マンションの維持費が静かに家計を圧迫する時代に― 管理費・修繕積立金の高騰と、いま考えるべき視点 ―

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マンション価格の上昇が続く一方で、購入後にかかる維持費が家計に重くのしかかり始めています。
管理費や修繕積立金は「毎月の固定費」であるため、目立ちにくいものの、一度上がると簡単には下がりません。
最近では、5年前と比べて2~4割上昇したという調査結果もあり、マンションの保有コスト構造そのものが変わりつつあります。
本稿では、維持費高騰の背景と、所有者・購入検討者が押さえておきたい実務的な視点を整理します。

管理費・修繕積立金はなぜ上がり続けるのか

マンションの維持費は、大きく「管理費」と「修繕積立金」に分かれます。
管理費は管理員の人件費や清掃、設備点検など日常管理に使われ、修繕積立金は外壁補修や防水工事など将来の大規模修繕に備える資金です。

近年、この両方が同時に上昇しています。背景にあるのは、管理員や建設職人の慢性的な人手不足です。人件費の上昇は構造的な問題であり、短期的に沈静化する可能性は高くありません。
さらに修繕資材価格の上昇が重なり、修繕工事費は首都圏で年率5%程度の上昇が続いています。

「積立金は足りている」という思い込みの危険性

公的調査では、修繕計画に対して積立金が不足しているマンションは約4割とされていますが、実際にはそれ以上に不足している可能性があります。
「不足・余剰が不明」と回答している管理組合も多く、これは現状の積立金水準や将来必要額を正確に把握できていないことを意味します。

一見「余剰」と見えるマンションであっても、修繕計画がインフレを十分に織り込んでいなければ、将来的に資金不足に陥る恐れがあります。
その結果、金融機関からの融資を利用し、返済分を含めて積立金をさらに引き上げるケースも増えています。

修繕周期の見直しは万能策ではない

修繕費抑制策として注目されるのが、修繕周期の見直しです。
一般的な12年周期を18年程度に延ばせば、長期的には修繕回数を減らし、総額を抑えられる可能性があります。

ただし、周期を延ばすためには事前調査を入念に行い、耐久性の高い資材を使用する必要があります。その結果、1回あたりの工事費はむしろ高くなることも少なくありません。
所有者全体がこの点を理解し、合意形成を図るには、半年から1年以上の時間を要するのが一般的です。

管理会社変更で解決するとは限らない

管理費上昇への対応として、管理会社の変更を検討する管理組合もあります。
しかし、管理員不足は業界全体の問題であり、会社を変えても状況が改善しない例が増えています。
場合によっては、次の管理会社が見つからないという事態も起きており、安易な変更はかえってリスクとなります。

購入検討者こそ「維持費」を重視すべき

すでにマンションを所有している人だけでなく、購入検討者にとっても維持費の確認は極めて重要です。
購入前には、修繕積立金や管理費が国のガイドラインや周辺相場と比べて妥当かを確認し、将来の引き上げ余地も含めて検討する必要があります。
価格だけで判断すると、購入後に想定外の固定費増加に直面する可能性があります。

結論

マンションの維持費高騰は一時的な現象ではなく、構造的な変化です。
重要なのは「いくら上がるか」よりも、「どれだけ早く実態を把握し、話し合いを始められるか」です。
所有者も購入検討者も、長期的な視点で維持費を捉え、将来の家計への影響を冷静に見極める姿勢が求められています。

参考

・日本経済新聞「マンション、維持費も高騰 修繕工事見直しが急務に」(2026年1月31日)
・国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
・住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資の利用動向」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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