2025年9月22日に告示された自民党総裁選は、経済対策に加えて「政権の安定」が大きな争点です。
衆参両院で過半数を失った自民党にとって、野党との連携なしに政策を前に進めることはできません。次の総裁がどの党と、どのような形で協力していくのか――この点が国民生活や政治の安定を左右します。
1. 背景 ― 少数与党に転じた自民党
自民・公明両党は2024年10月の衆院選、2025年7月の参院選で相次いで大敗。結果、衆参ともに少数与党となりました。
- 予算や法律の成立:野党の協力が不可欠
- 政権運営:安定のため、連立拡大や「部分連合」が必須
このため、総裁候補たちは経済政策と同じくらい「野党との関係性」をアピールしています。
2. 候補者のスタンス比較
茂木敏充氏
- 積極的に連立拡大を主張
- 「外交、安全保障、エネルギー、憲法など政策が一致する政党と連立枠組みを広げたい」と発言。
- 維新、国民民主を中心に交渉意欲を示す。
小泉進次郎氏
- 連立の枠組み拡大を重視
- 「部分的な政策協力よりも、連立を広げる方が安定につながる」と明言。
- 経済と暮らしの安定を政治の安定につなげることを強調。
高市早苗氏
- 前向きな姿勢
- 所見演説やテレビ番組で、維新・国民民主の主張(例:年収の壁引き上げ)に理解を示す。
- 給付付き税額控除を公約に掲げ、立民との政策接点にも踏み込む。
小林鷹之氏
- 慎重姿勢
- 「政策連携の延長線上に連立が見える」と述べ、拙速な枠組み拡大には慎重。
林芳正氏
- バランス重視
- 「自公での政策実現を基本に、その時々に応じて協力を模索する」と柔軟。
- 現職閣僚として石破政権の路線を引き継ぐ色合いが強い。
3. 野党との接点
維新・国民民主
- 軸となる存在
- 自民と選挙区での競合が少なく、政策でも一部共通点あり。
- 「副首都構想」や「年収の壁の引き上げ」で候補者の多くが賛意。
立憲民主党
- 意外な接点
- 中低所得者支援の「給付付き税額控除」で一致点。
- 自民・立民・公明の3党で協議体を設置し、速やかに制度設計の議論を始める見通し。
4. 連立拡大のシナリオ
- シナリオ① 維新・国民民主との連立
→ 現実的で、政策調整も比較的容易。 - シナリオ② 立民との部分連合
→ 財政政策で一致点があり、テーマごとの協力はありうる。 - シナリオ③ 多党連立
→ 政策ごとに協力を取り付ける柔軟型。安定性はあるが調整コストが大きい。
5. 今後の焦点
- 新総裁が就任して最初に取り組むのは「物価高対策」を盛り込んだ補正予算。
- その成立には野党との協力が不可欠。
- 野党との距離感=政権の安定度を決める重要指標になります。
6. まとめ
今回の総裁選は、単なる自民党のリーダー選びではありません。
「どの党と、どのように手を組むのか」が、日本政治の安定と政策遂行力を左右します。
- 茂木・小泉・高市:連立拡大に積極的
- 小林・林:慎重・バランス重視
- 維新・国民民主が軸、立民との協力も視野
少数与党下での政権運営は、過去の自民党にない難題。新総裁には「経済政策」と同時に「連立形成力」も問われています。
📌 補足コメント(税理士FP視点)
野党との協力の焦点となる「給付付き税額控除」は、低所得層への支援を強化する仕組みで、税理士・FPとしても注目しています。導入されれば、所得が一定以下の家庭にとって実質的な現金給付となり、生活支援が拡大します。将来的に確定申告や年末調整の仕組みに組み込まれる可能性が高く、実務面での準備が必要になるでしょう。
📌 参考記事(2025年9月23日 日本経済新聞)
- 「連立、維新・国民民主が軸 枠組み拡大検討」
- 「自民総裁選、経済・政治再生競う 5氏出馬」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
