年金世代になると、「年金だけでは不安だから、少しでも働こう」と考える人は多くなります。これは自然な発想ですが、実際には働き方や収入の組み立てを誤ることで、思ったほど生活が楽にならないケースも少なくありません。
本稿では、60代以降の収入設計で年金世代が陥りやすい失敗例を整理し、どこに注意すべきかを考えます。
失敗例① 働けば働くほど手取りが増えると思い込む
年金世代で多い誤解が、「収入は多いほど良い」という発想です。
実際には、年金を受け取りながら働く場合、一定の収入を超えると年金が調整される仕組みがあります。
その結果、額面の収入は増えても、手取りではほとんど変わらない、あるいは負担感だけが増えるという事態が起こります。
働くこと自体が目的化してしまうと、生活全体のバランスを見失いやすくなります。
失敗例② 税金と社会保険を考えずに収入を積み上げる
年金、給与、副収入が重なると、税金や社会保険料の影響は想像以上に大きくなります。
「副収入は少額だから大丈夫」と考えていたものが、合算すると課税対象となり、住民税や所得税が増えるケースもあります。
額面収入だけを見て判断すると、「思ったより生活が楽にならない」という違和感につながります。
失敗例③ 副収入を過大評価してしまう
年金世代になってから新たに副収入を始め、大きな収益を期待するのは現実的ではありません。
特に、初期投資や時間的負担が大きい取り組みは、体力や気力の低下とともに続かなくなる可能性があります。
副収入は「生活を支える柱」ではなく、「生活に余裕を持たせる補助」と位置づけることが重要です。
失敗例④ フルタイム前提で収入設計を考える
現役時代と同じ感覚で、フルタイム勤務を前提に収入を組み立ててしまうのも、よくある失敗です。
60代以降は、体調や家族の状況、介護などの要因で、継続的なフルタイム勤務が難しくなる場合があります。
一時的に収入が確保できても、途中で働けなくなった場合のリスクを考えていないと、生活設計が崩れやすくなります。
失敗例⑤ 「いくら必要か」を決めずに働く
収入設計で最も根本的な失敗は、「生活にいくら必要なのか」を把握しないまま働くことです。
必要額が明確でなければ、収入を増やす判断も、働き方を抑える判断もできません。
結果として、不安に突き動かされて働き続ける状態になり、精神的な余裕を失ってしまいます。
失敗例⑥ 収入だけを見て、生活の質を考えない
収入を確保することに意識が向きすぎると、生活の質が後回しになります。
自由な時間、健康、家族との関係といった要素は、年金世代にとって金銭以上に重要になる場合もあります。
収入設計は、生活全体の設計の一部であるという視点が欠かせません。
結論
年金世代の収入設計で重要なのは、「いくら稼ぐか」よりも「どのように暮らしたいか」を起点に考えることです。
働けば安心という単純な発想ではなく、年金・給与・副収入のバランス、税金や社会保険の影響、生活の質を総合的に捉える必要があります。
50代のうちから失敗例を知り、避ける視点を持つことが、安心した年金生活につながります。
参考
・日本経済新聞「〈ライフスタイル 働く〉『上司は年下』悩む50代 現在の貢献にプライド持つ」(2026年2月3日夕刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
