スポーツの国際大会が近づくたびに、動画配信サービスへの関心が高まります。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やサッカーワールドカップ(W杯)のような大型イベントでは、地上波で見られない試合が増え、特定の配信サービスに加入しなければ視聴できないケースもあります。
一方で、放映権料は高騰し、配信事業者の負担は増加しています。そのコストは、最終的には利用者の月額料金やセット商品の形で私たちの家計に影響します。
本稿では、動画配信サービスのセット割引の損得を整理し、家計管理の観点からどのように判断すべきかを考えます。
放映権料の高騰と配信独占の広がり
2023年大会のWBCでは、動画配信と地上波中継が併存しましたが、2026年大会では放映権料が前回の推定約30億円から数倍に膨らんだと報じられています。
放映権料が上昇すれば、以下のような動きが強まります。
- 特定の配信サービスによる独占配信
- 地上波中継の縮小
- 月額料金の見直しや値上げ
- 通信キャリアとのセット販売強化
スポーツは強力な加入動機になります。
「この大会だけ見たい」というニーズが、短期間の契約増加を生みます。
主な動画配信サービスの位置づけ
2024年の国内シェアでは、Netflixが首位、次いでU-NEXT、Amazonのプライム・ビデオ、DAZNなどが続いています。
それぞれに独占コンテンツがあります。
- Netflix:映画・ドラマ中心、スポーツは限定的
- DAZN:スポーツ特化
- U-NEXT:映画・ドラマ・一部スポーツ
- Amazonプライム:総合型
問題は、複数契約が当たり前になりやすいことです。
月額1,000円前後でも、3~4サービスで月4,000円以上。
年間では5万円規模になります。
セット割引は本当にお得か
携帯電話とのセット商品が増えています。
例えば、
- Netflixとのセットプラン
- U-NEXTとのセットプラン
- DAZN視聴可能な通信プラン
一見すると「単体契約より安い」ように見えます。
しかし、判断は次の3点で分かれます。
① もともと無制限プランが必要か
データ通信量をあまり使わない場合、
高額な無制限プランと抱き合わせることで、かえって負担が増えることがあります。
② 他の特典を本当に使うか
クーポンやポイント、スタンプ使い放題などの特典が付いても、
実際に使わなければ実質価値はゼロです。
③ 解約の柔軟性はあるか
単体契約なら見終わったら解約できます。
セット契約は通信契約と一体化しているため、簡単に外せないことがあります。
「イベント契約」という考え方
スポーツ大会や特定ドラマの視聴を目的とする場合、
- 見たい期間だけ契約
- 見終わったら即解約・休止
という方法が合理的です。
サブスクは「持ち続けるもの」ではなく、
「使う期間だけ借りるもの」と考えると無駄が減ります。
家計管理の視点では、固定費化させないことが重要です。
家計への影響をどう見るか
動画配信費は小さな支出に見えますが、
- 通信費
- 動画配信費
- 音楽サブスク
- クラウド保存
- 新聞・電子書籍
と積み上がると、月1万円前後になる家庭もあります。
年間では10万円超です。
老後資金や教育費を考える世代にとって、
固定費の積み上げは資産形成の妨げになります。
特に退職前後の世代では、
「契約を持ち続ける習慣」がそのまま支出の固定化につながります。
放映権料高騰時代の消費者戦略
今後も国際大会の放映権料は上昇傾向が続く可能性があります。
その結果、
- 独占配信の増加
- 月額料金の改定
- セット販売の拡大
という流れは続くでしょう。
消費者側は、
- 本当に見たいコンテンツを明確にする
- 期間限定契約を前提にする
- 通信プランと切り分けて考える
- 半年に一度は契約一覧を棚卸しする
という姿勢が有効です。
結論
動画配信のセット割引は、条件が合えば有効ですが、
誰にとっても得になる仕組みではありません。
放映権料の高騰は、配信の独占化と料金体系の複雑化を招きます。
その中で重要なのは、契約を「持ち続ける前提」で考えないことです。
必要なときに契約し、不要になれば解約する。
固定費を増やさない姿勢が、家計の安定につながります。
動画配信は便利なサービスですが、
管理しなければ“静かな固定費”になります。
見たいものがあるときだけ使う。
それが、サブスク時代の基本戦略といえるでしょう。
参考
・日本経済新聞 2026年2月14日朝刊「<ステップアップ>動画配信、セット割引の損得」
・日本経済新聞 2026年2月14日朝刊「放映権料、前回の数倍に高騰」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
