個人事業主のための必要経費・家事関連費・専従者給与 完全理解シリーズ 第7回 税務署はどこを見ているのか|必要経費否認を避ける実務チェック

税理士
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本シリーズでは、必要経費・家事関連費・青色事業専従者給与について、
制度の考え方から実務上の判断までを整理してきました。

ここまで読んでいただいた方の多くは、
次の点が気になっているのではないでしょうか。

  • 税務署は、実際のところどこを見ているのか
  • 何を準備しておけば、否認されにくいのか
  • 判断に迷ったとき、どこで立ち止まるべきか

最終回では、これまでの内容を踏まえ、
税務署の視点で「必要経費」を点検するための実務的な整理
を行います。


税務署は「経費かどうか」から見ていない

税務署が調査で最初に見るのは、
「これは経費かどうか」ではありません。

まず確認されるのは、
その支出がどのような性質のものか
という点です。

  • 業務専用の支出か
  • 家事費か
  • 家事関連費か

ここで「家事関連費」に該当すると判断された場合、
原則として必要経費不算入となり、
例外要件を満たすかどうかが次の検討段階になります。


実務で使える判断フロー

必要経費否認を避けるためには、
次の順序で点検することが有効です。

第一に、
事業を行っていなければ発生しなかった支出か
を確認します。

第二に、
業務の遂行上、機能的・合理的に必要だったか
を検討します。

第三に、
業務部分と私的部分を明確に区分できるか
を確認します。

第四に、
その説明を裏付ける客観的な資料があるか
を点検します。

最後に、
社会通念上、常識的な範囲に収まっているか
を総合的に評価します。

この順序で説明できない支出は、
否認リスクが高いと考えるべきです。


「説明できる経費」と「危ない経費」の違い

税務調査で問題になるのは、
金額の大小よりも、
説明の一貫性 です。

例えば、

  • なぜその支出が業務に必要だったのか
  • なぜその割合で按分したのか
  • なぜその金額が相当だといえるのか

これらに対して、
その場しのぎの説明になってしまうと、
否認されやすくなります。

一方で、
あらかじめ考え方を整理し、
記録を残している支出については、
比較的スムーズに認められる傾向があります。


家事関連費で特に注意すべきポイント

家事関連費については、
次の点が特に重要です。

  • 区分の根拠が数値で示されているか
  • 按分割合が毎年大きく変動していないか
  • 使用実態と割合が整合しているか

「前年と同じ割合だから」という説明だけでは、
不十分と判断されることがあります。

実態に即した説明ができるかどうかが、
最大のポイントです。


青色事業専従者給与は別枠で考える

青色事業専従者給与は、
一般的な必要経費とは、
別枠で考える必要があります

所得税法56条の原則を踏まえ、

  • 専ら事業に従事しているか
  • 勤務実態を示す資料があるか
  • 報酬額が第三者目線で相当か

を、毎年点検することが重要です。

「去年は認められたから今年も大丈夫」
という考え方は、
最も危険なパターンの一つです。


税務署と対立しないための視点

税務調査は、
「敵と味方」の関係ではありません。

税務署が求めているのは、
客観的に説明可能な事実関係 です。

感情的な主張や、
「仕事に役立っているはずだ」という抽象的な説明は、
かえって不利になることがあります。

制度の枠組みに沿って、
淡々と説明できる状態を整えておくことが、
結果的にリスクを下げることにつながります。


結論

必要経費を巡るトラブルの多くは、
「知らなかった」ことよりも、
「整理していなかった」ことから生じます。

  • なぜ経費になるのか
  • どこまでが経費なのか
  • その根拠をどう説明するのか

これらを事前に言語化し、
記録として残しておくことが、
最大の防御策になります。

本シリーズが、
日々の経費処理や確定申告を見直す際の
判断軸として役立てば幸いです。


参考

東京税理士会研修資料
全国統一研修会「必要経費と家事関連費の判断基準」
「青色事業専従者給与の留意事項」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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