2026年1月、ビットコイン価格が急落しました。
一時は9万7000ドル台まで上昇していたものの、足元では年初来の上昇分をほぼ失い、8万7000ドル前後まで下落しています。
背景には、グリーンランド問題を発端とした地政学リスクの高まりと、それに伴う株式市場の急落があります。
これまでビットコインは、発行上限がある点から金と比較され、インフレや地政学リスクに強いデジタルゴールドと呼ばれてきました。
しかし今回の局面では、金が上昇する一方でビットコインは株と連動して下落しました。
この値動きは、ビットコインの位置づけを改めて考え直す契機になっています。
デジタルゴールドと呼ばれてきた理由
ビットコインが金と比較されてきた最大の理由は、発行上限が2100万枚と決まっている点にあります。
無制限に供給される法定通貨と異なり、希少性があるため、インフレ下でも価値を保ちやすいという考え方です。
実際、2025年には米国資産からの資金退避局面で、金と同様に買われる場面がありました。
地政学リスクが高まると、特定の国家や金融システムに依存しない資産として注目されてきたことも事実です。
今回の急落が示したもの
しかし今回の下落局面では、ビットコインは安全資産としてではなく、リスク資産として扱われました。
トランプ政権による欧州への追加関税示唆をきっかけに、投資家のリスク回避姿勢が強まると、株式市場と同時に売られています。
この動きは、ビットコインが金とは異なる性格を持つことを改めて浮き彫りにしました。
金は株式市場が混乱する局面で買われやすい一方、ビットコインは株と同じ方向に動く場面が増えています。
仮想通貨市場全体への不信感
背景には、仮想通貨市場全体への不信感の広がりもあります。
2025年にはステーブルコインの価格が大きく崩れる事例が相次ぎ、信用取引や分散型金融のリスクが改めて意識されました。
こうした出来事は、ビットコインそのものとは別の問題であっても、市場全体への信頼を揺るがします。
結果として、地政学リスクが高まった際に真っ先に資金が逃げる対象になりやすくなっています。
ETF資金フローが示す投資家心理
米国で上場しているビットコイン現物ETFでは、2025年後半から資金流出が続きました。
2026年1月には流入超に転じたものの、水準は限定的です。
これは、長期保有資産としての位置づけが揺らいでいることを示唆しています。
短期的な値上がりを狙う投機資金は戻りやすい一方、金のような保有目的の資金は慎重になっていると考えられます。
法整備と政策期待の影響
一方で、米国では仮想通貨を巡る法整備が進みつつあります。
市場の枠組みが明確になれば、大手金融機関の参入が進み、信頼回復につながる可能性もあります。
さらに、選挙を控えた政治的な思惑から、仮想通貨業界への配慮が強まるとの見方もあります。
こうした政策要因は、価格の下支え材料になる可能性があります。
金との決定的な違い
それでも、ビットコインが名実ともに金と同じ地位を得るには、大きな壁があります。
金は各国の中央銀行が一定量を保有し、国家レベルの需要が相場を支えています。
これに対して、ビットコインを公式に保有する国家は限られています。
国家による裏付けが乏しい点は、価格の安定性という意味で大きな違いです。
結論
今回の急落は、ビットコインがまだデジタルゴールドとして定着していないことを示しました。
インフレ耐性や希少性といった理論的な魅力はあるものの、実際の市場では株式と同じリスク資産として扱われやすい局面が続いています。
今後、法整備や政策支援が進めば、再び上昇基調を取り戻す可能性はあります。
ただし、金のように幅広い投資家から信認される資産になるには、時間と実績の積み重ねが不可欠です。
少なくとも現時点では、ビットコインは安全資産というより、高リスク・高変動の投資対象として捉える視点が現実的だと言えるでしょう。
参考
・日本経済新聞「ビットコイン急落 デジタル金の見方後退」
・日本経済新聞 暗号資産・市場動向関連記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

