在職老齢年金で「手取りが伸びにくくなる」典型ケース 高齢期就労で起きやすい誤算を整理する

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年金を受け取りながら働く場合、「働けばその分、生活は楽になる」と考えるのは自然な感覚です。
しかし実際には、収入は増えているのに、思ったほど手取りが増えないと感じるケースが少なくありません。

その背景には、在職老齢年金を中心とした制度上の調整があります。
本稿では、高齢期の就労・副業で特に起きやすい「手取りが伸びにくくなる典型ケース」を整理します。

ケース① 収入が増えた分、年金が調整される

最も基本的なケースは、就労収入が増えた結果、年金が調整される場面です。
賃金と年金の合計が一定水準を超えると、年金額が抑えられる仕組みが働きます。

この場合、
・賃金は増えている
・年金は減っている
という状態が同時に起こります。

結果として、本人の感覚では「働いた分が相殺された」ように映ります。
制度上は想定された動きですが、事前に理解していないと強い違和感を覚えやすい典型例です。

ケース② 短時間就労でも影響が出る

「フルタイムではないから大丈夫」「副業程度なら影響は小さい」と考えるケースも少なくありません。
しかし、在職老齢年金は働き方の名称や労働時間の長短ではなく、報酬の水準で判断されます。

そのため、
・短時間勤務
・副業的な就労
であっても、条件次第では年金調整の対象になります。

労働時間が短いことと、制度上の影響が小さいことは必ずしも一致しません。

ケース③ 複数の仕事を合算した結果、想定外の調整

高齢期には、複数の仕事を組み合わせて働く人も多くなります。
この場合、それぞれの仕事は軽めでも、合算すると一定の水準を超えることがあります。

本人としては、
「一つひとつは無理のない仕事」
という感覚でも、制度上は合計収入で判断されます。

結果として、個別には想定していなかった年金調整が生じ、手取りの伸びにくさにつながるケースです。

ケース④ 保険料負担が重なり、実感が薄れる

在職老齢年金による年金調整に加えて、社会保険料の負担が発生するケースもあります。
就労形態によっては、保険料負担が増え、手取りがさらに圧縮されることがあります。

この場合、
・年金が減る
・保険料が増える
という二重の調整が同時に起こります。

その結果、額面収入が増えても、生活実感としての改善が乏しくなることがあります。

ケース⑤ 「一時的な増収」を前提に判断してしまう

高齢期の就労は、期間限定や様子見で始めるケースも多くあります。
しかし、在職老齢年金は月単位で調整が行われるため、短期間でも影響が出る場合があります。

「少しだけなら問題ないだろう」という判断が、結果として想定外の年金調整につながることもあります。
短期・少額であっても、制度上は明確に反映される点に注意が必要です。

手取りが伸びにくい本質的な理由

これらのケースに共通するのは、「働いた分がそのまま手元に残る」という現役世代の感覚が通用しにくい点です。
在職老齢年金は、就労収入と年金を組み合わせた全体像で調整される制度です。

そのため、部分的な判断や感覚的な見積もりでは、結果を読み誤りやすくなります。

結論

在職老齢年金で手取りが伸びにくくなるのは、制度の欠陥というよりも、仕組みを前提とした結果です。
高齢期の就労や副業では、

・収入は合算で判断される
・労働時間の短さは直接的な基準ではない
・年金調整と保険料負担が同時に起こり得る

という点を踏まえた設計が欠かせません。

「いくら稼げるか」ではなく、「どのような収入構造になるか」を事前に整理することが、後悔しない選択につながります。

参考

・日本経済新聞 在職老齢年金・高齢期就労に関する解説記事
・厚生労働省 年金制度および高年齢者就業に関する公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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