国債・投資へ
→ 預金金利の上昇だけではインフレに負ける可能性がある。
個人向け国債とは?
日本政府が発行する国債を、個人が購入できるようにした商品です。元本保証であり、最低1万円から購入できます。代表的なタイプは次の3種類。
変動10年
- 金利は半年ごとに見直され、長期金利に連動。
- 現在は17年ぶりに利率が1%を超え、人気急上昇。
- 金利が下がっても最低0.05%は保証。
- 発行から1年経過すれば、中途換金しても元本割れなし。
固定3年・固定5年
- 購入時に決まった金利が、期間中は変わらない。
- 途中で金利が上がっても利率は固定されたまま。
- 「3年後・5年後に必ず使う資金」には適している。
ケーススタディ:教育資金にどう使う?
例えば、子どもが中学入学を控えており、3年後にまとまった教育資金が必要だとします。
- 変動10年を購入 → 3年後に換金して学費に充当することは可能。ただし、その時点での利率次第。
- 固定3年を購入 → 今の金利が固定されるため、確実に利息を受け取れる。
教育資金のように「使う時期が決まっている資金」なら、固定3年・固定5年の方が計画的です。
預金 vs 個人向け国債
どちらを選ぶかは「目的と使う時期」で判断しましょう。
| 預金 | 個人向け国債 |
|---|---|
| 流動性が高い(いつでも引き出せる) | 1年は解約不可(以降はペナルティ少) |
| キャンペーンで一時的に高金利もある | 長期的に安定した利回りを得られる |
| インフレには弱い | 長期金利に連動する「変動10年」で対応可能 |
具体的な活用シナリオ
シナリオ1:生活費の安心確保
- 普通預金に100万円(半年分の生活費)
- 3カ月定期に50万円(流動性+利息)
シナリオ2:教育資金の準備
- 固定3年国債に200万円(3年後に確実に使う)
- 変動10年国債に100万円(利率上昇の恩恵を狙う)
シナリオ3:余裕資金の利回りアップ
- 変動10年国債に300万円
- ネット銀行の1年定期に50万円
- REITや株式に分散(次回以降で解説)
まとめ:預金と国債を目的別に使い分ける
- 預金は短期定期を中心に、流動性を確保。
- 個人向け国債は「変動10年」と「固定3年・5年」を目的別に。
- 教育資金や予定支出には固定型、余裕資金には変動型。
金利上昇局面では「ただ預けておくだけ」から「どこに預けるか」に頭を使う必要があります。預金と国債を賢く使い分けて、家計の守りを固めましょう。
👉 次回(第3回)は、 「社債とREIT」 を取り上げ、国債より高い利回りを求める場合のメリット・リスクについて具体的に解説します。
📌 参考資料 日本経済新聞(夕刊)2025年9月24日
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
