分散投資は、リスクを抑えるための基本的な考え方として広く知られています。
株式・債券・金、あるいは米国株と全世界株を組み合わせることで、値動きのブレを和らげる効果が期待されます。
しかし実際には、「分散しているつもりでも、うまくいっていない」ケースも少なくありません。
本稿では、分散投資で陥りやすい失敗ポイントを整理し、どこに注意すべきかを解説します。
分散しているつもりで「実は集中」している
最も多い失敗が、表面的には分散しているが、実質的には集中しているケースです。
例えば、
・S&P500連動型投信
・全世界株式投信
・先進国株式投信
を複数保有している場合、一見すると分散しているように見えます。しかし、これらはいずれも米国株の比率が高く、値動きも強く連動します。
結果として、「商品は違うが中身は似ている」状態になりやすいのです。
分散を考える際は、商品名ではなく、投資対象の中身を見ることが重要です。
資産クラスを増やしすぎて管理できなくなる
分散を意識するあまり、
・国内株
・海外株
・新興国株
・債券
・REIT
・金
・テーマ型投信
など、次々と追加してしまうケースも見られます。
資産クラスが増えすぎると、
・全体の配分が把握しづらい
・値動きの理由が分からない
・リバランスが形骸化する
といった問題が生じます。
分散は「数を増やすこと」ではなく、「役割を分けること」です。管理できない分散は、かえって投資判断を曇らせます。
値動きが小さい=失敗と誤解してしまう
分散投資の特徴は、上昇局面ではリターンが控えめになりやすい点にあります。
この性質を理解していないと、「分散したら増えなくなった」と感じてしまいがちです。
しかし、
・大きく下がらない
・一時的な下落からの回復が早い
といった点こそが、分散投資の本来の効果です。
短期間の成績だけで評価すると、分散のメリットを自ら放棄することになりかねません。
為替リスクを軽視してしまう
海外資産に分散する場合、為替の影響は避けて通れません。
特に為替ヘッジなしの商品を選んでいる場合、円高・円安によって評価額は大きく変動します。
問題は、
・円安時はリスクを意識しない
・円高に転じた途端に不安になる
という心理的なブレです。
為替リスクも「分散対象の一部」であることを理解していないと、相場変動に振り回されやすくなります。
分散しているから見直し不要と思い込む
「分散投資だから放置でよい」と考えてしまうのも、典型的な失敗です。
時間の経過とともに、
・特定の資産だけが大きく増える
・当初想定した配分が崩れる
といったことは必ず起こります。
分散投資では、定期的な配分の確認と見直しが不可欠です。これを怠ると、知らないうちにリスクが偏っていきます。
年齢や目的と分散の中身が合っていない
分散の「正解」は、人によって異なります。
老後資金づくりなのか、数年後の支出に備える資金なのかによって、取るべきリスクは変わります。
若い世代と、年金受給を控えた世代とでは、
・許容できる値下がり幅
・回復を待てる時間
が大きく異なります。
目的や時間軸を無視した分散は、安心どころか不安の種になりやすい点に注意が必要です。
結論
分散投資は、リスクを抑えるための有効な手段ですが、「分ければ安心」という単純なものではありません。
中身の重複、管理不能な分散、短期視点での評価などが重なると、分散そのものが形骸化します。
重要なのは、
・何のために分散するのか
・どのリスクを抑えたいのか
を明確にした上で、シンプルに設計することです。
分散投資は「増やす技術」ではなく、「続けるための設計」であることを意識する必要があります。
参考
・日本経済新聞「個人投資家、分散投資進む」
・投資信託における資産配分とリスク管理に関する一般的解説
・長期資産形成に関する金融教育資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
