衆院選後の金融市場では、株高と円安が同時に進行するとの見方が強まっています。背景には、政権基盤が強化されたことで、首相の経済・財政政策が実行に移されやすくなるとの期待があります。
もっとも、市場の期待がそのまま持続的な株高につながるとは限りません。株価、為替、金利は相互に影響し合っており、どこに注意すべきかを整理しておく必要があります。
市場が期待する「政権の安定」
今回の衆院選で与党が大幅に議席を伸ばしたことで、政権運営の不透明感は後退しました。市場が好感するのは、短期的な政策の継続性が高まった点です。
防衛力強化や経済安全保障、積極的な財政運営といった政策が実行に移されやすくなるとの見方から、関連分野を中心に株式市場では買いが入りやすくなっています。選挙後の株価上昇期待は、こうした「政治の安定」を先取りする形といえます。
円安が株価を押し上げる構図
株高期待を強めているもう一つの要因が円安です。円安が進むと、輸出関連企業の収益改善が見込まれ、株価指数全体を押し上げやすくなります。
海外投資家の間では、政権の経済運営スタンスから、当面は円安・ドル高方向を探る展開になるとの見方もあります。円相場が緩やかに円安方向へ動く限り、株式市場にとっては追い風になりやすい局面が続く可能性があります。
160円が意識される為替の分岐点
もっとも、円安がどこまでも許容されるわけではありません。為替水準が大きく円安方向に振れた場合、為替介入への警戒感が強まります。
市場では、1ドル=160円前後が一つの節目として意識されています。この水準に近づくと、急激な円安は抑制されやすくなり、為替相場が不安定になる可能性があります。円安が株高を支える構図が、いつまでも続くとは限らない点には注意が必要です。
本当のリスクは長期金利
株高の持続性を考えるうえで、最も重要なのは長期金利の動向です。積極的な財政運営が意識されるほど、国債市場では財政悪化への警戒が強まり、長期・超長期金利が上昇しやすくなります。
金利が急上昇すると、企業の資金調達コストが上がり、株式の相対的な魅力が低下します。特に超長期債の利回り上昇は、他の年限にも波及しやすく、株式市場の上値を抑える要因となります。
株高・円安は「期待先行」の局面
足元の株高・円安は、実体経済の急回復というよりも、政策実行への期待が先行している面が強いといえます。期待が大きい局面ほど、失望が生じた際の調整も大きくなりがちです。
今後は、実際にどのような政策が、どのスピードで実行されるのか、そして金利上昇をどこまで抑えられるのかが問われる局面に入ります。
おわりに
衆院選後の市場は、株高・円安という分かりやすい反応を示していますが、その裏では金利という見えにくいリスクも静かに積み上がっています。
短期的な値動きだけでなく、株価・為替・金利の関係を俯瞰しながら、市場の期待と現実のずれに注意していくことが重要といえるでしょう。
参考
・日本経済新聞「株高・円安進行の公算 首相の政策実行に期待感」
・日本経済新聞 衆院選後の株式・為替・金利動向に関する解説記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

