物価高対策として与野党が競うように掲げている「食品消費税ゼロ」。
しかし、日本経済新聞社の世論調査では、「物価高対策として効果があるとは思わない」と答えた人が過半数を占めました。
一方で、高市内閣の支持率は依然として高水準を維持しています。
この結果は、単純な「減税賛成・反対」を超えた、国民の冷静な視線を映しているように見えます。
1.食品減税は本当に物価に効くのか
今回の世論調査では、食料品の消費税率をゼロにしても「物価高対策として効果があるとは思わない」との回答が56%に達しました。
注目すべきは、減税そのものへの反対というより、「実感できる効果への疑問」が強い点です。
消費税を引き下げた場合、理論上は価格が下がるはずです。
しかし現実には、
- 原材料価格の上昇
- 人手不足による人件費増
- エネルギーコストの高止まり
といった構造的要因が価格を押し上げています。
その中で税率だけを下げても、「一時的」「限定的」な効果にとどまるのではないか、という感覚が広がっていると考えられます。
2.「減税より財源重視」が多数派という現実
消費税のあり方について、「税率を維持して財源を確保すべき」と答えた人は59%に達しました。
赤字国債を発行してでも減税すべき、という意見は31%にとどまっています。
これは、国民が物価高に苦しみながらも、
- 社会保障の持続性
- 国の財政悪化
- 将来世代への負担
といった問題を、直感的に理解していることを示しています。
「減税はうれしいが、結局そのツケはどこかで回ってくる」という感覚が、世論の底流にあると言えるでしょう。
3.高市内閣支持率が高い理由
内閣支持率は67%と、前回調査からは低下したものの依然として高水準です。
支持理由の上位は「人柄が信頼できる」「指導力がある」でした。
ここで重要なのは、必ずしも政策の中身一つ一つへの賛同ではなく、
「不安定な時代におけるリーダー像」
が評価されている点です。
減税を巡る発言が具体化しつつある一方で、
「すぐに実施できるとは言わない」「時間はある」と慎重な言葉を選んでいる点も、
拙速さを嫌う有権者心理と重なっているように見えます。
4.政治の公約と生活実感のズレ
今回の選挙戦では、
- 食品のみの減税
- 一律減税
- 消費税廃止
まで、幅広い主張が並んでいます。
しかし世論調査の結果を見る限り、国民が求めているのは「派手な減税」よりも、
- 実質賃金が上がること
- 社会保障が維持されること
- 将来不安が減ること
といった、より中長期的な安定です。
食品減税は、その象徴的な政策として語られていますが、万能薬ではないことを、多くの人が感じ始めています。
結論
今回の世論調査は、「減税か否か」という単純な二項対立では説明できない国民意識を示しています。
食品消費税ゼロに対して慎重な見方が多い一方で、政治への期待やリーダーへの信頼は必ずしも失われていません。
物価高対策として本当に必要なのは、
- 持続的な賃金上昇
- 社会保障と税のバランスの再設計
- 将来像を含めた丁寧な説明
ではないでしょうか。
減税は「目的」ではなく「手段」です。
その効果と限界を冷静に見極める姿勢が、今、国民にも政治にも求められています。
参考
・日本経済新聞「食品減税『物価に効かず』56% 日経世論調査」
・日本経済新聞「首相、減税『26年度めざす』」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

