アルミニウム二次合金の価格が、じわりと、しかし確実に上昇を続けています。
2026年1月、国内価格の指標となるアルミ二次合金「AD12.1」の問屋卸値は1トン61万円となり、前月比2%の上昇、7カ月連続の値上がりで約1年半ぶりの最高値を更新しました。
この動きは一過性のものではなく、国際的なアルミ地金価格の高騰や、原料であるアルミスクラップの供給構造の変化と深く結びついています。本稿では、今回の価格上昇の背景を整理したうえで、今後の見通しや実務上の注目点について考えてみます。
アルミ二次合金とは何か
アルミ二次合金とは、使用済みのアルミ製品やスクラップを再溶解し、成分調整を行った再生アルミ合金のことです。
自動車部品や産業機械部品を中心に幅広く使われており、環境負荷が低いことから、脱炭素や資源循環の観点でも重要性が高まっています。
なかでも「AD12.1」は国内取引の指標とされる代表的な品種であり、その価格動向はアルミ関連産業全体の温度感を示すバロメーターといえます。
地金価格高騰が二次合金に波及
今回の価格上昇の最大の要因は、アルミ地金の国際価格の上昇です。
国際指標となるLME(ロンドン金属取引所)のアルミ3カ月先物価格は、2026年1月に1トン3000ドルを超え、約3年8カ月ぶりの高値水準に達しました。
背景には、海外製錬所での生産停止見込みによる供給不安があります。これに加え、同じ非鉄金属である銅価格の上昇に連動する形で、投機資金がアルミ市場にも流入しました。
アルミ二次合金の価格は、こうした地金価格の変動が「遅れて」反映される傾向があります。実際、業界関係者の間では、年明け以降の地金価格上昇分がまだ完全には織り込まれていないとの見方もあり、2月以降も価格上昇が続く可能性が指摘されています。
需要は横ばい、供給制約が価格を押し上げる
注目すべき点は、需要が急増しているわけではないことです。
日本アルミニウム合金協会の統計によれば、2025年12月の二次合金・地金の出荷量は前年同月比で増加していますが、これは集計対象工場数の増加による影響が大きいとされています。
一方で、供給面では明確な制約が存在します。
原料となるアルミスクラップの品薄感が続いており、市中に流通するスクラップ量が減少しています。その背景にあるのが、アルミ製品メーカーによる「社内循環」の強まりです。
製造工程で発生したスクラップを社外に出さず、自社内で再利用する動きが進んだ結果、二次合金メーカーが調達できる原料が限られてきています。需要が大きく変わらなくても、供給が絞られれば価格は上昇します。今回の動きは、まさにその構図を映しています。
二次合金価格上昇が示す構造変化
今回の価格高騰は、短期的な市況変動にとどまらず、アルミ市場の構造変化を示唆しています。
第一に、資源循環の「囲い込み」が進んでいる点です。
スクラップが市場を回らなくなることで、二次合金メーカーの調達コストは上昇しやすくなります。
第二に、国際価格との連動性が一段と強まっている点です。
これまで国内需給である程度吸収されていた価格変動が、地金相場の上昇をよりダイレクトに反映するようになっています。
第三に、非鉄金属全体が「投資対象」として見られやすくなっている点も無視できません。銅やアルミはエネルギー転換やインフラ投資とも関係が深く、マクロ環境の変化が価格に反映されやすい局面にあります。
実務・家計・投資の視点での注目点
アルミ二次合金の価格上昇は、最終的には製品価格に転嫁される可能性があります。
自動車部品や家電、建材など、アルミを多用する製品では、コスト増がじわじわと消費者価格に反映されることも考えられます。
また、中小製造業にとっては、原材料価格の変動が利益を圧迫する要因となり得ます。価格転嫁が難しい業種ほど、調達先の分散や在庫管理の重要性が高まる局面といえるでしょう。
一方で、資源価格の動向は、インフレの裏側を映す鏡でもあります。
身近な製品価格の変化を通じて、国際市況や資源制約を読み解く視点を持つことが、これからの家計管理や投資判断にもつながっていきます。
結論
アルミ二次合金の最高値更新は、単なる市況ニュースではありません。
地金価格の高騰、スクラップ供給の構造変化、国際資源市場との連動――これらが重なり合った結果として起きている動きです。
今後も価格動向は、製造業の現場から家計、さらにはマクロ経済まで、幅広い影響を及ぼしていく可能性があります。
アルミ価格の行方は、資源循環社会の現在地を映す一つの指標として、引き続き注目していきたいところです。
参考
・日本経済新聞「アルミ二次合金が最高値 1月2%上昇 地金の高騰波及」
・日本アルミニウム合金協会 公表資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

