必要経費は「業務に関係している」だけでは足りない― 客観的証拠で説明できない費用が否認される理由 ―

会計
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個人事業者の税務調査で、毎回のように論点になるのが「必要経費に入れたこの支出は本当に認められるのか」という問題です。
帳簿上は経費として処理していても、調査の場で説明があいまいだったために否認されるケースは少なくありません。
本稿では、必要経費該当性をどのような視点で判断すべきか、また、なぜ「客観的な証拠」が重要になるのかを整理します。

必要経費該当性と家事費・家事関連費の考え方

ある支出が必要経費に当たるかどうかは、単に「経費っぽいかどうか」で判断されるものではありません。
実務では、次の二つの側面から検討されます。

  • そもそも必要経費の要件を満たしているか
  • 家事費または家事関連費に該当しないか

この両面から検討することで、必要経費と私的支出の境界を明確にします。
必要経費に該当しなければ、その支出は家事費または家事関連費と整理されることになります。

科目名で判断してはいけない理由

帳簿上、支出は交際費や会議費などの科目に振り分けられますが、その科目名自体が必要経費該当性を決めるわけではありません。
例えば、接待交際費として処理したからといって、その支出が自動的に必要経費になるわけではありません。

重要なのは、

  • なぜその支出が発生したのか
  • 事業収入との関係が説明できるのか

という点です。
「接待交際費に入れたから経費」という考え方は、税務上は通用しない点に注意が必要です。

「業務に関係している」という説明の弱さ

税務調査で理由を尋ねられた際、「業務に関係しているからです」と答える方は少なくありません。
しかし、この説明だけでは必要経費該当性を裏付けたことにはなりません。

例えば、知人との飲食代を経費にする場合、次のような点を整理できる必要があります。

  • その知人は取引先や業務関係者なのか
  • 飲食の場が業務遂行とどのように関係しているのか
  • その支出が通常必要なものといえるのか

これらを客観的事実として説明できなければ、「業務に関係している」という主張は説得力を持ちません。

客観的証拠が求められる理由

必要経費は、「通常必要なものとして客観的に認識できる支出」であることが求められます。
そのため、説明は主観ではなく、証拠に基づいて行う必要があります。

領収証があっても、

  • 誰と
  • 何の目的で
  • なぜその支出が必要だったのか

が説明できなければ、不十分と判断されることがあります。
調査の場での申述も証拠として扱われるため、説明があいまいだと、その内容自体が否認の根拠になることもあります。

税務調査で注意すべき実務上のポイント

必要経費の立証責任は原則として課税庁側にあります。
ただし、課税庁は調査の過程で、納税者の説明内容や提出資料を証拠として収集します。

その結果、

  • 説明が曖昧
  • 事実関係が整理されていない
  • 後付けの説明に見える

といった場合には、必要経費に該当しないと判断されるリスクが高まります。
日頃から「後で説明できるか」という視点で支出を整理しておくことが重要です。

結論

必要経費として認められるかどうかは、帳簿処理や科目名では決まりません。
その支出が事業収入とどのように結びついているのかを、客観的証拠と事実関係で説明できるかが重要です。
税務調査では、曖昧な回答そのものが否認の材料になることもあります。
「業務に関係している」という言葉で終わらせず、説明できる準備をしておくことが、最大の防御策といえるでしょう。

参考

・税のしるべ「第17回/必要経費該当性では客観的な証拠で立証を、曖昧な回答等を根拠に否認されることも」(2026年2月2日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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