2026年1月、世界の商品市場で金・銀・銅がそろって史上最高値を更新しました。
さらに原油価格も約4カ月ぶりの高値圏に入り、コモディティ全体に強い上昇圧力がかかっています。
背景として指摘されているのは、中東情勢の緊張とドル安の進行です。本稿では、なぜ今、金・銀・銅・原油が同時に買われているのか、その構造的な意味を整理し、家計・投資・資産防衛の視点から考えてみます。
1.安全資産としての「金」が再び選ばれている理由
金価格は地政学リスクが高まる局面で上昇しやすい特徴を持ちます。
軍事衝突や国際情勢の悪化が現実味を帯びると、株式や一部のリスク資産から資金が引き揚げられ、「価値が失われにくい資産」へと移動します。
今回も、中東情勢を巡る不透明感が強まり、金が安全資産として選好されました。特に特徴的なのは、価格上昇のスピードです。短期間で急騰し、その後に急落する場面も見られました。
これは長期保有目的の資金だけでなく、短期資金やヘッジ目的の売買が混在していることを示しています。
2.銀と銅まで買われた理由
今回の局面が従来と異なるのは、金だけでなく銀・銅も同時に最高値を更新した点です。
銀は「貴金属」と「工業用金属」という二つの性格を持っています。金価格が大きく動く局面では、相対的に割安と見られる銀に資金が流入しやすくなります。
また、銅は景気やインフラ投資、電動化・再生可能エネルギーの動向を映す金属です。地政学リスクが高まると供給不安が意識されやすく、価格が跳ねやすい特徴があります。
今回、金の高騰を起点として、投資マネーが銀や銅へと波及した構図が読み取れます。
3.原油高が示す「供給不安」の影
原油価格も同時期に上昇しました。
中東情勢の緊張は、原油供給に直結するリスク要因です。実際に供給が止まらなくても、「止まるかもしれない」という懸念だけで価格は上昇します。
原油高は、インフレ圧力を通じて各国経済や金融政策にも影響します。エネルギー価格の上昇は、企業コストや家計負担を押し上げるため、単なる資源価格の問題にとどまりません。
4.ドル安が商品価格を押し上げる構造
今回の上昇局面では、ドル安も重要な要因となっています。
商品価格はドル建てで取引されるため、ドルの価値が下がると、ドル以外の通貨で見た商品価格は割安になります。その結果、米国外の投資家や需要家にとって購入しやすくなり、価格が押し上げられます。
地政学リスクとドル安が同時に進行すると、商品市場には強い追い風が吹きやすくなります。
結論
今回の金・銀・銅・原油の同時高騰は、単なる投機的な動きではなく、
「世界が不安定化する中で、どこに価値を逃がすのか」という資金の選択を映しています。
株式や債券、通貨といった金融資産だけでなく、実物資産や商品への分散が意識されている状況だと言えるでしょう。
価格の変動は大きく、短期的には調整も起こり得ますが、背景にある構造的な不安が解消されない限り、コモディティ市場への関心は続くと考えられます。
資産形成や家計管理の観点からも、「なぜ今これらが買われているのか」を理解することが、冷静な判断につながります。
参考
・日本経済新聞「金銀銅そろって最高値 世界市場」
・日本経済新聞「金、国内初の3万円台 米政策への懸念色濃く」
・各種商品市場・為替市場に関する解説記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

