第1回 令和7年分の消費税申告 対象者判定を間違えないための最初の整理

税理士
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令和7年分の消費税及び地方消費税は、所得税の確定申告と同じ感覚で進めると、最初の段階でつまずきやすい税目です。理由は、申告が必要かどうかの判定が「売上1000万円超かどうか」だけで決まらなくなっているためです。インボイス制度により、売上1000万円以下でも課税事業者として申告が必要になる方が増えました。第1回は、申告対象者の判定、期限、そして全体像を固める回としてまとめます。

1 「申告が必要な人」は4類型で考える

個人事業者で、令和7年分(令和7年1月1日〜12月31日)の課税期間について、次のいずれかに該当すると、課税売上高が1000万円以下でも申告が必要になります。

  • インボイス発行事業者として登録している
  • 基準期間(令和5年分)の課税売上高が1000万円を超える
  • 基準期間が1000万円以下でも、課税事業者選択届出書を提出している
  • 基準期間の要件に当てはまらなくても、特定期間(令和6年1月1日〜6月30日)の課税売上高が1000万円を超える

ここで最も誤りが多いのは「売上が1000万円以下だから消費税は関係ない」と思い込むことです。インボイス発行事業者の登録があると、その時点で課税事業者になり、申告が必要になります。

2 基準期間と特定期間の意味を短く押さえる

基準期間は「その年の前々年」です。令和7年分の判定は令和5年分です。
特定期間は「前年の上半期」です。令和7年分でいえば令和6年1月〜6月です。

さらに特定期間については、課税売上高の代わりに「給与等支払額」で判定できる場合があります。たとえば外注中心で人件費が少ない業態、逆に人件費が大きい業態など、事情により判断が変わることがあります。ここは実務的に「どちらの判定が有利か」を一度考える価値があります。

3 ミニケース:インボイス登録で「売上1000万円以下」でも申告が必要になる

【事例】
令和5年分の売上は800万円。令和6年分も900万円。令和7年分も900万円の見込み。
ただし、令和5年10月にインボイス発行事業者として登録し、以後ずっと登録継続。

【結論】
売上だけ見れば1000万円以下ですが、インボイス発行事業者である以上、課税事業者として申告が必要です。
このケースでは「売上規模」ではなく「登録の有無」がトリガーになります。特に、登録後しばらくしてから「消費税の申告って必要でしたっけ?」となるのが典型的なつまずきポイントです。

4 申告できない人(免税事業者)に起きがちな誤解

免税事業者は、原則として消費税の確定申告ができません。ここで実務上の誤解が多いのは「設備投資をしたから還付を受けられるはず」という発想です。還付は、申告をして税額計算をした結果として生じるものです。免税のままだと、そもそも精算のテーブルに乗れません。

5 申告・納付期限と、所得税とのズレ

令和7年分の消費税及び地方消費税の申告・納付期限は、令和8年3月31日です。
振替納税の場合、振替日は令和8年4月30日です。
所得税(多くの方が3月中旬)とズレるため、「所得税が終わったから全部終わった」と勘違いして期限を過ぎる事故が起きやすい点は注意が必要です。

6 全体の作業は「4つの箱」に分ける

消費税申告は、全体を次の4つの箱に分けると見通しが良くなります。

  • 箱①:申告が必要かどうか(対象者判定、課税期間の範囲)
  • 箱②:税率区分(8%と10%、必要なら旧税率)
  • 箱③:計算方式(一般課税・簡易課税・2割特例)
  • 箱④:保存要件(帳簿とインボイス等、経過措置・例外)

第2回以降は、箱②〜④を順に深掘りします。

結論

令和7年分の消費税申告は、最初の「対象者判定」で勝負が決まります。インボイス登録の有無、基準期間と特定期間、課税期間が年途中で切れる場合の範囲など、入口の整理ができれば、申告作業はかなり機械的に進みます。次回は、申告書の種類と税率区分の実務を具体化します。

参考

  • 税のしるべ 森田修「令和7年分消費税の確定申告のポイント」2026年2月2日
  • 国税庁「令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き(個人事業者用)」
  • 国税庁「2割特例用 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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