賃貸・施設・持ち家を組み合わせた老後住まいモデル― 「最初から決めない」住まい戦略 ―

FP
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はじめに

老後の住まいというと、
「賃貸か」「施設か」「持ち家か」
の三択で考えがちです。

しかし現実の老後は、健康状態、家族関係、資金状況が段階的に変化します。
一つの住まいで最後まで完結させようとすると、途中で無理が生じやすくなります。

これからの老後住まいで重要なのは、
住まいを組み合わせる
という発想です。

本稿では、賃貸・施設・持ち家を段階的に使い分ける老後住まいモデルを整理します。

老後住まいは「フェーズ」で考える

老後の住まいを考えるうえで有効なのが、フェーズ分解です。

大まかには、次の三段階に分けられます。

・元気な老後(自立期)
・体力低下期(支援が必要)
・介護期(見守り・介護が必要)

このフェーズごとに、最適な住まいは異なります。

モデル① 持ち家 → 賃貸 → 施設

比較的多く、現実的なモデルです。

自立期:持ち家

定年前後から60代前半までは、住み慣れた持ち家で生活します。
住宅ローンが完済していれば、住居費は抑えられ、生活の安定感があります。

ただしこの段階で、
・将来は処分する
・子どもは住まない
という前提を明確にしておくことが重要です。

体力低下期:賃貸

家を生前売却し、駅近・平坦な賃貸に住み替えます。
生活動線が短くなり、通院や買い物の負担が軽減されます。

賃貸に移ることで、
・管理
・修繕
・災害リスク
から解放され、身軽さが増します。

介護期:施設

介護や見守りが必要になった段階で、施設を検討します。
この時点では「終の住処」と決めすぎず、段階的に選ぶ姿勢が重要です。

モデル② 持ち家 → 小さな持ち家 → 施設

「最後まで持ち家志向」の人に向くモデルです。

自立期:持ち家

現役期から住んできた家に住み続けます。
ただし、
・立地
・性能
・修繕費
に問題がある場合は、早めの見直しが必要です。

体力低下期:小さな持ち家

売却後、駅近・平屋・コンパクトな持ち家に住み替えます。
家賃負担がなく、心理的な安心感を得やすいのが特徴です。

この段階で重要なのは、
次に手放しやすい家を選ぶこと
です。

介護期:施設

最終的には施設に移る可能性を前提に、小さな持ち家も「使い切る家」と位置づけます。

モデル③ 持ち家 → 賃貸 → 賃貸(最期まで)

施設に抵抗感がある人に向くモデルです。

自立期:持ち家

元気なうちは持ち家で生活し、生活基盤を維持します。

体力低下期:賃貸

比較的早めに賃貸へ移行します。
高齢になるほど入居が難しくなるため、60代後半までの移行が現実的です。

介護期:賃貸+外部サービス

訪問介護や見守りサービスを組み合わせ、可能な限り自宅生活を続けます。

このモデルでは、
・立地
・医療との距離
が極めて重要になります。

モデル④ 最初から賃貸 → 状況に応じて施設

持ち家を持たない選択をした人向けのモデルです。

自立期:賃貸

老後初期から賃貸を選び、身軽な生活を維持します。
住み替えを前提に、立地重視で選びます。

体力低下期:賃貸の住み替え

バリアフリー性やサービスを重視した賃貸に移行します。

介護期:施設

必要になった段階で施設に移ります。
住まいを「段階的に切り替える」ことに慣れているため、心理的抵抗が少ないのが特徴です。

組み合わせモデルの共通ルール

どのモデルにも共通するポイントがあります。

・最初から最終形を決めない
・住み替えの余地を残す
・資金を一か所に固定しない

家を処分することで、こうした柔軟性が初めて生まれます。

住宅ローン控除後の住まい戦略

住宅ローン控除は、持ち家取得を後押しする制度でした。
しかし老後の住まいでは、
・控除
・所有
よりも、
動けるかどうか
が価値になります。

賃貸・施設・持ち家を組み合わせる発想は、
「どれか一つに縛られない」
という意味で、これからの老後に非常に相性が良い考え方です。

おわりに

老後の住まいに正解はありません。
ただし、失敗しやすい共通点はあります。

それは、
「一度決めたら変えない前提で考えてしまうこと」
です。

住まいは、人生のフェーズに合わせて使い分けるものです。
賃貸・施設・持ち家を組み合わせることで、
老後はもっと身軽で、現実的になります。

家をどう終えるかを考えた人こそ、
住まいを自由に選び直すことができる。
それが、これからの老後住まい戦略の本質と言えるでしょう。


参考

税のしるべ
国土交通省 高齢者の住まい・住宅政策資料
国税庁 不動産・相続税関係資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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