はじめに
老後の住まいは、
・賃貸がいいのか
・持ち家を続けるべきか
・施設はいつ考えるのか
と、考え始めるほど判断が難しくなります。
その原因の多くは、
一気に正解を決めようとしてしまうこと
にあります。
老後の住まいに必要なのは、正解探しではなく、
「今の自分がどこに立っているか」を確認できる判断軸です。
本稿では、これまで整理してきた内容を基に、
老後の住まいを考えるための判断フローチャートを、文章でたどれる形でまとめます。
迷ったときに、何度でも戻ってこられる地図としてお使いください。
ステップ1 子どもはこの家に住む予定があるか
まず最初の分岐点は、ここです。
・子どもが将来住む可能性がある
・子どもは住まない、または未定
この問いに「住まない」と答えられる場合、
住まいは引き継ぐ資産ではなく、使い切る生活インフラとして考えるフェーズに入ります。
この認識が曖昧なままだと、その後の判断がすべて先送りになります。
ステップ2 今の家に10年後も住めそうか
次に確認すべきは、時間軸です。
・立地(通院・買い物・移動)
・段差や階段
・修繕費の見通し
これらを踏まえて、
「10年後も無理なく暮らせるか」
を自分の体力・収入前提で考えます。
ここで「難しそう」と感じる場合、
住み替えを前提にした戦略へ進むサインです。
ステップ3 住宅を「持ち続ける体力」はあるか
住み続ける場合でも、次の問いを確認します。
・固定資産税・管理費・修繕費は年金ベースで払えるか
・突発的な修繕に対応できる余力はあるか
・管理や判断を自分で続けられるか
ここで負担が重いと感じる場合、
「住める」と「持てる」は別物
という判断に切り替える必要があります。
ステップ4 家を処分するなら「いつ」か
家を処分すると決めた場合、次の分岐は時期です。
・元気なうちに生前処分する
・自分が住み切ってから処分する
生前処分は、
・判断を自分でできる
・現金化して老後資金に使える
というメリットがあります。
住み切る選択は、
・住居費を抑えられる
・環境を変えずに済む
反面、子どもに実行負担が残ります。
ステップ5 家を処分した後、どこに住むか
ここで初めて、住まいの選択肢に入ります。
元気なうち
・賃貸(立地重視)
・小さな持ち家(出口前提)
体力低下後
・賃貸の住み替え
・高齢者向け住宅
介護が必要になったら
・施設
・賃貸+外部サービス
重要なのは、
一つに決め切らないこと
です。
住まいはフェーズごとに組み合わせるもの、と考えます。
ステップ6 「次に動ける余地」が残っているか
どの選択をしても、最後に必ず確認したい問いがあります。
・次の住み替えは可能か
・判断を他人に丸投げしていないか
・資金が一か所に固定されていないか
この問いに「はい」と答えられるなら、
その住まい戦略は老後に強いと言えます。
判断フローチャートの使い方
このフローチャートは、
一度たどって終わりではありません。
・50代ではステップ2まで
・60代ではステップ4まで
・体調変化時にはステップ5から
と、何度も行き来する前提で使うものです。
老後の住まいは、決断ではなく調整の連続です。
住宅ローン控除を使った人への注意点
住宅ローン控除は、入口の制度です。
このフローチャートのどこにも、「控除を使い切る」という分岐はありません。
控除が終わった後も、
・住める
・持てる
・動ける
かどうかが、住まいの価値を決めます。
おわりに
老後の住まいで本当に怖いのは、
「間違った選択」ではありません。
考えないまま時間が過ぎることです。
この判断フローチャートは、
あなたに正解を押し付けるものではありません。
ただ、
「今はどこに立っているか」
を確認するための道具です。
住まいをどう終えるかを考えられること自体が、
すでに老後への大きな備えです。
参考
税のしるべ
国土交通省 高齢者の住まい・住宅政策資料
国税庁 住宅・不動産税制関係資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
