固定資産管理は「節税の入口」──見落とされがちな実務ポイント

会計
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固定資産管理というと、台帳を整備して減価償却を計算する「守りの業務」という印象を持たれがちです。しかし実務の現場では、固定資産の管理状況ひとつで、法人税や償却資産税の負担が大きく変わるケースも少なくありません。
特に問題になりやすいのが、使っていない資産をそのまま計上し続けているケースや、修繕と改良の区分を誤っているケースです。固定資産管理は、正確な税務申告のためだけでなく、不要な税負担を防ぐための重要な実務領域といえます。


固定資産とは何か──会計と税法のズレを意識する

固定資産は、長期間にわたって事業に使用または保有される資産を指します。会計上は、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産といった区分で整理されますが、税務上は「減価償却できる資産かどうか」が最も重要な判断軸になります。
税法上は、土地のように価値が減少しない資産は償却対象外となり、建物、機械装置、器具備品、ソフトウェアなどが減価償却資産として扱われます。このズレを意識せずに会計処理だけで判断してしまうと、申告誤りの原因になりやすくなります。


固定資産管理業務の基本フロー

固定資産管理は、取得時から税務申告まで一連の流れで考える必要があります。
実務上の流れは、大きく次のように整理できます。

  • 発注・取得
  • 検収・取得価額の確定
  • 会計記帳
  • 固定資産台帳への登録
  • 現物管理(棚卸し)
  • 改良・修繕の判定
  • 廃棄・除却の判断
  • 法人税・償却資産税の申告

特に重要なのは、「台帳上の資産」と「実際に存在する資産」が一致しているかどうかを定期的に確認することです。現物確認を行わないまま決算を迎えると、すでに使用していない資産を計上し続けてしまうことになります。


修繕か改良か──税務調査で狙われやすい論点

固定資産に関する支出は、修繕費として当期費用にできるか、資本的支出として資産計上すべきかで税額に大きな差が生じます。
原状回復や維持補修にとどまる支出は修繕費として処理できますが、性能向上や耐用年数の延長につながる支出は資本的支出となります。
ここを誤って処理すると、税務調査で否認され、追加課税のリスクが高まります。修繕か改良かの判断は、金額だけでなく内容を丁寧に確認する姿勢が欠かせません。


少額減価償却資産の特例をどう使うか

取得価額が比較的少額の資産については、税法上いくつかの特例が用意されています。
例えば、取得価額10万円未満の資産は全額損金算入が可能であり、20万円未満の資産については一括償却資産として3年間で均等償却する方法も選択できます。
さらに中小企業者等については、30万円未満の資産を一定の限度内で一括費用計上できる特例もあります。ただし、どの特例を選択するかによって、償却資産税の申告対象になるかどうかが変わる点には注意が必要です。


除却の判断が「節税」につながる

固定資産管理における最大の節税ポイントは、「除却の判断」にあります。
すでに使用していない資産であっても、帳簿上に残っている限り、減価償却は続き、償却資産税の対象にもなります。
実際に廃棄した場合はもちろん、将来使用する見込みがなく、事業の用に供していないことが明確であれば、「有姿除却」として除却損を計上できるケースもあります。
ただし、有姿除却は税務上の判断が難しく、使用不能であることを客観的に説明できる資料や記録を残しておくことが重要です。


償却資産税との関係も忘れてはいけない

法人税の処理と異なり、償却資産税では評価額の最低限度が設けられています。
除却せずに保有し続けている場合、取得価額の5%相当額が評価額として残り続け、課税が継続します。
この点からも、「使っていない資産を放置しない」ことが、結果的に税負担を抑えることにつながります。


結論

固定資産管理は、単なる事務作業ではなく、税務リスクと節税の両面に直結する重要な業務です。
現物確認を行い、修繕と改良を正しく区分し、不要な資産は適切に除却する。この基本を徹底するだけでも、無駄な税負担は確実に減らせます。
決算期だけで対応するのではなく、日常的な管理として固定資産を見直すことが、実務では最も効果的な節税対策といえるでしょう。


参考

・税務研究会出版局「固定資産管理の方法と節税のポイント」(2026年)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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